
Fanatics Japan G.K.
コーポレート部 Manager / Financial Controller
宮本 翔
みやもと しょう
全ての日本人が幸せになってほしい。それをスポーツという手段を通してなら実現できる
1986年7月27日生まれ(40歳) 茨城県出身 神奈川県在住
早稲田大学大学院 スポーツ科学研究科(修士) 2009年合格

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キャリアサマリー
公認会計士試験論文試験合格
あずさ監査法人 入社(旧2A事業部→事業部再編後、第3事業部)
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科卒業(総代)
あずさ監査法人 スポーツアドバイザリー室異動
Fanatics Japan G.K. 管理部長/Financial Controller その他役職 早稲田大学スポーツビジネス研究所招聘研究員(2017年4月~) 日本公認会計士協会東京会 青年部特別委員会 委員長(2019年7月~) 一般社団法人Challenge Active Foundation 監事 等
慶応義塾大学3年時に公認会計士試験の勉強をスタートし、23歳で論文式試験合格。新卒であずさ監査法人の国際事業部に入所後、40社以上の国際系クライアントの監査業務に従事。5年ほど監査業務に従事した頃、今後のキャリアに不安を感じる。自分のやりたいことやできること、公認会計士の可能性を模索していた頃、2013年に東京オリンピックの招致が決定。2015年にあずさ監査法人内にスポーツアドバイザリー室(当時)創設がされたことをきっかけに、事業部異動を模索する傍ら、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科の社会人修士過程1年制に入学。
入学後1年間は監査業務と学生生活の二足の草鞋を履きながら、2017年3月に大学院を総代(首席)で卒業。卒業後スポーツアドバイザリー室(当時)への異動が叶い、公認会計士×スポーツビジネスのキャリアをスタート。2018年3月にはスポーツ庁の公募調査案件で、KPMG Japan Chairman Awardを受賞。
2018年11月、Fanatics社日本法人の経理部長として入社(Fanatics社は米国ではメジャーリーグやアメリカンフットボール、NBA等の全球団、欧州ではレアルマドリードやマンチェスターユナイテッド、マンチェスターシティ、パリサンジェルマン、バイエルンミュンヘン、BVBなどのビッグクラブ、日本では福岡ソフトバンクホークス、埼玉西武ライオンズ、東京ヤクルトスワローズなどグループ全体で300を超えるスポーツチーム/リーグのオフィシャルパートナーを務める)。現在は管理部長として、経理・財務・税務・法務・人事労務・採用・広報などバックオフィスにかかる全般を管掌。
社外ではスポーツ系社団法人2社の監事を務める傍ら、早稲田大学スポーツビジネス研究所招聘研究員、日本公認会計士協会東京会 青年部特別委員会 委員長としても活動中。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
監査法人時代は7年ほど監査業務を行い、後半の1年半ほどはスポーツビジネスのコンサルティング業務を行っていました。最初は主に国際系のクライアントを多く抱える部署に配属され、小さなリファード業務から1兆円を超える上場企業まで幅広く経験し、約40社の監査業務に従事しました。
もともと公認会計士になって具体的に何をしたいというビジョンが明確でなかった当時は、普段の仕事を何の目標もなく、淡々とこなしていました。公認会計士になって何をするかという頭も当時はなく、公認会計士試験に合格すること自体が目的化していて、手段と目的が入れ替わっていました。当然目標もなく仕事に取り組んでいると壁にぶつかりました。監査業務を3年ほど経験すると少なくとも期末決算も3回以上は経験するので、慣れてきます。そのうちに「自分がやりたい仕事はこれなのか?この仕事を続けていいのか?」と悩み始めましたね。
もともと私はスポーツを観るのが好きで、特にオリンピックやサッカーW杯など国を背負った選手たちが戦う国際大会に熱くなる性格でした。私にとって大学受験や公認会計士試験は苦しかった経験ですが、その時なぜ頑張れたのか?というとスポーツが背中を押してくれたからでした。
大学受験の時はアテネオリンピックや、イチロー選手のMLB年間最多安打記録更新があり、公認会計士試験の勉強中の時は北京オリンピックがありました。苦しい時に自分の心を支えてくれたのがスポーツで、スポーツのおかげでモチベーションを保ちながら試練を乗り越えることができました。
