会計士の履歴書
御林 洋志

株式会社KVP

パートナー

御林 洋志

みはやし ひろし

共感力と事業可視化で起業家のビジョンを実現。情熱と合理性を兼ね備えたキャピタリスト

1987年1月18日生まれ(39歳) 愛知県出身 東京都在住

慶應義塾大学 法学部政治学科 卒業 2007年合格

御林 洋志

01

キャリアサマリー

【特別動画】

<a href="https://youtu.be/YT77TpGbc6o" target="_blank">御林洋志#1</a>/<a href="https://youtu.be/SxHdLnLcbzA" target="_blank">御林洋志#2</a>/<a href="https://youtu.be/Gw_vOGHoFxU" target="_blank">御林洋志#3</a>

2007

公認会計士試験合格

2009

慶應義塾大学卒業。有限責任監査法人トーマツ入社。トータルサービス部にて未上場企業向けの予備調査・株式公開支援業務に従事。

2011

アメリカのシリコンバレーへ。現地スタートアップ、ベンチャーキャピタルにて投資業務、スタートアップへのコンサルティング業務に従事。

2013

グローバル・ブレイン株式会社に入社。キャピタリストとして複数のスタートアップへの投資実行・経営支援・エグジット支援に従事。

2016

KLab Venture Partnersに立ち上げからパートナーとして参画。

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

中学から付属校で勉強を頑張らずにそのまま慶應大学に入学したため、大学生になってから何か夢中で勉強できることを探そうと思ったことが、会計士を目指したきっかけである。色々と調べている時に公認会計士という資格を知り、将来的に自分がどのような道に進もうと意味のある知識が身に付くだろうと思い、公認会計士を目指した。

幸いなことに、大学三年生時の2007年夏に公認会計論文式試験に合格した。当初はあまり監査法人に興味がなかったため、コンサルティング会社等複数の会社のインターンや学生の勉強団体に参加していた。

そんな私がトーマツを知ったきっかけは、会計士の専門学校で開催されたトーマツのリクルートイベントだった。なんとなく参加した懇親会でトータルサービス部のパートナーの方とお話しをさせてもらった。その当時若かった私は、「監査法人の仕事って生産性も乏しいし、誰からも喜ばれない仕事ですよね?」と、今思えば恥ずかしくなるような生意気な発言をしていた。しかし、そのパートナーの方は「俺がしている株式公開支援業務は違う。上場という目標に向かって経営者と一緒に働く仕事。だからこそ上場した時には経営者からありがとうと言われる仕事だ」と、懇親会中2時間にわたり熱く語ってもらった。この時にトーマツのトータルサービス部で働きたい、このパートナーのような熱い想いを持っている人と働きたいと思い、トーマツへの入社を決意した。

トーマツでは、上場企業向けの法定監査と未上場企業向けの予備調査・株式公開支援業務の両方の業務を担当させていただいた。比較的早くマザーズ上場企業の現場主任を務めさせてもらうとともに、予備調査や株式公開支援業務を通じて多くのベンチャー企業と携わる機会をもらえた。監査業務で経営者ディスカッションや事業数値の監査を通して、ベンチャーの勢いや起業家の魅力を感じていった。

御林 洋志さん

03

今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

監査業務を通じてベンチャー業界と接点を持つうちに、もっとベンチャー業界に事業・経営サイドから関わっていきたいという気持ちが強くなり、2年半でトーマツを退職した。「ベンチャー業界を通じて日本経済に貢献したい」という想いだけで、次の職も決めていなかった。そして、まずは本場のシリコンバレーに行こうということで、勢いでアメリカに飛び立った。今振り返ると若さゆえだったと感じている。

シリコンバレーではスタートアップでインターンをしたり、現地イベントに参加したりした。様々な人とご縁がつながり、現地のベンチャーキャピタル(以下、VC)を紹介してもらった。インターン経験を経てビザを出してもらい、1年間アメリカで働いた。

アメリカではイベント参加、デューデリジェンス、スタートアップへのコンサルティング業務を行い、本場のベンチャーエコシステムに触れる機会を多く頂いた。ただ、自分の想いは“ベンチャー業界を通じた日本経済への貢献”であったため、アメリカでの経験は日本に戻るまでの修行期間でしかなかった。そして、トーマツ時代の先輩の紹介で、国内の独立系VCであるグローバル・ブレインの代表の方とアメリカでお会いすることができ、そこで話をしたことがきっかけでグローバル・ブレインへの転職を決意した。

