会計士の履歴書
前田 恭平

株式会社グローバル・パートナーズ・コンサルティング

執行役員

前田 恭平

まえだ きょうへい

受け身を超えて、挑戦の伴走者へ

1986年10月31日生まれ(39歳) 北海道札幌市出身 東京都在住

中央大学商学部会計学科 2010年合格

前田 恭平

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キャリアサマリー

2010

公認会計士試験合格

監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)入所(東京監査事業部所属)

2017

株式会社グローバル・パートナーズ・コンサルティング 入社

2024

IPO準備企業(SBIアラプロモ株式会社)の社外監査役に就任

私は2010年に公認会計士試験に合格しました。大学時代は進路に迷っていましたが、会計ゼミの仲間が試験に挑む姿に刺激を受け、「若いうちから企業全体を見て学べる」という点に魅力を感じ、会計士を志しました。同年、就職氷河期の余韻が残るなか、有限責任監査法人トーマツ(東京監査事業部)に入所しました。歓迎ムードとは言いがたい環境で小さなアサインから経験を積み、金融・商社などの会計監査や内部統制監査に従事するなかで、企業財務の基礎と現場感覚、そして「やりきる力」を鍛えました。

2017年には、企業側に近い立場で能動的に価値を出したいと考え、現在執行役員を務める株式会社グローバル・パートナーズ・コンサルティングへ転職しました。M&A支援(FA、財務DD、モデリング、バリュエーション、PMI)、IPO支援、内部統制、不正調査など、監査・税務以外の幅広い領域に携わってきました。2024年にはIPO準備企業(SBIアラプロモ株式会社)の社外監査役に就任しています。多様な案件を横断しながら、対面・現地主義を軸に幅広い経験を重ねています

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監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

トーマツでは国内事業部に所属し、金商法および会社法に基づく監査業務に従事しました。繁忙期には朝から晩まで作業が続くこともありましたが、決められたスケジュールのなかでどのような業務もやり切る姿勢を身につけることができました。 監査法人時代には、議事録や重要資料に触れるだけでなく、若手のうちから財務部門の幹部や経営者と直接ディスカッションを行う機会が少なくありませんでした。経験の浅い立場ながらも対等に議論することを求められるなかで、自然と物怖じしない度胸とロジカルシンキングを鍛えることができました。一方で、監査は大切な経済基盤であるものの、性質上どうしても受け身から始まり、誤りを指摘することに終始してしまう局面も多く、そのたびに葛藤を抱えていました。誰かの「ありがとう」を原動力にして働きたい自分にとっては、いまひとつやりがいにつながらないもどかしさがありました。 そのような経験を経て、より企業側に近い立場で能動的に価値を提供するようなキャリアを歩みたいという思いが芽生えました。当時は一社に腰を据えるイメージが持てなかったこともあり、事業会社への就職ではなく、幅広い業務に携われるコンサルティングファームを志向しました。そのなかで、グローバル展開・ファイナンス支援・テクノロジー活用を横断的に掲げるグローバル・パートナーズ・コンサルティングに出会い、2017年に転職しました。

前田 恭平さん

03

今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

私が所属する株式会社グローバル・パートナーズ・コンサルティングは、シンガポール法人Global Gateway Advisorsや国内のグローバル・パートナーズ・テクノロジーと協働し、三本柱であるGlobal×Finance×Techの領域を横断しながら経営課題を支援するコンサルティングファームです。各領域に特化したファームは多いですが、海外展開からファイナンス支援、テクノロジー導入まで一気通貫で伴走できる点に共感して入社しました。私が所属するファイナンス領域では、会計監査を除く財務・会計支援を担い、IPO準備や資金調達支援、内部統制整備など幅広いサービスを提供しています。
現在は国内外のM&A支援に注力しており、FA業務、財務デューデリジェンス、モデリング、バリュエーション、PMIなどを幅広く担当しています。今後はより大規模なクロスボーダー案件や新興国市場への挑戦を視野に入れ、日本企業の海外展開を金融とテクノロジーの両面から支援していきたいと考えています。

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あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