マクロの面では、私が監査法人4年目の2013年に東京オリンピックの招致が決まったことで、日本全体がオリンピックムードになり、経済やビジネスがオリンピックを中心に動いていくことを肌で感じました。2015年にあずさ監査法人内にスポーツアドバイザリー室(当時)が創設されたことを日経新聞で知った衝撃は今でも覚えていて、公認会計士でもスポーツに携わることができることに胸が高鳴りました。自分のやりたいこと、携わりたいことはスポーツだ!と。これが現在のキャリアの起点となりました。

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今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
今は、米国ではMLBやNFL,NBA、欧州ではレアルマドリードやマンチェスターユナイテッドなどを代表とするビッククラブのオフィシャルパートナーを務めるFanatics社の日本法人に管理部長として勤務しています。いわゆる外資系の日本法人ですが、現在の私のマネジメント領域は幅広く、経理・財務・税務など公認会計士としてバリューをすぐに発揮できる領域から、人事労務や法務、総務、広報までかなり幅広く業務を行っています。
会社としてのメインのビジネスは、スポーツビジネスの中のマーチャンダイジング(グッズ)の領域なのですが、製品の企画・デザインから生産、購買、物流、卸売、小売(Eコマース・実店舗)という川上から川下までの垂直統合型サプライチェーンのビジネスモデルをとっています。しかし他のパフォーマンスブランドとの決定的な違いは、他のメーカーが自社のシューズやボールなど用具の販売をメインとしている一方、Fanaticsはスポーツを楽しむためのグッズ販売をメインにしていることです。我々はコンテンツホルダーであるリーグやチームのコンテンツの価値を最大化し、ファンがスポーツに対してより熱狂できるためのグッズを製造・販売することのみが利益の源泉であるため、リーグやチームのマーチャンダイジング収益に貢献するパートナーとしての立ち位置をとっています。
ですので、会社全体でグッズのデザインや販売方法などグローバルな知見を取り入れながら常に革新的な取り組みに挑戦し続ける点においては、日本のスポーツビジネスシーン全体を見ても稀有な存在の会社です。
そんな中、私はできることを増やすことに注力しています。監査法人時代の監査業務で活きている経験もありますが、やはり経理実務ひとつとっても実際は難しい点がありますし、経理だけでビジネスが完結しているわけではありません。現在はこれまで全く経験のなかったHR領域やリーガル領域、PR領域も管掌する立場ですし、なにより会社自体が垂直統合型のビジネスモデルであるからこそ、経験できることが多いです。またベンチャーでありつつグローバル企業であるからこそ、会社経営のスピード感に慣れることや、英語習得へのチャレンジもしています。英語は英国と経理財務系のトピックでディスカッションする機会が多いですが、スポーツはグローバルコンテンツであるからこそ、個人的に語学はしっかり磨いていきたいと考えています。将来的には、監査法人時代には経験できなかった「裁量権をもって経営に携われる環境」を存分に活かして、実力をきちんとつけていき、日本のスポーツを支える人材になりたいと思っています。
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あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
自信をもって言える強みは、成長しようという意欲とプロジェクトマネジメントですね。前者はソフトスキルですが、昔から自分が「止まっている」ことに対して罪悪感や焦燥感を感じます。それが原動力となって様々なことにチャレンジし、少しでも何かをできるようになりたいという思いが強いです。後者のプロジェクトマネジメントは、性格もあるのですが、公認会計士試験の試験勉強で身についた特性かなと思っています。具体的には、「今日は午前中に会計学の直前対策答練を2つやって、昼からは会社法のテキストの機関の部分の問題の暗唱をして、夜は…」のように、計画的にタスクをこなして、目的に到達していく能力はその頃養われたものであり、プロジェクトマネジメントに通じるものだと思います。
現在の仕事にあてはめると、例えば勤怠管理システムの全社導入を行いましたが、マイルストーン(中間目標点)を設定し、ベンダーと社内で調整しながら勤怠データを自動集計できる仕組みを整え、最後は適正な給与計算を自動で行えるようExecutionまでもっていくことで、無事安定稼働させることができました。
