会計士の履歴書
眞山 徳人

合同会社フォルケ

CFO 兼 次世代人材育成本部長

眞山 徳人

まやま のりひと

子ども向けビジネススクール設立を目指す。“書く・語る・会計”の強みを組み合わせて独自のキャリアパスを歩む

1981年2月26日生まれ(45歳) 埼玉県出身 埼玉県在住

慶応義塾大学 経済学部 卒業 2005年合格

眞山 徳人

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キャリアサマリー

2005年12月旧2次試験合格→監査法人トーマツ長野事務所→同高崎連絡事務所→同トータルサービス部を経て2016年3月に独立、起業。

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監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

ジェネラリストを志し、多様な経験を積めそうな地方事務所に就職し、望み通り、いろいろなスキルを身に着ける機会をいただくことができました。
監査一つとっても業種が非常に多様で、地方銀行に始まってゼネコン・製造業・小売から学校法人に至るまで経験しました。領域が細分化されている東京事務所では、こういった形での経験はなかなか積めなかっただろうと思います。監査以外にも、原価計算制度の導入や決算早期化、業務改善、内部統制導入などのコンサルティング業務を経験させてもらったり、リクルーターとして受験生を勧誘する仕事を通じて、プレゼンテーションのノウハウを本格的に学ぶ機会にも恵まれました。

最終的に自分は「子供向けのビジネススクールを作りたい」と思って起業を志すに至るのですが、そのきっかけになったのもトーマツ時代の経験でした。第1には、リクルート活動を通じて地元の大学生に監査やデューデリジェンスのロールプレイングを提供した際、「もっといろいろなスキルを若い人に身に着けてほしい」と思ったことです。ビジネスの要素の多くは、基本的なレベルのものであれば“掛け算・割り算”程度の知識で十分に理解できるのに、経営学部やMBAでしか取り扱わないのはもったいないのではないか・・・と思ったわけです。第2には、私立大学の監査で学費が未納なままやむなく除籍されていく学生たちが後を絶たないことにある種の社会的使命を刺激されたことです。

眞山 徳人さん

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今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

合同会社フォルケではCFOという、いかにも公認会計士らしい仕事のほかに、自らが志していた子供向けのビジネススクール設立を目指し、『次世代人材育成本部』という部門を自ら立ち上げてビジネスを展開しています。子供向けのビジネススクールという構想を知人に話すと異口同音に言われたのが「すごく面白いと思う…でも、お金にならなさそう」というものでした。彼らの助言はまさにその通りで、最初のうちはずっと無報酬での“おためし”だったり、ほんのわずかな報酬でのお仕事しかなかったので、監査法人でアルバイトとして働かせてもらったりしながら、ビジネスの拡大を少しずつ進めていかざるを得ませんでした。

最近になって、ようやく自治体に予算をとってもらって公立の小中学校でプレゼンテーションの授業をさせていただいたり、小学校高学年くらいから学ぶことのできる“お金の教科書”を編纂したり、マネタイズの道筋が少しずつ立ちつつあります。今年くらいから本格的に子供たちを集めてビジネスに関する授業を提供する目途も、やっとつくようになり、これからがとても楽しみです。
今後は、公認会計士としてのキャリアではなく、むしろこういった次世代人材育成のパイオニア的存在として学校教育や家庭教育にビジネス的な視点を取り入れていく活動に注力していこうと思っています。

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あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

“書くこと”と“語ること”が自分の強みです。“書く・語る・会計”の組み合わせで自分のサービスを組み立てています。
書くことに関しては、実は少年時代は小説家を志していたこともあり、公認会計士になってからも1冊くらいは本を出したいとずっと思っていました。会計の専門学校に通っていたころの先生が著書をたくさん出されていて、その先生のお手伝いなどをしながら少しずつ自分の出版企画を温めて、ようやく2014年4月に会計の入門書を出版することができました。

もう一つの語ることに関しては、上述の通り、リクルーターとして事務所のプレゼンを任されることが多かったことを受け、本格的に人前で話すスキルを身に着けようと思って社会人サークルに通っていたところ、運よく2016年にスピーチコンテストで日本一のタイトルをいただくことができ、自分の2冊目の本は図らずも会計ではなくプレゼンの入門書になりました。公認会計士というと言葉少なでシャイな人が多いというイメージが先行しているようで、私のような人前で話すのが大好きな公認会計士は珍しいのか、最近は講演会やセミナーの仕事をたくさんいただくようになったり、企業研修も会計周辺のテーマではなく営業やプレゼンをテーマにしたものがずいぶん多くなっています。

眞山 徳人さん

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仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

上述の通り、私立大学での監査が自分にとって大きなターニングポイントでした。その私立大学で、自分は“学生納付金”とその関連科目を担当していました。一般企業で言えば“売上高と売掛金と貸倒引当金”を見るようなイメージです。・・・そう、私立大学にも貸し倒れという概念は存在していて、それは言うまでもなく保護者が学費を未納にしてしまうことで起こります。学費の未納等に関する証憑として『学費分納願・延納願』という書類をチェックした際、大学を出してやりたくてもお金を出すことができない保護者の無念を切々と感じるに至りました。それでも分割をしながらお金を払えるご家庭はまだよいのですが、2年間以上未納の状態が続いた学生は、やむを得ず除籍になってしまうのがその学校のルールでした。どんなに学生がまじめに勉強していても、経済的な事情のせいで十分に学ぶことができず、きっとこの学生は、就職活動にも苦労するのだろう…。そんな、世の中の暗い部分を見てしまった気がして、ものすごく落ち込んだことを覚えています。

