
CaN International Advisory (Thailand) Co., Ltd.
タイ法人代表
小田 英毅
おだ ひでき
コンサルティング会社タイ法人を立上げ代表就任。目まぐるしく発展する国で経営者として飛躍する
1986年8月26日生まれ(40歳) 大阪府出身 バンコク在住
京都大学 経済学部 卒業

01
キャリアサマリー
有限責任監査法人トーマツに入所。外資系証券会社、外資系銀行、日系クレジットカード会社等の大手金融機関の会計監査に従事。
CaN International Advisory 株式会社に入社。海外進出時の現地マーケットや規制面のフィージビリティスタディや、現地企業との提携・出資に係るデューデリジェンスや交渉支援業務を担当。
CaN International Advisory (Thailand) Co., Ltd.を立ち上げ、タイ法人代表に就任(現任)。タイ国にて、日系企業のタイ進出に係る各種コンサルティング及び、現地日系企業に対する各種支援業務に従事。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
公認会計士二次試験に合格後、有限責任監査法人トーマツの東京事務所に入所。
外資系証券会社、外資系銀行、日系クレジットカード会社等の大手金融機関の会計監査に従事し、融資先企業のレーティングや貸付債権の評価業務を担当。その他、内部統制評価業務や顧客資産分別管理検証業務といったコンサルティングにも従事した。日本会計基準だけでなく、米国、国際、香港会計基準に係る実務経験を積むことができ、この経験が現在の仕事にも活きている。
学生時代から海外を旅行することが好きで、様々な国の異なる文化や人に触れてきた。中でもアジアの気候、現地人の人柄、目まぐるしく発展する社会に特に魅力を感じ、海外で働きたいという気持ちが漠然とあった。監査法人に勤務して4年が経つ頃、海外事業を経験する必要性を感じ、日系企業の海外事業活動の支援を中心業務とするコンサルティング企業に絞って転職活動を行った。
多くの海外進出コンサルティング企業の中でも、CaN International Advisory 株式会社を選択した主な理由は、当時設立されたばかりであり、創業メンバーしかいなかったという点である。立ち上げたばかりの会社であれば裁量も大きく、任される仕事も多く、密度の濃い経験ができると思ったためである。実際に、1年もたたないうちにタイ法人立ち上げの機会が巡ってきた。当時はバンコクに提携先のパートナーがいるのみでゼロから会社を立ち上げる経験ができた。クライアントへのサービスの提供だけでなく、新規顧客開拓のための営業や従業員の採用活動、オフィス探しも並行して行う必要があり、赴任当初は文字通り毎日、バンコク中を駆け回った。海外勤務は勿論、会社経営も初めての経験で、事業計画の立案や総務・労務管理といった初めての業務を手探りでやっていた当時のチャレンジングな環境も今となってはいい思い出である。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
CaN International Advisory (Thailand) Co., Ltd.の代表を任されている。
現在はタイに進出している、あるいは進出を検討している日系企業に対する会計・税務のアドバイザリー業務、進出サポート業務やタイ企業の日本投資に関するコンサルティング業務を行っている。さらに、タイの地理的な優位性を活かし、他の東南アジア、南アジア諸国とのクロスボーダー取引に関するコンサルティング業務などにも幅広く対応している。
タイは働くにしても暮らすにしてもアジアの中で非常に魅力的な国だと感じている。ビジネス面では、アジアの中でも交通インフラやIT環境などのインフラが整っていること、製造業を中心に均衡のとれた経済発展を遂げており、労働人口も多いことなどが特徴的である。一方で、近年はサービス業の進出が盛んで、タイ政府は電気自動車、プラグインハイブリッド車、医療、航空、ロボットなどハイテク産業の投資誘致にも積極的であり、今後のタイ経済の成長が楽しみである。生活面についても、公共交通機関による移動が容易であるし、都市部には日系レストランは勿論、各国料理のレストランがあり食事に困ることもなく、駐在する環境としてはとても良いと感じている。
今後については、海外と関わりながら仕事をしたいという思いは変わらないが、現在のように海外に住んで仕事をするだけではなく、日本に戻り海外関連の仕事をしたいという思いもある。日本及び日系企業の情報やニーズは、日本にいる方がキャッチしやすいため、タイでゼロから会社を立ち上げた経験を活かして日本でしかできない業務を提供したい。一方で海外でしかできない業務もあるので、そのバランスをとって今後も様々な国に係る仕事に関わっていきたい。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
