
株式会社クリフィックスFAS
マネージングディレクター
近藤 弘
こんどう ひろし
クライアントと向き合いながら真の利益につながるM&A再編の支援業務に取り組む
1970年代生まれ 広島県出身 非公開在住
横浜国立大学 経済学部国際経済学科 卒業

01
キャリアサマリー
大手監査法人入所、監査業務、IPO支援業務、中国関連ビジネス支援業務、財務DD業務等に従事。
中堅監査法人に移籍。監査業務、IPO支援業務、財務DD業務等のトランザクションサービス業務に従事。
同監査法人パートナー就任。
株式会社クリフィックスFAS設立に参画。 現在、独立系FASとしてM&A再編支援業務を提供。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
■監査業務からのスタート(6年間)
公認会計士試験に合格後、すぐに大手監査法人の監査部門に就職した。当時、あまり深く考えていなかったが、監査法人業界を知るという意味ではよい選択だったと思う。監査部門では、多くの法定監査業務やIPO支援業務に関与した。業種も幅広く、製造、小売、卸売、IT、コンテンツビジネスなど、多様な業界に接することができた。IPO支援では監査の立場を維持しつつも、クライアントと一緒に考えたり、勉強会を開いたり、非常に頼りにされる機会も多く、やりがいも感じることができた。
主査業務も一通り経験し業務に慣れてきたころ、監査業務以外に、会計士としてできる業務の幅を広げたいとの思いが募ってきた(監査法人入所の会計士にありがちなことではあるが)。ちょうどそんな時分に、業務でご一緒したことがあるアドバイザリーチームから、異動の打診を頂いた。監査からアドバイザリーへ立ち位置を変えることで、クライアントの息遣いをより直接感じる仕事をしたいとの思った。そして今と違う世界を見たいとの好奇心から、迷わず異動を決めた。
■アドバイザリー業務へ(2年間)
異動先のアドバイザリーチームでは、中国進出企業支援を主な業務としており、上場会社の中国現地子会社の財務調査支援、決算体制・内部統制構築支援等に従事した。当時は、中国に進出したものの、管理が思うに任せず、苦労している会社が多かった。日本親会社の目線から、中国子会社の課題を整理し、解決策をクライアントと一緒に検討した。中国で発生する粉飾、不正事例は、従来の日本の常識をはるかに超えたもので、思考の枠組みが大きく広がった。当時のチームメンバーとは、今でも組織を超えて仕事を一緒にすることも少なくない。
■トランザクション業務に軸足(10年超)
2007年に、勤務する監査法人解散決定を受けキャリアを見つめなおした。中国関連の支援業務は、刺激に富んでいたが、幅が広く、自分が専門家として関与できる範囲は日本の会計や内部統制に関連する領域に限られた。中国の会計・税務は、現地の中国人会計士にかなわず、中国人に行動を促せるほどの中国語力もない。コーディネーターとして業務を続けているうちに、自分が会計専門家としての領域から離れつつあることに気が付いた。業務の軸をもつ特徴のある会計士を目指すべきと考えた。
これまで関与した業務で面白いと思ったのは、いくつかのM&Aでの財務DD(デューデリジェンス)業務だった。クライアントの大きな経営判断に関わる案件が多く、いずれもクライアントの真剣度合がそれ以外の業務と格段に違っていた。専門家としての力量が試される緊張感も高いが、的確な助言ができれば、クライアントと同じ向きで案件に関与し、クライアントと一緒に案件の成功を分かち合うことができた。中国の旗は一度おろして、トランザクション関連サービスを深堀りすることに決めた。
トランザクション関連サービスを何処で深堀りしていくか様々な選択肢を考えたが、最終的には、お世話になった監査法人の事業開発チーム(M&A、IPO等)の上司と共に中堅監査法人で新たに作り上げていくのはやりがいがあって面白いと思い、中堅監査法人への移籍を決めた。
移籍した中堅監査法人では、多くのM&A、再編の仕事に恵まれた。M&A再編関連のDDや評価、会社更生法の管財人補助、支援協議会スキームによる事業再生、再生会社のM&Aなど、多くの局面でのM&Aに関与できた。とにかく、一つ一つのプロジェクトで成果を出したい一心で、チームメンバーとハードワークをこなし、研鑚を重ねた。
幸運なことに、沢山のクライアント、優秀なチーム、信頼できるプロフェッショナルに出会い、支えられ、仕事の幅が広がっていく実感が日々得られた。一方、仕事の幅が広がっていくにつれて、監査法人の枠組みを超えて、よりクライアントとしっかり向き合って仕事ができる環境でトランザクション業務に専念したいという思いが強くなった。