グローバル・ブレインでは、キャピタリストとして、様々なスタートアップへの投資・支援をさせてもらった。幸いなことに優秀な経営者の方に恵まれ、M&Aによるポジティブなエグジットも複数経験させてもらった。一方で、投資先がうまくいかず、悔しく、申し訳ない経験もした。酸いも甘いも経験させてもらい、グローバル・ブレインや経営者の方々には感謝の気持ちしかない。

キャピタリストとして経験を積んでいくと、自分自身もっとシードステージのスタートアップの事業・経営者と深く向き合いたいという気持ちが強くなった。そんな時に現職のKLab Venture Partners(以下、KVP)の代表と食事をして「実は新しいファンドを立ち上げる予定なのだが、一緒にやらないか」と誘ってもらった。悩んだ末に、ここならゼロから自分で当事者意識を持ってやれると思い、再度チャレンジしようと参画を決意した。

現在はKVPにて立ち上げからパートナーとして働いている。KVPは、シードステージのスタートアップへの投資・支援を行う独立系VCである。投資領域はIT領域のスタートアップ全般で、C向けのメディアからSaaS等B向けのソリューション、IoT、VR等のテクノロジー領域、物流・建築既存産業×IT領域等幅広く投資している。

VCの一連の業務内容は、ソーシング(案件発掘)、デューデリジェンス(DD)、投資決定・実行、そして投資実行後の経営支援・エグジット支援と多岐にわたる。ソーシング活動では、だいたい月50社のスタートアップの起業家と会う。デューデリジェンスでは、起業家と深くディスカッションを重ねながら、経営チーム・ターゲット市場・事業戦略について検討を進める。投資決定はKVPの場合だと私ともう一人のパートナーの二人で意思決定を行う形式を取っている。投資後の支援では、KVPの投資対象がシードステージということもあり、なんでもやるというのが正直なところだ。具体的には、事業戦略のディスカッションはもちろん、営業・事業提携支援につながるような事業会社の紹介、採用支援からKPIの設定・管理、資金調達支援等幅広くなんでもやっている。シード期のスタートアップにおけるCFOでありCOOのような役割というと、イメージしやすいと思う。

04

あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

私の強みは、共感力の高さと、事業の可視化を通じたストーリー構築力だと考えている。

ここでいう共感力とは、スタートアップの起業家が実現したいビジョンへの共感力であり、起業家が持つ情熱への共感力でもある。スタートアップは不確実性が高いが、その中でもシード期のスタートアップは何が起こるかわからない。思い通りいくことよりも思い通りいかないことのほうが多い。だからこそ、同じ船に乗る気持ちが大事であり、そのためには共感力は重要な要素となる。共感があるから圧倒的な当事者意識を持ちながら、スタートアップの起業家と同じ目線で、会社にとって何が重要か、事業はどうするべきかを一緒に考えられると思っている。

また、当然ながら情熱だけではビジョンを実現することはできない。ビジョンを実現するためにはスタートアップの限られたリソースを何に集中させるべきか、どの順番で何をどのように仮説検証していくべきか、どのようにすればスケーラビリティのある事業に成長させてビジョンを実現できるのか、といった事業ストーリーが必要となる。そして、そのストーリー構築の前提となるのが事業の可視化である。具体的には、大きなビジョンから逆算した時に事業の成功要因は何か、それぞれの成功要因ごとのKPIはどのように分解されるのか、今どの事業仮説を検証すべきで追うべきKPIは何なのか、ということである。

この事業の可視化に関しては、あまり会計士らしくない自分だが、会計士時代に多くの数値を見てきた経験をベースに、VCで多くの事業を見てきたことが相まって、鍛えられ培われたものだと自負している。

御林 洋志さん

05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

やはり心が大きく動いた瞬間は、投資先の起業家から「ありがとう」という言葉をいただける時だ。
投資先の順調な事業成長に貢献できた際に「ありがとう」と言ってもらえる時も大変嬉しいが、投資先が結果としてうまくいかない場合に「ありがとう。御林のおかげでここまでこれた」という言葉をかけてもらった時は、なんとも言えず大きく心が動かされた瞬間である。