私の強みの1つはポジティブという点だ。仕事を行うにあたり、問題が生じることは往々にしてあるが、消極的になるのではなく、問題を受け入れて次に何をしなければいけないのかということを積極的に考えることができる。コンサルティング業務を行う上では重要な要素であると同時に、タイ人と仕事を行うにあたって、タイ人が持つ考え方や仕事の進め方を受け入れたうえで、問題点をどのように改善していくかということを前向きに考えることにもつながっている。新興国のリーダーは意思決定が早く、仕事を進めるペースが速い。彼らと仕事を進めるにあたり、前向きに進めていくマインドは重要である。
他の強みとしては人種を問わず多様性を受け入れることができるという点である。学生時代にはアジアだけでなく欧米諸国を旅し、実体験から、世の中には多様な慣習、考えがあることを知ることができた。特に新興国と先進国では生活環境、生活水準が違うだけでなく人々の習慣、考え方も大きく異なることを実感した。タイでのサービス提供にあたって、私はタイ語の原文が流暢には読めないため、タイ人スタッフや他のタイ専門家から得られる情報と外部情報などを合理性・整合性の観点から検討することによって、厳しく品質管理を行っている。一方で、一次情報に接するタイ人の力がなければ質の高いサービスを提供することは難しいため、彼らを尊重してコミュニケーションを積極的に行う必要がある。品質管理とタイ人モチベーション維持のバランスをとるためにも、多様性を受け入れることが重要であると考えている。

05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
現在の仕事でも監査法人時代でも、共通であるのはクライアントから認められ、感謝された時だ。監査法人時代は主に会計監査を担当していたが、監査という業務の性質上コミュニケーション相手はクライアント企業の部長や役員といった自分よりも知識も経験も上回っている人たちだった。金融機関の場合、コンプライアンスに対する意識が特に高く、外部監査の指導機能に対する期待も大きい。ハードルは高いが、クライアントの事業、業界、組織について勉強し、クライアントが気付かない点について助言を行い、感謝された時は大きなやりがいを感じることができた。
現在は日系企業に対してサービス提供を行うことが多く、営業は日本人代表者に対して行うが、実際にサービスを提供する際には、クライアントの現場のタイ人とのやり取りも発生する。現場のタイ人は外部者に対して当初壁をつくることも多いが、付加価値の高いサービスを提供するためには現場のタイ人の協力が必要不可欠である。彼らを尊重し、粘り強くコミュニケーションをとり、自らの知識や経験を駆使してサービスを提供した結果、日本人代表者だけでなく現場のタイ人からも認められた際には、個人としてのバリューを提供できたと感じ、大きなやりがいを感じる。
一方で、さまざまな公認会計士と出会う中で公認会計士のもつプロフェッショナリズム、インテグリティに感銘を受けることも多い。公認会計士はプロフェッショナルとして難しい判断を求められる局面も多い。そのような場面であっても、プロフェッショナルとしてこだわりを持って業務に従事し、誠実に判断を下す場面には心が動かされ、自分もそのようなプロフェッショナルでありたいと考えさせられる。
06
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
監査法人に入所した当初は先輩会計士、クライアントと接しながら、知識、経験、仕事の進め方などあらゆる点で自分の未熟さについて悩んだ。監査対象となる企業や業界についても理解が進んでいないばかりか、会計士としてのキャリアの浅さから会計や監査についての知識もまだまだという状態の中で自分よりも何倍も知識も経験もある先輩会計士やクライアントとコミュニケーションをとるうちに、監査チームに対しては業務に貢献できていないのではないか、クライアントに対しては価値を出せていないのではないかと悩む日々が続いた。これを乗り越えるためにはひたすら調べたり、勉強したりするほかはなく、少なくとも自分が割り当てられた領域に関しては、監査チームの誰よりも、またクライアントよりも深く理解するように心がけた。
また、現在はタイ法人を運営する立場になり、公認会計士としての悩みというよりも組織の運営など経営者としての悩みが多くなっている。組織を効率的に運営するために、どの程度権限移譲を行うべきか、個々のプロジェクトにおける作業効率と組織全体としての稼働効率をどのようにあげればよいか、組織としてクライアントに安定して質の高いサービスを提供するために、どのような人材を採用し、どのように教育すればよいか、スタッフに対してどのように動機付けを行うか、組織を成長させるために、どのように営業活動を行えばよいか等悩みはつきない。組織運営の悩みについては、日々試行錯誤している。