実は、自分自身も新聞配達をしながら大学に通っていたり、経済的な苦労を強いられた経験があります。自分の場合はそれでも奨学金や周囲の支えがあって何とか社会人になることができました。そんな自分にできることは、その恩を次の世代にペイフォワードするために、自分自身が奔走したり、仕組みを作り上げることなのではないか…次第にそう考えるようになりました。

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公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

悩んだこと、あまりないですね。強いて言えば、自分が監査法人で働いていたころは「監査マニュアル」なるものが非常にきっちりと作られていて、それが自分の悩み…というより「自分はここにいるべきではない」と感じるようになったきっかけだった、かも知れません。

監査マニュアルは法人が一定水準の監査を提供し続けるために非常に大事な役割を果たす一方、それがあることにより、自分ではない人でも全く同じように監査手続をまっとうできる…つまり、その仕事は自分ではなくてもよい、代わりの効く仕事なんだな、と思ったわけです。せっかくプロフェッショナルとしての資格を手にしたのに、それはなんかつまらないな…と。ただ、後で書いてありますが、自分にとっては公認会計士そのものも“気づいたらなっていた”というレベルのものだったので、ここでしっかり勉強させてもらいながら、自分のやるべきことを見つけようという気持ちになっていたので、悶々と悩んでいた感じではありません。

そういう経緯があったので、自分は監査法人の中ではコンサルティングをはじめとした監査以外の業務を積極的にやるようにしていましたし、長野事務所に所属していたころから、東京のプロジェクトに参画させてもらうなど、いろいろな角度から“仕事”や“クライアント”や“世の中”を見るように心がけていました。

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人生の目的と公認会計士という資格

そもそも、公認会計士の試験を受けたのは、大学の簿記の授業(をサボって自分で勉強した日商3級のテキスト)が楽しかったから…という趣味的な発想の延長線上にあったので、仕事のやりがい等に魅力を感じたわけではありませんでした。もちろん勉強の過程で監査論などに触れて、なるほどとても面白そうな仕事だなぁ…とは思っていましたが、それはそれで、自分の使命のようなものは別のところにあるかもしれないし、それは就職してから、働きながら考えようと思っていました。

結果として、監査法人というキャリアを選んだおかげで自分の進みたい道を見つけることができたわけで、自分にとって公認会計士という資格は、“自分”と“夢”をつなぐキューピッド的な存在だったんじゃないか、と思います。監査人として、会計士としてキャリアを積む場合も、あるいはそうでない場合も、監査業務は様々な業種・業務プロセスを至近距離で見ることができる仕事で、“将来何をやりたいか”を見極めるのには、結果として最適な環境だったように思います。

公認会計士はあくまでも“資格”の名前であって、“仕事”の名前ではありません。同じ資格でも十人十色の活かし方があって当然で、この資格は監査法人でキャリアを積むというメインストリーム以外にもいろいろな道を切り開けるとても便利なツールなのだと思っています。

眞山 徳人さん

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これから成し遂げたい事、将来の夢

まずは次世代人材育成というキーワードで、現在のビジネスを拡大することに集中したいと思います。そしてそこで得た利益で剰余金をしっかり積みあげて、そのお金で奨学金の基金を作る。そして苦学生のいない社会に日本を変えていくのが自分の野望です。
前述の通り、自分は新聞配達の仕事や奨学金という仕組みなど、様々な制度に寄りかかって大人になりました。これからは、自分が寄りかかる仕組みを作る番だと思っています。もしそれが実現できれば、それが自分を大人にしてくれたこの社会への最終的なペイフォワードになるのではないかと思っているので、長い目で頑張っていきたいです。

といっても、“奨学金”という仕組みが唯一絶対の解ではないな、と最近は思うようになりました。学びの環境も大きく変わってきているし、そもそもほとんどコストをかけずに学ぶ道を用意したり、いろいろな選択肢を与えることで、経済的なハンデが教育の機会のハンデにつながり、それがさらなる経済的ハンデを生んでいく…という悪循環に終止符を打ってあげたいと思っています。

会計士としての知識やスキルを活かせる分野でもあり、全く異なるスキルが要求される分野でもあります。特に“人を巻き込む力”“ビジョンを提示して共感を呼ぶ力”など、ヒューマンスキルをもっともっと磨いていかなければと思います。

眞山 徳人さん

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

人生100年時代になり、生涯で一つの職業をのみ全うする人はどんどん減ってくるはずです。それは、公認会計士などの資格を有している人にとっても例外ではありません。

資格を保有している人の中には「自分は〇〇士だから」と将来のビジョンを持つことをあまり熱心にしたがらない人が多いように思います。そしてその傾向は、リスクや経済価値などの概念をしっかり学んでしまった公認会計士にはとりわけ強いように見えます。「せっかくとった資格だから、その仕事を続けないともったいない…」という心理が働くのは理解できますが、それはまさに埋没原価を気にして経営意思決定を誤っているようなもので、考えようによっては非常にもったいないことだと思います。

資格は将来の選択肢を広げるためにあるのであり、狭めるためにあるのではありません。公認会計士になるまでの過程で得たものは、想像以上に広いフィールドで役立てることができます。そしてそのフィールドは、おそらくこれからますます広がっていくでしょう。ぜひ公認会計士を目指す人にはそのことを忘れないでほしいし、キャリアの曲がり角にいる会計士の方には、自分のように会計士っぽくないキャリアを選択した人がいることを、頭の片隅にでも置いておいていただけたら嬉しいです。