
グローウィン・パートナーズ株式会社
フィナンシャル・アドバイザリー部 執行役員
長田 新太
おさだ しんた
M&Aアドバイザーに転身した参謀型会計士。プロフェッショナルとして最適ストラクチャーを提供
1982年生まれ(44歳) 神奈川県出身 東京都在住
青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科 卒業

01
キャリアサマリー
音楽活動に熱中。Drummerとしてのバンド活動やDJ活動、自身のプロデュースした楽曲のアナログレコードのリリースやi Tunes Storeでの配信等(<a href="https://soundcloud.com/shiningstarr" target="_blank">https://soundcloud.com/shiningstarr</a>)
新日本監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)に入所。 法定監査業務、財務デューデリジェンス業務等を経験。
フロンティア・マネジメント株式会社に入社。 主としてミドルキャップ案件を扱うFA1部にて、数多くのM&A案件において、M&A戦略策定・案件オリジネーション・ストラクチャリング・Valuation・交渉支援を含めた一連のFA業務を経験。
グローウィン・パートナーズ参画後は、FA、財務DD、PPAにおける無形資産評価などのM&Aアドバイザリーをシームレスに主導。特にスタートアップ企業×上場企業/PEファンドとの戦略的資本提携に関するアドバイザリー経験、カーブアウトが絡むM&Aアドバイザリー経験を多数有する。 <主な登壇セミナー> ・経済産業省主催「J-Startup:スタートアップのM&Aという成長戦略〜PEファンドによる投資事例から学ぶ〜」 ・日本公認会計士協会組織内会計士協議会(PAIB)及び日本組織内弁護士協会(JILA)の共催企画「オリジネーションからクロージングまでのM&A実践力向上」 <その他活動> ・一般社団法人57士業会の立上げ ・音楽イベント「音とシナジー」を主宰
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
大学4年まで就活もせず音楽活動漬けの日々でしたが、自らも士業であった父親の助言もあり手に職をつけるために会計専門職大学院の門をたたき、公認会計士を目指し始めました。この頃既に堀江貴文さんがニッポン放送や近鉄バファローズの買収に名乗り出るなど一躍有名になっていたため、一連のホリエモン劇場に衝撃を受けるとともに、何とも言えないワクワク感を感じていたので、いずれはM&Aアドバイザリーの道へ進みたいという思いがありました。しかし、試験合格後まずは王道の監査業務を身に着けたいと考え、最大手であった新日本監査法人へ入所しました。
監査法人では、良いチームメンバーに恵まれると共に、想定通りの経験を積むことができました。様々な企業のビジネスモデルや経営戦略を理解すること、内部統制や会計実務を理解すること、クライアントコミュニケーションや主査としてのチームマネジメント経験等です。また、監査の閑散期では、財務DD業務も経験しました。
6年弱の間で当初考えていた監査+αの一通りの経験を積むことができたと判断したので、やはり初心に返り咲きM&Aの道を極めたいとの思いが強く、次のキャリアへ進むことを決意しました。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
まずは2014年にM&Aアドバイザリーや経営コンサルティングを手掛けるフロンティア・マネジメントへ転職しましたが、これが自分のキャリアの中で大きなターニングポイントでした。
理由は監査法人出身者がM&AにおけるFA業務をコアとして経験できる貴重な機会であったためです。
実際に外資投資銀行出身者、戦略コンサルタント、弁護士など監査法人では通常交わることの少ない、多様なバックグラウンドのメンバーと仕事をすることができ非常に刺激的な経験でした。
バイサイド、セルサイド問わず数件のFA案件を平行して担当する状況であり、いわば”高地トレーニング”や”精神と時の部屋”での修行と言ったイメージで、約2年の間に数年分の経験ができたのではないかと考えています。
その後、縁あって2016年に現在のグローウィン・パートナーズへ
