会計士の履歴書
鯨岡 健太郎

税理士法人ファシオ・コンサルティング

パートナー

鯨岡 健太郎

くじらおか けんたろう

自由な発想は公認会計士という資格を有しているからこそ

1974年12月4日生まれ(51歳) 神奈川県出身 東京都在住

専修大学 商学部商業学科 卒業 1998年合格

鯨岡 健太郎

01

キャリアサマリー

1998

監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)入所

2003

税理士法人トーマツ(現・デロイトトーマツ税理士法人)転籍

2008

独立開業。鯨岡公認会計士事務所を開設

2009

税理士法人ファシオ・コンサルティングの設立に参画、パートナー税理士に就任

神奈川県で育ち、小学5年生の時に父親の転勤で兵庫県に移住。中1、中2はクラスの副委員長。吹奏楽部でチューバを吹く。絶対にメインにならない存在。中学2年生の時に大病を患い1年近く入院。その間は勉強など全くできずにひたすら病気の快復を祈る毎日を送る。中学3年生の2学期より学校生活に復帰し、留年することなく高校受験を乗り越えることができた。これでようやく、どん底から這い上がったと実感。高2より神奈川県に戻る。

高校時代はPCやゲーム代の足しにしようと伯父の公認会計士事務所でアルバイトを始める。当時は単に決算書類の清書係として多数の企業の決算報告書を(意味もわからず)ワープロで清書する日々を送る。ここで初めて簿記会計に興味を持ち、伯父のすすめもあり「どうせなら最高峰の資格を」と決心して公認会計士を目指すこととした。大学では商学部へ。入学と同時に簿記の勉強を開始し、2級まではすぐ取得できたが、1級は大学卒業後に意地で合格(7回目のチャレンジ)。その後なんとか1998年の公認会計士第二次試験(当時)に合格して受験生活ひとまず終了。

1998年に監査法人トーマツに入社し、国内上場企業の会計監査、IPO支援業務などに従事。税金関係勘定科目の監査を担当することになってから自身の税務知識のなさを痛感しつつ、税務の面白さに目覚める。本格的に税務の知識と経験を得るべく税理士法人トーマツに転籍。ここで税務の初歩の初歩から高度な税務相談、M&A関連の税務業務まで幅広く経験することができた。約5年の勤務後に独立開業し現在に至る。

社外活動として、日本公認会計士協会の税務業務協議会に設置されている「税務業務支援専門委員会」の専門委員長として、会計士の税務スキル向上や円滑な税務業務を支援するための研修活動等を行っている。

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

監査法人では国内監査部門に所属し、上場企業の法定監査のほか、IPO支援業務にも従事していた。担当業種は幅広く、小売業や製造業のほか、運送業、証券業、金融業、ホテル業、林業などにも関与させていただいた。当時は業界特有の慣習、会計処理に触れるようになってますます会計の奥深さを実感したものだ。監査業務を通じて得たスキルは、会計士がどのような業務を行うにせよすべての基礎になるほどの重要なものであると信じている。私はその中でも特に、①質問力、②ロジカルな説明能力、③全体俯瞰能力の3つは重要なものであると感じている。

①質問力

監査(audit)は「聴衆」(audience)と語源を共通にするもので、その本質は「聴くこと」にあるという。かつて受験生の頃、監査論の講師からそのような説明を受けて感銘を受けた覚えもある。「いい質問にはいい回答が返ってくる」と、先輩からもよく言われた。逆に言えば、「質問が悪いと回答も悪い」ということである。監査人の期待する回答を引き出すためには、まず自分の質問力を磨く必要があった。Yes, Noの2択ではなく、5W1Hを引き出す質問力。引き出した回答に対して必要な証憑等を要求する「確証的質問」のスキルは監査業務を離れた今でも役に立っている。

②ロジカルな説明能力(監査調書作成能力)

「一定の目的」のもと「入手した情報」に対して「実施した手続」を示し、最終的な「結論」を記載するという監査調書の様式は、自分自身の思考過程をロジカルに整理するうえでも大変参考になるものであり、今でも、税務申告書の基礎資料を監査調書のように作り込んでいる自分がいる。