07
人生の目的と公認会計士という資格
自分と関わる人に関わってよかったと思ってもらえるような生き方をしたい。仕事でいえばクライアントだけでなく、提携パートナーやスタッフ、同僚、上司などである。
公認会計士という資格自体がこの目的達成に寄与しているわけではないが、公認会計士だからこそできる監査業務や、その経験を踏まえたコンサルティング業務は目的を達成するにあたり大きな役割を果たしていると思う。クライアントの会計・税務上の悩みに対して個々の事情を鑑みたうえでアドバイスをすることで、クライアントの悩みを解決し、状況を改善することができれば、クライアントに感謝される。もし自分が公認会計士になっていなければ、現在のように多くの関係者とは関わることができなかっただろうと思う。
また、そのような目的を達成するために、企業のネームバリューに頼るのではなく、個人としてのバリューを磨き続けたい。テクノロジーの進化により、10年前には最先端であったサービス、技術が現在では陳腐化していることもある。同様に今の公認会計士の業務が永続する保証はなく、公認会計士に求められる役割が変化したとき、経済環境が変化したときにも、「何とかしてくれる」と頼られるような人でありたい。

08
これから成し遂げたい事、将来の夢
海外でのキャリアを積んで自分の幅を広げたいと考えている。幅というのは、業務経験は勿論であるが、地理的にもタイだけでなくほかのアジアの国々でも仕事をしたい。
公認会計士として、会計、税務、ファイナンスなどの専門分野に関してスペシャリストであると同時に、ビジネスマンにとって経営者と対峙するために必要な見識を深めたい。国内外の政治、経済、IT、産業の動向など幅広く、日々学ぶことで成長していきたいと考えている。
現在はタイに居住して周辺諸国を飛び回る毎日を送っているが、機会を見つけて他のアジア諸国にベースを移すことも検討している。新聞、インターネットのニュースなどからその国に行かなくても大量の情報を日々入手できる現代においても、現地の住民の価値観、慣習、現場の雰囲気など、現地を訪問して直接触れないと実態が見えてこないことは多い。自分の強みを活かして海外での経験を積み、海外から日本を見る視点、日本から海外を見る視点の両方をバランスよく持ちたい。
また、これまでは監査業務、コンサルティング業務など第三者的な立場からクライアントにアドバイスをするということで企業に関わってきたが、事業を執行する立場から参加し、実際に事業自体に関わっていきたいという思いもある。日系企業による海外進出の失敗事例が新聞で取り上げらえることも多いが、独特の産業発展を遂げた日系企業は、いざ海外に活路を見出すも海外事業に不慣れで、実際に、計画した成果を出せないことも多い。自分のこれまでのキャリアを活かして、日系企業の世界でのプレゼンスを向上させることに少しでも貢献したいと思う。

09
キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
人それぞれ目指すものが違うので、一概にいうことは難しいが、共通して言えることは自分が目指す分野・キャリアについてよく調べ、行動を起こし反省をするというPDCAのサイクルを回し続けるということが肝心である。何事もまずはやってみないと始まらないが、あてもなくただ行動を起こすだけでは意味がない。自分の目的のために何をすればいいのかということを徹底的に調べ、その結果を検証し、次にやるべきことが何かということを考えるべきである。
私は公認会計士というキャリアを監査法人からスタートさせたが、監査法人での経験は今の自分のベースになっており、監査法人で監査業務に従事できて良かったと思う。監査は様々な企業の事業全体を第三者的立場から俯瞰することで企業のビジネスを理解し、その理解をもとにリスクと効率性や効果性を勘案した監査計画を立案し、監査手続を実施する。成果物である監査調書は目的、手続、結果を明らかにして論理的に構成される必要がある。これらの一連のプロセスは効率性や効果性、論理的思考力などビジネスマンとしての基礎的なスキルを養う上で非常に重要な役割を果たす。これらの普遍的なスキルは監査以外の仕事でも有用である。また、監査の過程で相対するのはクライアント企業の重役であり、クライアントに対して価値あるサービスを提供するためにはソフトスキル、ハードスキルの両面で自己研鑽をし、ブラッシュアップしていく必要がある。監査法人というキャリアを選択された方は、向上心を持って積極的に業務に従事し、監査法人というキャリアを実りあるものにしてほしい。