当時のグローウィン・パートナーズはM&A支援の実績は多数あるもののDD、Valuationといった会計士が中心となるトランザクションサポートが中心でありましたが、第二創業期として成長戦略を模索している中、FA業務に範囲を拡大していこうという時期でした。
事業をつくっていくことや経営にも興味があったため、監査経験×FA経験を活かしてグローウィン・パートナーズの第二創業期を愉しもうというマインドともフィットしていました。
2021年以降はFA部の部長として部門運営を担っており、M&A案件のオリジネーション、エグゼキューションと並行して、事業運営のマネジメントとして部門ミッションの策定、中期事業計画の策定、人材採用、人事評価等、多岐にわたる業務を行っています。
2023年以降は執行役員として、FA部門運営、M&A案件に加えて、全社的な事業執行の観点も持ちつつ、仕事に取り組んでいます。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
自分独自の強みとしては、会計士をベースにはしつつも、仕事のキャリアや趣味等のプライベート含む人生そのものが掛け算され、自分ならではの色彩として積み重なってきていることかなと思います。
結果として、人生そのものが、点ではなく線となり繋がり、仕事にも良い影響をもたらしているものと感じます。
2024年時点では、①会計士×②M&Aアドバイザリー×③スタートアップ資本政策×④独自のプライベートプラットフォーム(「一般社団法人57士業の会」、「音とシナジー」というイベントの主宰等)
により、様々な良いご縁に恵まれています。
①×②×③により、上場会社とスタートアップ企業、双方の観点からアドバイスをすることができ、以下の様な仕事に繋がっています。
【上場会社によるスタートアップ企業の買収】
→上場会社によるスタートアップ企業買収の際の、バイサイド側FA、DD、valuation、PPAにおける監査法人対応までワンストップ支援
【スタートアップ企業とPEファンドのM&A】
→スタートアップ企業がIPO準備をストップし、さらなる成長に向けたPEファンドへの株式譲渡の際のセルサイドFA
【スタートアップ企業の上場会社からの資金調達】
→スタートアップ企業のIPOを視野に入れた、上場会社と資本提携を絡めた資金調達FA
さらに④の掛け算により、「一般社団法人57士業の会」(昭和57生まれの士業会)の会計士、税理士、弁護士、司法書士、社労士、中小企業診断士等の仲間とM&Aや資本政策で協業をしたり、
仕事で繋がった音楽好きの人に、自分が主宰するイベント「音とシナジー」でDJをやって貰ったり、イベントに遊びに来てもらった方からのご縁でM&Aの相談を頂いたり、等々 です。
これからもアップデートしながら、面白い取り組みをしていきたいと思います。

05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
コロナ渦において、IPO準備をストップしたスタートアップ企業のPEファンドへのM&AをセルサイドFAとしてご支援しました。
当時厳しい制約があった飲食が絡む不動産サービスを手掛けており、一見ハードルが高い案件でしたが、
株主の希望条件を叶えつつ、対象会社の事業成長を可能にする、という観点から、全体のプロジェクトマネジメント(プロセス設計・コントロール等)、打診先検討、アプローチ、打診用資料の準備、DDの対応、契約交渉、クロージングに至るまで、一連のアドバイスを実施しました。
特に、コロナ禍で緊急事態宣言などがあり、飲食系の店舗をメインに運営されているビジネスに対する打診時のネガティブな印象を払拭し、実態を正確に見て判断していただくことが非常に重要であり、定性面だけでなく定量面でも説明できる資料を準備し、交渉を行った点がポイントだったと思います。
結果としては、売主の満足する条件を獲得し、M&A後にスタートアップ企業自体の利益も数倍に伸びており、買い手であるPEファンドからも良い案件であったと言って頂きました。
それぞれの関係者にとって”三方良し”のM&Aとなり、世の中に価値を生むことができたと感じた瞬間でした。
06
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