社外の活動では公認会計士協会東京会青年部特別委員会(以降、青年部)の活動も50名ほどのメンバーを委員長の立場で束ねながら、複数のプロジェクトを同時に進めています。こうして考えると経験してきたことに無駄はないなと思っています。経験をいかに利活用できるか、そして新たなチャレンジを通していかに質の高い経験を数多く積み重ねられるかが大事であると感じています。

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仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
大きく2つあります。一つは某団体のお仕事を社外でしていた時ですが、スポーツ団体は人的リソースや資金的なリソースが非常に限られているんですよね。その中でリーグ戦のローンチに向けて私含めてスタッフ総出で相当の準備をしてきたのですが、チケットの売れ行きが芳しくなく、お客様が試合を見に来てくれるか非常に不安な毎日を過ごしていました。しかし最終的には試合当日に数多くのお客様にご来場頂いて、会場が観客でいっぱいになった光景を見た時は鳥肌が立つくらい心が大きく動きました。
これは現在の仕事でもそうで、やはり自社の商品が売れて、それを身に着けて試合を応援してくれるファンを見ると非常に心が動きます。バックオフィス側では地道な地味な作業も多く、苦労することも多いのですが、こうした瞬間に立ち会うことで苦労が報われたような気がして、ファンの方たちのためにまた頑張らないといけないな、と改めて活力をいただけます。これがスポーツビジネスの魅力の一つだと感じます。
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公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
正直何かでいつも悩んでいますし、焦っていますね(笑)。ですが、私が公認会計士としてのキャリアをスタートしてから特に悩んだのは先述の4~5年目くらいの監査法人の頃だったと思います。
皆さんはなぜ悩むのでしょうか。その原因の多くを占めるのは、「将来に対する不安」なのではないでしょうか。将来どうなるかわからない。だから不安になってどうしたらいいのかと悩むのだと思います。自分自身に対する戒めにもなるのですが、将来は誰にもわからない。だから不安は誰にでもあるし、避けなければいけないのは、不安になって何もできない状況だと思います。
当時を振り返るとやはり情報がなく、漠然と不安になっていました。監査法人の中で差別化できていない自分、仕事に熱中できていない自分、優秀な同僚、転職していく同期達、何をしたらいいのかわからない自分と自分の可能性を信じきれない自分。
しかしこうした不安が減ったきっかけは大学院に進学して、公認会計士の価値を再認識してからでした。監査法人は公認会計士がマジョリティですが、やはり社外に身を置くと、公認会計士は稀有で一目置かれる存在なんですよね。何もしてなくても信頼してくれますし、普通は会えない人にも会える。公認会計士はみな会計を軸にしていて、勉強する素養は備わっているから、何にでもキャッチアップできる。チャレンジに失敗しても公認会計士のライセンスが剥奪されることはない(不正は除く)。こうした当たり前のことに改めて気づいてから不安は減っていきました。結局自分で不安や困難に立ち向かう行動を起こさない限り、不安や悩みは解消されないんだなと思います。
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人生の目的と公認会計士という資格
全ての日本人が幸せになってほしい、それをスポーツという手段を通してなら実現できるというのが私の根本にある想いです。
監査法人にいる間にもスポーツの社会性は当然意識していましたが、事業会社に転職したことで、社会貢献ということをより意識するようになりました。会社は経済活動を行う以上、利潤を追求することを求められますが、会社は利潤を追求しながら社会的価値を創出し社会課題を解決できる存在であるということを、コーポレート部門を統括する立場として再認識できました。いわゆるCSVの考え方です。
私が経理・財務・税務の数値面の他に、人事や広報も管掌領域に入っていることが大きく影響していますが、具体的には現在、障碍者(しょうがいしゃ)雇用の導入を検討しています。
