会計士の履歴書
本田 琢磨

ブリッジコンサルティンググループ株式会社 他

バックオフィスソリューション事業部 執行役員 バックオフィスソリューション事業部長

本田 琢磨

ほんだ たくま

"複業"で成長スピードを加速。クライアントへの価値提供の最大化を追求する

1983年7月18日生まれ(43歳) 埼玉県出身 東京都在住

早稲田大学 商学部 卒業 2006年合格

本田 琢磨

01

キャリアサマリー

2006年10月

公認会計士試験合格

2006年12月

あずさ監査法人(現 有限責任あずさ監査法人)入社

2016年09月

本田琢磨公認会計士事務所 (現 フタリエ会計事務所)開業 主に中小企業に対して、会社設立、資金調達、事業計画の策定、決算書・確定申告書の作成を実施。 また中小規模企業向け監査、FAS業務、セミナー講師等に従事している。

2017年07月

ブリッジコンサルティンググループ株式会社 入社 BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)支援事業部の責任者として、主にIPO準備企業向けに複数の公認会計士とチームを組んで、業務改善支援、ERPシステム導入支援やバックオフィスの構築業務に従事している。

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

「公認会計士」という資格を初めて知ったのは高校生のときであった。大学の進路選択前に、将来どのような職業につこうかと考えていた。自分はサラリーマンには向いていなさそうだから、将来はプロフェッショナルとして何か手に職を携えて生きていくのがよいだろうと漠然と思っていた。

複数の職業の中から、たどり着いた選択肢が公認会計士であった。実家が零細企業を経営していたこともあり、じっくりと中身を見たことはなかったが財務諸表が父の書棚に並んでおり、会計を身近に感じていた。

大学時代は勉強に打ち込んでいたものの、1回目・2回目は短答式試験で不合格となり、3回目の受験でようやく合格した。試験合格と同時に、あずさ監査法人へ入所した。私が監査法人に入所してすぐは、まだ四半期決算も内部統制監査もなく、スポット業務も含めて様々な業種・規模の会社を担当させていただいた。

そのため、新人から3年間のスタッフ時代には、まずは公認会計士のベースとなる、監査業務を徹底的に頭に叩き込んだ。なお、入所同期の友人と比べ事務所勤務の日が多く、「ジムキング」という不名誉なあだ名をつけられていたために、限られた業務の中で誰よりも成長したいとひっそり意識を高く持ち続けていたことを記しておきたい。

その後シニアスタッフとなり、内部統制監査制度導入前のいわゆる「3点セット」の文書レビューや、IFRS導入のためのアドバイザリー等のコンサルティング業務を、監査事業部にいながらにして経験できたことは良かった。

また、複数の監査チームのインチャージ業務に従事することでマルチタスクをやり遂げる効率性を身につけたり、日本を代表する企業のJ-SOXやUS-SOX監査におけるあるべき統制とはどういうものかという案件に携わったりするなど、高度な実務を数多く経験できた。

マネジャーに昇格してからは、当然ではあるがマネジメント業務が増えた。具体的には50人~60人程度の年間のアサインメントの調整、新人の育成制度構築、後輩のキャリア相談等、組織作りの一翼を担えた。それまであまり経験しなかったIPO支援業務にも携わり、クライアントが上場するのを間近で見届けることもできた。

監査法人に在籍した約10年間、担当した業務や一緒に働いていたチームメンバーとの関係を含め、一切の不満はなかった。それどころか、尊敬する上司や、頼もしい同僚・後輩が多く、彼らと一緒に働くことでさらに成長できるという土壌もあると思った。

ただ、自分自身の裁量を広げたい、もっとクライアントに身近に寄り添うタイプの公認会計士を目指したいと思い、2016年8月末をもって監査法人を退職、会計事務所を開業することとした。

本田 琢磨さん

03

今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

現在は、会計事務所の代表を務める傍ら、ブリッジコンサルティンググループ株式会社(以下、「ブリッジ」)にも参画しBPR支援事業部を統括している。いわゆる「複業」である。どちらが「副業」ということでもなく、どちらもメインであると意識している。

会計事務所では、中小企業・ベンチャー企業の会計・税務顧問、セミナー講師等を行っている。具体的には、法人成りのアドバイス、銀行からの融資や補助金申請のための事業計画の策定、記帳支援、決算・税務申告等である。

一方ブリッジでは、IPO準備企業の業務改善支援やシステム導入支援を行っている。具体的には、クライアントの現状の業務フローをヒアリングし、課題を把握した後、ひとつひとつクライアントと話しあいながら、改善の解決策を探していく。その過程にはシステムを導入して手作業を減らしていくことも含まれる。

また最近では、大手企業との業務提携等のプロジェクトも担当しており、ブリッジの経営理念でもある「一人でも多くの人を幸せに導く懸け橋になる」を実現すべく、より多くのクライアントの業務サポートを行っている。

「複業」のいい点としては、2つあると考えている。
1点目は、片方で得た業務経験や知識をもう片方へ生かすことができること。2点目は、人脈が大いに広がることである。

プロフェッショナルである以上は、クライアントに対して幅広い提案ができるほうが望ましい。そのためには、幅広い専門領域の知識と経験を身につけること、自身の専門分野以外においては信頼できるプロフェッショナル人材を知っていることがクライアントへの価値の提供につながると思っている。

しばらくはこの複業体制でキャリアを積み、自分の価値を高めていきたいと考えている。

04

あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

昔から、誰とでもコミュニケーションを円滑にとれることやオープンな性格であることが強みであると考えている。どの仕事にも相手が存在し、意見を調整していくことや時には腹を割って話すことが必要であるため、現在もこれらを意識している。