私は、現場に足を運び、対面でコミュニケーションをとることをとりわけ大切にしています。PC画面越しでは、相手が本当に納得しているのか、苛立っているのか、表情の裏にある心の動きまでは見えません。直接会えば、「この人は本当に売りたいのだな」といった本音が伝わってきます。工場の現場も同じで、どんなに配置図が立派でも、整理整頓された会社と混乱した会社の差は現場に行けば一目で分かります。だからこそ私は、北海道から東南アジアまで、必ず現地に赴き、自分の目と耳で確かめ、相手と対話を重ねています。
この姿勢はクライアントが期待する「常駐価値」としても表れます。リモート型の支援が増えるなか、顔を突き合わせ、ともに汗をかくことで醸成される安心感や、喫煙所での雑談、現場での小さなやり取りが信頼関係を深め、長期的なパートナーシップに結びつくと考えています。海外案件では、完璧な英語が話せなくても、勇気を出してぶつかれば必ず相手は心で受け止めてくれます。王道の対面コミュニケーションは時に遠回りに見えるかもしれませんが、長期的にクライアントに選ばれ続けるコンサルタントであるための基盤だと思っています。
移動の多さは体力的に楽ではありませんが、旅程そのものを楽しめる性格もあり、出張を通じて文化や人に触れることが大きなモチベーションになっています。現場で顔を合わせ、その場の空気を感じながら信頼を築いていくことこそが、AIやテクノロジーでは再現できない私の強みだと考えています。今後も双方にとって最良の着地点を見出すための伴走を続けていきたいと考えています。

前田 恭平さん

05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

コンサルタントとして最も心が震えるのは、クライアントから「ありがとう」と言われた瞬間です。その言葉が「またあなたにお願いしたい」という未来につながる信頼の証として響くとき、大きな喜びと誇りを感じます。単発のDDや内部統制整備から始まった関係が、IT導入や別のプロジェクトへと広がったとき、自分が真に価値を届けられたのだと実感しました。
一方で、依存関係に甘んじて居座り続けることが望ましいとは思いません。PMIは「うまくやれば永遠に入り込める」性質を持つ業務ですが、クライアントが自走できる体制を整えることこそがPMIの正しい成果だと私は考えます。「もう私たちでやっていけます」と自信を持って言っていただけたときの、去り際に残る達成感こそ、何物にも代えがたいこの仕事ならではのものだと思います。
特に印象深いのは、地方企業を支援した案件です。私自身が地方出身ということもあり、東京のスピード感や合理性一辺倒の文化だけでは測れない、地方独自の価値観を肌で感じてきました。地方企業では「仕事が人生のすべてではない」という空気が強く、案件に関与し始めた当初は態度がそっけなかったり、ぎくしゃくしたやり取りもありました。それでも何度も現場に通い、一緒に汗をかきながら調整を進め、最後に「ありがとう、来てくれて助かった!」と言われた瞬間の喜びは格別でした。その言葉は、単なる感謝以上に、自立に向けた一歩を一緒に築けた証だと感じたからです。
私にとっての「ありがとう」は、未来への信頼と自立を支えた証。その一言に、この仕事の価値のすべてが凝縮されているのだと思います。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

監査法人時代に最も悩んだのは、「この指摘は本当にお客さまのためになっているのだろうか」という葛藤でした。見つけた誤りを、どう改善に結びつけていくかの伝え方もあったはずですが、当時の私は職業上の責務として、誤りを伝えることに終始してしまう局面が少なくありませんでした。それが相手のためどころか、むしろモチベーションを下げてしまうのではないか、と感じることも多々ありました。また、監査はクライアントにとっても義務付けられたものであるため、得られる報酬に相手の感謝や手応えが必ずしも伴わないというもどかしさがありました。
その後、コンサルティングの世界に飛び込んだことで、大きな転機を迎えました。コンサルは監査と違って義務ではありません。価値を提供できなければ次の仕事はなく、「来なくていい」と言われればそこで終わりです。背水の陣ともいえる環境に身を置いたからこそ、「どうすれば本当に役に立てるのか」を一心に自問自答し続けるようになりました。
単に誤りを指摘するのではなく、その背景にある経営者の悩みや目指す方向性を理解し、具体的な道筋を示す。時には、外部への説明に耐えうるストーリーまで一緒に描く。そうした働きかけを通じて、初めて感謝と手応えの伴う報酬をいただけることの尊さを、全身で実感しました。
クライアントにとって、監査は「必要だから行う」仕事ですが、コンサルは「価値を感じてもらい選ばれる」仕事です。その違いを身をもって経験したことで、私は単なる指摘者から、解決への道をともに考える「伴走者」へと成長できたのだと思います。