障碍者は自身ではコントロールできないハンディキャップを抱えており、すべての障碍者が雇用の機会を十分に得られているとは言えません。こうした人たちに対してアプローチして、会社という器を通して働くことで社会に貢献し、社会に認められ、自分の存在価値を改めて認識してもらう。そうすることで、一部の困っている人の幸せに会社が貢献することができます。
特にスポーツを事業としている今の会社は、良くも悪くも会社の規模にかかわらず、社会的な注目度が高いので、メディアを通して様々な取り組みが社会に広がる可能性があります。
「人はいずれ障碍者になる」
五体満足に活動できていることはむしろ稀で、歳を重ねていくにつれ体の不自由な箇所が増えていきます。日本全体が幸せになるためには、性別やLGBTのくくりで表現されることが多い多様性を国民全体が深く理解し、社会全体が寛容になることが重要となります。
このような気づきを得られたのは、監査法人の経験と事業会社の経験双方が活きています。監査業務によって、会社が様々なリスクに晒されながら多くのステークホルダーとの関わりの中で経済活動を行っている実態や、稟議や意思決定、内部統制など会社の運営や数字を通した事業の流れを体系的に理解できました。事業会社ではそれらの経験を通して、経理や監査的な視点以外の視点も新たに加味され、立場的に裁量あるアクションを取れるようになったことで、会社発信で社会を変えられるダイナミズムを感じることができました。
全ての人が幸せになることを人生の目的に、それを1つの価値基準としてこれからも活動をしていきたいです。

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これから成し遂げたい事、将来の夢
このお話をさせていただいているのは2020年1月ですが、あと数年でリーマンショックのような不況が訪れる可能性があると思っています。経済が不況になるとまず苦しくなるのはエンターテインメントの業界で、スポーツも例外なく苦しくなります。特にスポーツの業界は、リーグの成熟度にもよりますが、音楽やゲーム等と異なり、スポンサー企業からのスポンサー収入への依存度が大きくなります。スポーツは、音楽やゲームのように消費者がいつでもどこでも楽しめるプロダクトを提供しているわけではなく、特定の時間および場所で、特定の相手がいないとプロダクト(試合)が成立しないため、消費者のスポーツというコンテンツへの接点は音楽やゲーム等と異なり限定的になります。そのため、波及的な効果(わかりやすく言えばスポンサー企業のイメージアップ等)を目的としたスポンサー収入に依存せざるをえません。
スポーツが日本国民を元気にすることができるコンテンツであることは間違いありません。それは2019年初めて日本開催となったラグビーW杯の国民的熱狂からも証明済みでしょう。2020年の東京オリンピックパラリンピックも間違いなく日本に感動と勇気を与えてくれることと思います。私はそんなスポーツコンテンツを支えられる人材になりたいです。不況になった時に必要なのが優秀な経営人材だと思うので、少しでもその理想に近づけるよう努力していきたいと思います。

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
キャリアに模索しているなら、まず情報を集めることから始めると良いと思います。情報を集める手段は数多くありますが、一番良いのは人の生の声、すなわち一次情報を集めることです。ネットの情報でもいいですが、どうしても編集側のスクリーニングが入りますし、自分が聞きたいことにピンポイントの回答がないことも多いからです。ですので、まずは人に頼る、人に聞いてみることをお勧めします。
これは私が青年部の活動を通して改めて感じた公認会計士の価値ですが、公認会計士は日本全国に
40,000人弱、私が所属する東京会だけでも19,000人弱います。公認会計士は「会計」という一つの大きなファンクションを軸として、様々な業種・職種および年代で幅広く活躍されているので、どこかにベンチマークになる先輩会計士がいるはずです。会計士の履歴書に掲載されている公認会計士に会いに行くのもよいですし、青年部のイベントに参加したり運営してみたりして、横のつながりを作るなどして、まずは人の生の声を集める行動を実行してみるというのが、まず大事なアクションかと思います。
情報収集ができたらあとは自分との対話です。先にも述べましたが、自分は何が好きで、嫌いで、得意で、不得意で、将来どうなりたいから、どのような経験を積みに行くのがベストなのか。自分が納得する選択をすればその選択はすべて成功だと思います。自分との対話は、実は時間がかかる作業でしんどい作業なのですが逃げずに考え続けると、納得する答えが見つかると思います。