③全体俯瞰能力

私が監査法人に所属していた頃は比較的早い年次で監査現場のインチャージ(主任)を任されることがあった。私も、前任の退職に伴い入社3年目で初のインチャージとして監査業務をコントロールする立場となり、ろくに全勘定科目の監査手続の経験を経ることもなく、いきなり監査業務全体のコントロールを任されることとなった。とはいえインチャージとして、監査調書全体を作成・レビューする機会に早く恵まれたことは幸いだった。当時のやや背伸びした経験は、その後の監査業務に確実に活かされたと感じている。

インチャージを経験してよかったことは、「全体を俯瞰して物事を捉える」というクセがついたことだと思う。個別の会計処理は正しいように見えても、一歩引いて全体的に一連の取引を眺めてみると異なる評価に達することがある。また、あるイベントが会計処理上、税務上、開示上どのように影響するのか、というように俯瞰した目線で検討するクセがついた。余裕のないときこそ、俯瞰の目線を大事したい。これは今でも自分の信念になっている。

以上のように、監査業務を通じて様々な経験・スキルを蓄積することができたのだが、入社4年目の頃にあるクライアントの子会社に1人で往査し、B/Sの全科目を一日でレビューしてくるという仕事があったときの話がある。当時は公認会計士になりたてではあったが税金関係の知識に乏しく、税務申告書もろくに読めない状況であった。そのような状況ではろくな監査手続ができるはずもなく、監査結果を聞いたクライアントの部長にたいそう説教され、「ああ会計士もちゃんと税務の知識を持たなければならないな」と痛感した出来事があった。会計士と名乗る以上、「会計・監査・税務」の3本柱をバランスよく極めておきたい。これをきっかけに、自分のキャリアパスを税務の分野にシフトすることとなった。

鯨岡 健太郎さん

03

今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

現在は税理士法人のパートナーとして法人向けの税務会計顧問業務を提供する一方、公認会計士として監査業務も引き続き行っている。
税理士法人としての業務の大半は中小企業向けの税務顧問業務であり、月次決算のチェック、税務申告書の作成(またはレビュー)ならびに日々の税務相談が主な業務となる。また、数は多くないが、上場企業やIPOを視野に入れた中堅企業の顧問先もあり、こちらは日々の税務相談が主業務となる。これらの業務は広く税理士事務所(税理士法人を含む)で行われているものであり、特段珍しいものではないのだが、「レビュー」という作業については公認会計士ならではの視点を織り込むことは常に心がけている。最近は「予防税務」という用語がだいぶ浸透してきたが、何か出来事が起きてからの税務上の取扱いを検討するより、これから実行しようとする取引に関して想定される税務インパクトを検討する方が経営者視点では重要だと認識している。前期比較分析、月次推移分析、経営指標推移分析などはもちろんのこと、現在手続進行中の稟議書や契約書ドラフトなどをレビューすることにより、事前に対応すべき税務上のポイントがないか、といった視点も加えている。
税務申告書のレビューも、単に整合性を確認するだけではなく、営業概況や人事情報、投資情報などの非財務情報なども念頭に置きながら実施することで、申告調整漏れなどに気づくこともある。

また、中堅・大企業向けでは連結納税制度の導入支援サービスなども手がけているが、こちらは申告書の作成というより、連結納税制度を採用すべきかどうかの検討に関するコンサルテーションを提供する業務が主体となる。ここでは、会計士の「全体俯瞰能力」が発揮される局面が多い。連結納税制度の採用に先駆けて一定の組織再編を行うことがあるが、個別の組織再編手法ごとの税務上の取扱いを検討するだけではなく、全体として、それらの組織再編がそもそも実現可能なのか(法律上、業界規制上、商慣習等)といった視点は欠かすことができない。
こうした気付きは、前職の税理士法人時代の様々な経験を経て身についたものだと思う。