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人生の目的と公認会計士という資格

人生の目的を一言で表すなら、「日本に輝きを取り戻したい」という思いに尽きます。私は、バブル崩壊以降の「失われた時代」に育った世代として、経済が力強く成長し、人々が自信に溢れていた日本を知りません。だからこそ、先輩方の語る元気な日本に生きてみたいと強く願っています。日本全体に「日本はもうダメだ」という閉塞感が漂えば、私たち自身もそう思い込んでしまいます。しかし、「次の成長をつくろう、挑戦を続けよう」という意識で一致団結すれば、必ず再び力を取り戻せると信じています。そのために、自分が持つ会計士としての経験と情熱を注ぎ込みたいのです。
人口減少が進む中、日本企業が成長を続けるには海外展開や事業再編といった挑戦が不可欠です。私はM&A支援というフィールドを、「企業を支え、日本の未来をつくる」ための最前線だと位置づけています。M&Aは単なる数字の取引ではなく、企業の未来を共に描き、雇用や地域社会を支える営みだからです。
M&A支援のための必須資格はありません。しかし私は、公認会計士という資格を得たからこそ、この道に立つことができました。監査で財務の基盤を徹底的に学び、経営の意思決定の現場に触れた経験、そして会計士として積み重ねてきた信頼がなければ、この領域に挑戦することもなかったでしょう。だからこそ私は、「会計士だからできるM&A支援」にこだわりたいのです。数字を正しく読み解き、経営者の思いに寄り添い、未来を共に描く。その積み重ねが企業を支え、日本に再び挑戦する力を呼び戻す懸け橋になると信じています。

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08

これから成し遂げたい事、将来の夢

これから成し遂げたいことは、Global × Finance × Tech の三つの軸を融合させ、日本企業が再び挑戦できる仕組みをつくることです。 GlobalとTechの領域では、会計士に限らず多様なバックグラウンドを持つ若手が活躍し、海外展開やDX支援を積極的に行っています。特にTechは「CIO代行」としての役割を担っており、中小企業が直面するIT人材不足を補っています。新しいシステムを導入したいと思っても、大企業のように専門部署を持てない企業は少なくありません。そこで私たちが業界や業務フローを踏まえ、あらゆる選択肢の中から最適なシステムをフラットな視点で選定・提案します。この取り組みは大変好評で、今年は新卒で東大生を迎えるなど、組織としても活気づいています。
一方、私が所属するFinanceの領域は、今まさに「第二創業期」という転換点に差し掛かっており、若い世代の視点を積極的に取り入れることが急務だと考えています。「ちょっと考え古いんじゃないですか?」と率直に意見を言える距離感で、共に成長していける若手が加われば、クライアントにとっても大きな価値になります。当社グループの魅力であるGlobalとTechの強みを活かしながら、Finance領域も磨き上げ、次の時代を担う仲間と力を合わせることで、日本企業の挑戦を後押しできるような組織を築いていきたいです。

前田 恭平さん

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

監査法人で公認会計士のキャリアをスタートさせた人は、まず監査の基礎をしっかり身につけてほしいと思います。人にもよりますが、最低限、主査を経験するくらいまではやりきったほうがいい。監査を通じて培われる基礎分析力や突き詰める力は、後のキャリアに必ず生きてくるからです。 「監査が楽しい!」と思えるなら、それも素晴らしいことです。監査は社会に不可欠な公認会計士の独占業務であり、その道を極めるのも誇れるキャリアです。ただ、心のどこかで少しでも「企業の立場に立って支援したい」「もっと広い視野で経営に関わりたい」と感じるなら、そのモヤモヤを大切にしてほしい。それが次の挑戦のサインかもしれません。 経歴や年齢を理由に挑戦を諦める必要はありません。私自身も今まさに挑戦の最中にいます。誠実さと好奇心を持って動き続ければ、仕事にワクワク感を見出し、将来の選択肢はさらに広がっていきます。新しい挑戦を考えるときは、一人で抱え込まず、メンターや仲間とつながり、自分の思いを共有してみましょう。思いがけない道が開けることも少なくありません。
最後に。どうか直感を信じて、一歩を踏み出してみてください。その歩みは小さくても、その先には、想像もしなかった景色と、まだ出会えていない自分が必ず待っています。