ただ今も前職時代の上司の言葉として心に残っているのだが、自分の主張すべきところや譲れないところは明確にして交渉をすること、そうでないと、相手も交渉ができないし、かえって悪い結果になってしまうこともある、と。

現在のブリッジにおける上場支援のコンサルティング業務は上場準備企業側の立場で支援しているため、クライアントの向こう側にいる相手が監査法人であるケースが多いが、監査法人の立場も理解しているからこそ、通訳となってベストな解決策が提案できていると実感している。

05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

初めて就職した時点から20代はがむしゃらに働くことを心に決めていた。 体力には自信があったため、多少の無理が続いても大抵の業務はこなせていた。しかし監査法人勤務の6~7年目に、一時的に自分自身のキャパシティを大幅に超える質量の業務を抱えたことで、心身ともに追い込まれてしまったことがある。

その際に支えてくれたのは、チームメンバーの上司・同僚・後輩であり、家族であった。チームメンバーには、少しずつ私の業務をフォローしてもらい無事に業務を終えることができたし、家族には話をよく聞いてもらうことが精神的な支えであった。

自分ひとりで完結できることなど何もなく、常に周りの方々のサポートを受けていることに対し感謝を忘れないでいようと強く実感した、私の仕事人生におけるターニングポイントである。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

公認会計士という仕事は、独占業務である監査以外にも非常に幅広い業務に従事できる可能性が高いものであると思う。独立を決意したものの、自分はどのようなクライアントにどのような業務を支援できるのか、あるいは支援したいのかということを常に悩んでいた時期もあった。

今でこそ色々な方々から仕事を紹介いただいているが、独立当初は何も情報がなく、漠然とした不安がつきまとっていた。そのため、不安をかき消すように何でも取り組むようにしていた。

いままで経験してきた業務を棚卸し、メニュー化する。多くのマーケティングの書籍を読み、近隣の同業他社のウェブサイトを研究する。ビジネス交流会に出て、若手経営者のニーズをヒアリングする。身近に独立して事務所を構えている先輩が多くなかったため、無謀にも全く知らない公認会計士の方の事務所へ相談しにいったこともあった。

現在では、独立を考える公認会計士・税理士の方へ各種セミナーを通じた開業支援や、事務所見学に来ていただくこともある。

07

人生の目的と公認会計士という資格

人生の目的は、自由に楽しく生きることだと思う。
私の好きな言葉に、「たったひとりしかない自分を たった一度しかない一生を ほんとうに生かさなかったら 人間うまれてきたかいが ないじゃないか」という山本有三の路傍の石の一節がある。

公認会計士という職業は、初対面の方にも「会計のプロ」らしいということを説明しなくとも認識してもらえ、少なくとも怪しいやつではなさそうという優位性はある。ただ、それだけであり、資格はパスポートのようなものにすぎず、プロフェッショナルとしての強みを常に磨いていく必要がある。

ただし自分の人生を自由に楽しく生きるために開業した際には、仮に失敗したとしても、このパスポートを生かしてまた就職すればよいくらいの気持ちでチャレンジすることができたのも事実である。

本田 琢磨さん

08

これから成し遂げたい事、将来の夢

公認会計士という仕事を、もっと社会に認知させたいと考えている。おもにto Bの業務が多い職業であるからともいえるが、公認会計士が活躍できる場はもっとあるはずだと考える。

企業・事業主は、寄り添ってもらえるプロフェッショナルを潜在的・顕在的に求めているが、それをプロフェッショナル側は気づいていないように思う。もったいないことである。

『会計の力で(あなたのビジネスの)未来をデザインする(Design the future through accounting in our atelier)』を事務所の目標に掲げている。常に不安や孤独を抱えている経営者に寄り添い、その不安を少しでも取り除けるようなサポートをしたいと考えている。

そのツールである会計(数字)をベースに、経営者と一緒にビジネスを作っていきたいと思う。新しいビジネスが生まれれば、そこに雇用も生まれ、取引先も増え、経済が良くなるはずだからである。自分ひとりでできることは限られているものの、多くの優秀な方たちとタッグを組んで、クライアントに喜んでもらいたい。

最終的な将来の夢は、「公認会計士」という肩書を外しても、仕事ができるようになることだ。 公認会計士の本田さんだから仕事を頼むのでなく、一個人としての本田さんに仕事を頼みたい、そういってもらえるようなプロフェッショナルになれるように日々精進していきたい。

本田 琢磨さん

09

キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

キャリアを模索する会計士の方へ

理想のキャリアは人によって様々であり、最初から明確に決まっている人は少数派だと思う。それならば、どういうキャリアの選択肢があるのか、またそのキャリアを実現している先輩方に話を聞きに行くということをお勧めする。

また公認会計士協会、ブリッジのようなコンサルティング企業、人材紹介会社のセミナー等、多様な形で若手公認会計士向けに情報提供がされているので、常に情報収集のアンテナをはっておくことをお勧めする。

私自身は監査法人勤務時代、(業務の忙しさもあって)仕事関係以外の方と接点を持つ機会が多くなかった。退職してからは意識的に様々な方とお話をさせていただき、話をする過程で頭が整理され、思いもつかない発見をすることもあった。私自身まだまだ未熟であるが、少しでも皆様の参考になればと思う。

会計士受験生へのアドバイス

公認会計士のフィールドは無限に広がっている。もし、公認会計士を目指すことを決めたのなら、勉強し合格することを第一に考えればよいと思う。資格を取得してからが本当のスタートである。

資格取得までのモチベーションを保つために、公認会計士として働いている姿をイメージしながら、是非、頑張ってほしい。