こういう中で、ご縁があって、2015年10月にクリフィックスFASに移籍することになった。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
■クライアント・ファースト
現在、クリフィックスFASというクリフィックス税理法人のグループ会社で、M&A、再編の支援業務を行っている。クリフィックスFASの“Clifix(クリフィックス)”には、基本理念である“クライアント・ファースト(Client First)”の思いが託されており、クライアントにとって最善の解決を求めることを最優先に業務に取り組んでいる。
■会計のプロによるM&A、再編支援
会計系サービスは多様だが、クリフィックスFASは、M&A、再編等をコア領域として支援業務を行っている。現在、①トランザクションアドバイザリー(ストラクチャリング、財務DD、モデリング等)、②バシュエーション(株価算定、PPA、公正価値測定等)、③リストラクチャリング(再生支援等)等を主な業務領域としている。
クリフィックスFASでは、業務別の縦割組織ではなく、案件ごとにクライアントのニーズに応えるプロジェクト編成で対応している。クライアントは、上場企業あるいはファンド等が中心のため、買収後の開示、監査上の論点は常に関心事であり、監査法人での監査経験を生かすことができる業務でもある。
■再編税務に強い
クライアントは、得てして暗黙のうちに税務の助言に期待を寄せてくることが多い。クリフィックスFASは、税理士法人の再編税務の専門家と同一オフィスにあり、気軽に意見交換できる恵まれた環境にある。会計も税務も、条文や書物の理解だけで課題は解決できず、現実に起こる課題の解決は、行間の理解と実務経験がないと難しい。この環境は、クライアントサービスだけでなく人材育成のうえでも、クリフィックスFASの大きな特色の一つと感じている。
■キャリアパス
クリフィックスFASの最大の資産はチームメンバーであり、メンバーの成長をファームの成長と位置付けている。
監査法人で監査実務を積まれた方であれば、初日からプロジェクトに参画し、これまでの経験も活かしつつM&A等の実務の理解を深めていく。次の目標は、プロジェクト・マネージャーとして、チームをまとめ、クライアントサービスをリードできるようになること。コンパクトなプロジェクトでも、クライアントと向き合い解決に導くことができれば、会計のプロフェッショナルとして、磨きがかかった実感が湧いてくる。具体的なプロジェクトをリードするなかで、クライアントあるいは他の専門家(弁護士、戦略コンサル、バンカー等々)との直接のやりとりが増えると、会計領域以外の視界が広がり、自身の成長を更に実感できる。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
自分自身、強みといえる際立つものはないのだが、おそらく“出会いに恵まれ続けてきたこと”が自分の強みではないかと考えている。
一人一人の個人の力は限られている。数名のメンバーが寄り添っても、クライアントの課題の全てを理解し、解決できるとは限らない。特にM&A、再編の現場の課題は、会計だけで片付かない課題であふれている。こうしたとき、これまでの恵まれた出会いに感謝しつつ、積極的に、顔が見えて信頼できる各分野の専門家の方に相談させていただき、意見をお伺いし、あるいはクライアントに紹介させていただく。例えば、法務であれば、その分野に強い弁護士さんを紹介し、M&Aの進め方等でお悩みがあれば、その相談にフィットしそうなバンカーを紹介する。もちろん、会計、税務の領域も、IFRSから海外税務まで広く、やはりこれまでの恵まれた出会いに感謝しながら、専門家のご意見、ご助力を仰いでいる。
多様な専門家と一緒に業務を進めることは、とにかく学ぶことが多い。また、一度案件等でご一緒させていただくと、進め方あるいは強みの理解が相互にすすみ、僭越ながらチームワーク的なものができてくる。これは、独立系FAS会社だからできる面白みの一つと思っている。

05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
M&A案件は、案件の一つ一つ、局面の一つ一つが興味深いのだが、案件を整理するなかで生じた“新たな発見、気づきの瞬間”あるいは、“解決の糸口が見つかった瞬間”は醍醐味を感じる瞬間だ。例えば、調査の過程で感じた違和感を、しつこく、じっくりと詰めていくことで、粉飾の仕組が透けてきたとき、そしてクライアントにとっての対応策が見つかった瞬間、チームの誰かにすぐ話したくなる。監査の場面でも似たようなことはあるが、粉飾が発見されても、責任の所在探し等、後ろ向きな議論が多いかもしない。