くどいようだが、スタートアップは不確実性が高く、その時点の意思決定は何が正解かはわからない。時には自分の意見が反映されることもあれば反映されないこともあるし、意思決定が成功に終わることも失敗に終わることもある。小さな意思決定の成功と失敗の積み重ねが会社としての行く末を決める。
だからこそ重要な意思決定の局面では、何が成功かわからない中で起業家と同じ目線で深くディスカッションして、意思決定を進める。そうすることで、お互いさらにコミットを強く持ちながら当事者意識を持って事業に向き合えることとなる。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

公認会計士として働いていた期間が2年半と非常に短かったが、振り返ると監査法人に所属していた当時は、クライアントに本質的な価値を提供できていないのではないか、と感じていた。監査手続を通じてクライアントと信頼関係を築く、ということは意識していたが、会社レベル・経営者レベルで価値を提供できていたかというと、決してできていなかっただろう。

おそらく自分自身、監査法人では本質的な価値提供ができない(もしくは提供できるポジションになるまで時間がかかる)と判断したからこそ、もっとベンチャー業界に事業・経営サイドから関わっていきたいという気持ちが強くなり、退職したのだと思う。

07

人生の目的と公認会計士という資格

私は、人とのご縁を大切にしながら自分らしく生きてきた結果が、偶然今の自分につながっていると感じている。また、VCでの業務経験の方が圧倒的に長くなっているため、会計士として、といった考え方は持っていない。

ただ、会計士という資格を持っていたことで加速度的に刺激的な人生を歩めている自信はある。会計士を取れたからトータルサービス部に出会い、IPO支援業務があったからベンチャー業界に強い興味を持てた。またトーマツを退職した際も会計士があったからこそ「アメリカに行って失敗してもなんとかなる」という感覚があった。アメリカに行った時もトーマツで働いていたと話すと「トーマツ!?(厳密にはデロイト)」と驚かれ一定の信頼がすぐに得られた。(海外では監査法人のステータスは日本よりもはるかに高い。)

このように、会計士という資格があったから今の自分があるというのは間違い無く言えることであり、会計士を持っていることで大きなチャレンジができるようになったり、会計士資格が社会的信頼につながったりと、多くの恩恵を受けてきた。

御林 洋志さん

08

これから成し遂げたい事、将来の夢

今は、“ベンチャー業界を通じて日本経済に貢献する”ということを目標に動いている。また変わらず人と人とのご縁を大切にしながら自分らしく生きていきたいと思っている。

ベンチャー業界を通じてという意味では、自分が投資する上で、“起業家が強い情熱を持って自分のストーリーで事業を語れること”と“起業家の誠実さ”を大事にしている。そのような起業家は情熱があるからビジョンも強く、絶対に諦めないし、困難から逃げない。また誠実であれば、様々なことから柔軟に学びながら前に進める。何よりも同じ船に乗る気持ちでいるので、誠実な起業家でなければお互い辛い状況になる。

また今までを振り返っても人とのご縁でキャリアが変わることが多かった。学生時代の懇親会でトータルサービス部のパートナーの方に会えたから監査法人に入ろうと思ったし、今の代表と出会えたからVCの中でのキャリアチェンジを考えた。そういったご縁を大切に常に自分らしく生きていきたいと思っている。その時その時に必死でもがいていれば、人とのご縁で自分をさらなる高みに引っ張ってもらえることがあると信じている。

御林 洋志さん

09

キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

監査法人で働く会計士、独立する会計士、事業会社で働く会計士、起業する会計士、VCで働く会計士、いろんな会計士がいていいと思っている。ただ、現状に不満を持ちながら仕事をするのだけはやめたほうがいい。これから人生100年時代で、仕事をする期間はどんどん長くなる。そのような時代につまらないと思っている仕事を50年も続けるのは嫌だし、無理ですよね。だからこそ、自分が楽しいと思える仕事、誇りに思える仕事をしてほしい。

既にやりたいことが明確にある場合はやってみよう。会計士という保険があるのだから、キャリアチェンジは大したリスクにならないのだから。まだやりたいことが明確に見つかっていない場合は、見つけるために行動を起こそう。勉強会に参加するでもいいし、会う人を変えてもいい。環境が変われば思考も変わる。少しだけでいいから普段会わない人と会うようにするとか小さな動きでいいと思う。やりたいことを見つける努力をする。やりたいことが見つかればやってみる。自信を持ちながら、自分が楽しいと思える仕事、誇りに思える仕事を見つけることが一番大事だ。それくらいの感覚でいいと思う。