論文式試験合格直後に話は戻りますが、当時は監査法人に入ったら、色々な業務を経験できるものと思っていました。
ところが実際は配属される部門が監査部門であれば基本的には監査中心でした。
新人の時、とあるパートナーに「M&A等色々経験したいです!」と目を輝かせて訴えたところ、「なるほど。ただ、試験に受かっただけで、何でもできると思うのは違うよ」と一喝された記憶があります。
今思えば新人の浅い経験からは当然のことですが、当時はどのようにM&Aへのキャリアを築いていこうか悩んだこともありました。
これを機に自分から手を挙げて監査法人内のDD研修に参加するなど、業務機会を獲得するための動きを開始しました。これが功を奏したのか、監査の閑散期には、他グループのマネージャーからDD業務にアサインされるようになり、結果的には、乗り越えることができました。
さらに突き詰め、FA業務の経験をするために監査法人を卒業することとしました。
このように、公認会計士の仕事は幅広いものの、自ら能動的に動き戦略的にキャリアを築いていかなくては、理想のキャリアは掴みにくいのではないかと考えています。
07
人生の目的と公認会計士という資格
私の人生の目的は、常にワクワクすることをして過ごすことです。
学生の頃のように音楽活動が中心の時もあれば、現在のようにM&A業務が中心の時もあります。
そのためには、多様なオプションを保持していることが重要であると考えています。
公認会計士を目指したきっかけもそうでしたが、戦略的にキャリアを築けば、手に職をつけ、人生の選択肢を広げてくれる資格であると考えています。

08
これから成し遂げたい事、将来の夢
冒頭にも記載しましたM&Aアドバイザーを目指すきっかけになったホリエモンさんの仕掛けた球団やテレビ局等へのM&A提案から20年程経過しますが、現在において、スタートアップ企業の絡むM&Aは日本の成長のために、より重要な手段となっているものと思います。
日本の成長性は厳しい見通しではありますが、キャリアを通して色々な事例を経験する中で、大きく3つの観点から、課題感を感じているため、これからも一つ一つの案件でご支援することで、少しでも日本の国際的な競争力を回復できればと思います。
① 成長戦略に応じた企業価値向上のための資本政策の検討
→自社のビジネスモデルや成長戦略により、IPOが良いのか、PEファンドと組むのが良いのか、事業会社にグループインするのが良いのか等、取り得る資本政策オプションが異なりますが、資本政策は実行すると後戻りがしにくいため継続的にフラットに検討しておくことが重要であると感じています。
② 赤字であるが価値ある無形資産を有するスタートアップの適正評価
→M&Aを選択する場合、EBITDAの水準がValuationの発射台になってしまうことが多く、先行投資により赤字のスタートアップはM&Aで価値がつきにくい傾向があるため、無形資産の評価と活用を軸にした当事者にとって納得感のあるValuation交渉が重要であると感じます。
③ スタートアップ同士のM&Aによる価値向上
→日本では、例えばSaasビジネス等で、同じマーケットに対して同様のビジネスを展開するスタートアップが競合して、消耗戦となっているケースも多いと思います。このようなスタートアップ同士がM&Aにより統合することで、消耗戦からシナジー創出へ舵を切ることが、国際的な競争力を復活するためにも重要な手段であると感じています。
株主のExitという観点だけではなく、対象会社の事業成長のためも、価値のあるスタートアップのM&Aを通して、結果、日本の成長に貢献できたらと考えています。

09
キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス:監査法人からM&Aアドバイザーへの道を目指すならまずはこのアクションをしよう
戦略的にキャリアを構築するために、大事にしていた考え方は、野球に例えるなら、同じ三振をするにしても”見逃すなら空振れ”ということです。
振り返ると、監査法人内でDD業務機会を獲得したこと、大手監査法人からM&Aアドバイザリーのキャリアへ転身したこと、いずれも目的を持ってチャレンジした結果でした。
バットを振っていなければ、今のキャリアは考えられないと思います。
球筋をじっくりと見極めることも大事ですが、悩んだらとりあえず思いっきりバットを振ってみることをアドバイスしたいと思います。