アドバイザリー業務としては月並みだが、クライアントからの感謝のお気持ちを感じたときに、やり甲斐を感じる。仮に、案件自体が不首尾に終わっても、きちんとした議論、検討が尽くされていれば、クライアントは我々を評価して下さる。その結果として、継続してご相談を寄せていただいたり、他のクライアントをご紹介いただけたりすると、チームとしてもモティベーションが高まり、さらにクライアントに貢献していきたいというよい雰囲気が生まれるのがアドバイザリー業務をやっていて面白いと感じるところでもある。
06
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
スタッフとして監査手続きをし、調書の作成に明け暮れているころは、自分の仕事が本当にクライアントに役立っている実感がなく、仕事が面白いと感じられない時期もあった。主査になり、クライアントからの相談を受けるようになると、多少、お役立ち感のある場面もあったが、独立性の問題等々を考えると、完全にクライアントと同じ向きで仕事ができない焦燥感があった。
幸運にも、多くの出会いと機会に恵まれ、監査業務から現在のM&A関連のアドバイザリー業務へと、軸足を向けることができ、現在はクライアントと同じ向きで力を尽くすことができている。
振り返ってみると、その時々で与えられた機会に真摯に全力で取り組み、機会を頂けたことへの感謝を忘れないことで、なんとか道が開けたのではないかと感じている。
07
人生の目的と公認会計士という資格
人生の目的を語る域には達していないが、“おもしろい!”と感じる瞬間が多い人生に惹かれている。
働き方改革の時代であっても、やはり仕事に費やす時間の割合は多い。であれば、仕事も“おもしろい!”ほうがいい。自分の場合であれば、“発見、気づき”があって成長を感じれば“おもしろい!”、世の中のお役に立つことができて、ついでに感謝までしていただけたら、さらに“おもしろい!”。公認会計士を目指した当時、会計士の仕事が“おもしろい!”のかどうか、考えてみることさえなかった自分だが、結果的に、日々“おもしろい!”と実感できる仕事に巡りあうことができて、自分は運が強いのではないかと感じている。

08
これから成し遂げたい事、将来の夢
自分自身もまだ成長途上の段階であり、チームメンバーとともに更に進化し、もっと“おもしろい!”仕事をしていきたい。クライアントも事業環境も絶えず変化しており、その時々で最善の解決を提供できるようにチームとともに進化し、成長していきたい。チームの成長、サービス品質の向上、クライアントの信頼増が、チームのモティベーションを高めるといった好循環で発展できるプロフェッショナルファームを目指したい。

09
キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス:市場から幅広く求められる会計士を目指すならまずはこのアクションをしよう
会計士のキャリアの選択肢は広がり、会計事務所以外でも多くの会計士が活躍している。近年、増加する上場会社の社外役員としての会計士へのニーズを受けて、2017年10月に『公認会計士社外役員ネットワーク』のセミナーが開催された。その席上、パネリストから、公認会計士には、“守りのガバナンス”と“攻めのガバナンス”両面からの期待がある旨の意見があった。“守りのガバナンス”では、会計・監査の強みを生かした、不正リスクの早期発見、未然防止等への期待が、“攻めのガバナンス”で、事業戦略、企業買収に対する会計あるいは財務戦略のコンサルティング的な知見からの期待があるとされた。
最近は、監査法人勤務に続くセカンドキャリアとして、事業法人を目指す方が多いと聞く。事業法人へ進まれる方へお伝えしたいことは、事業法人の会計士への期待は、“守りのガバナンス”だけでなく“攻めのガバナンス”もあることだ。“守りのガバナンス”の目線は、監査業務から学ぶことができる領域だが、“攻めのガバナンス”の目線は、監査業務以外の経験あるいは発想があると期待に応えられる範囲はより広がる。
M&A、再編にかかる経営判断が日常的な経営判断の一つとなった今日、M&A、再編に関する実務的な知見は、“攻めのガバナンス”の有力な武器だ。M&A、再編関連業務は、今日の企業が期待する“守り”にも“攻め”にも強い会計士を目指す方にとって、意味ある経験と研鑽の場を提供する有力なキャリアの選択肢と確信している。