また、監査人としてのスキルを維持する意味も込めて、現在も敢えて監査業務を行っている(金商法監査と学校法人監査)。これにより、最新の会計基準や監査基準のキャッチアップを行うことができるし、公認会計士である以上監査業務を行うことは社会的使命であると認識しているので、個人会計士として提供できる業務には限界があるものの、今後もできるだけ続けていかなければならないと思っている。

04

あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

私自身は常にオーソドックスな会計士・税理士でありたいと思って業務に取り組んでおり、自分自身で「これが強い」というものはあまり認識していないのが正直なところなのだが、前職の大規模税理士法人での業務経験はある意味「強み」なのかもしれない。個人の会計事務所としては出会うことの難しい案件が多く、それがある意味特殊な経験値として蓄積していることは事実であり、たとえば以下のような業務が考えられる。
・ インバウンド国際税務(外国法人、外資系日本企業)
・ 組織再編税制(税務DD)
・ 大規模法人の法人税申告
・ 税効果会計

英語力も決して高くはない(メールしかできない)が、現在もインバウンド国際税務の案件や、(日本居住者の)外国人の確定申告案件など、「英語+税務」という組み合わせの業務は比較的自分の強みに近い業務分野かもしれない。

税務DDも、小規模なM&Aディールでたまに実施することがある。会計士にとって、財務DDは比較的経験の多い業務とされるが、税務DDについては一気にプレイヤーが減少する印象である。

大規模法人(中堅・大企業)の法人税申告については、基本的には関与先側で作成された申告書ドラフトをレビューする業務をコンスタントに受注している。中小企業では税務調整がほとんど生じないが、上場企業では多くの税務調整が生じることから、会計基準と税務上の取扱いの双方の精通していることが求められる分野である。税効果会計の計算検証業務にも同様の状況が当てはまり、税率差異分析まで含めると相当プレイヤーが減少する部分である。

また、もうひとつの強みとしては「人に教えるのが比較的得意」という点も挙げられるかもしれない。私は日本公認会計士協会の税務業務支援専門委員会の主催研修会で年に数回講師として登壇しているほか、外部セミナーも年に5~6回は開催している計算である。また現在は会計士の実務補習所でも税務の講義を担当している。
特に税務に関しては理解が難しいものが多く、これをいかに受講者に対してハードルを下げて容易に理解してもらえるかを考えることは自分の中では好きな作業である。税務業務も含め、私自身がメインプレイヤーとして動き続けるのはだんだん体力的に厳しくなってくるなと思うようになってきたので、今後は後進育成のための仕事のウエイトを一層高めていくかもしれない。

鯨岡 健太郎さん

05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

会計や税務の仕事はいかにも裏方の業務ではあるが、そんな会計・税務業務を通じて関与先の存続・成長に貢献することこそが私の喜びであり、当社の経営理念にも謳っているところである。
関与先の成長は、毎年の決算の状況からある程度把握できる。面と向かって感謝されるたぐいのものではない(実効税率を低く抑えられれば別かもしれない)が、顧問税理士の立場からすれば大きな喜びであることは間違いない。利益の蓄積が会社の財務基盤を強くし、より一層の成長投資に振り向けられるからである。

これ以外にも、喜びを伴いながらやりがいを感じられる瞬間というものがいくつか存在する。

ひとつは、税務調査の交渉で納税者有利の結論に着地できた瞬間だろう。税務調査は数日間の現地調査を経て、税務署内で詳細な検討が加えられて課税処分の原案が提示されるのであるが、その処分根拠に法令解釈上の疑義がある場合、関連法令や類似判例などを調査した上で反論書を作成して調査官に提示することがある。税務署での議論を経て当方の主張が認められ、追加処分なし(あるいは軽減)となれば関与先からも大変感謝される。このときは大変嬉しい気持ちになる。

もうひとつは、仕事以前の話ではあるが、同業の税理士や他士業の先生などから、案件の紹介を受けるときである。基本的には人付き合いの流れからの紹介だとは思うが、その中でも私の得意分野などを理解してくれた上で紹介をしていただけるというのは、税理士としてというより一個人としてとても嬉しく思う瞬間である。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

私自身は公認会計士として悩んだと自覚している時期は特にないのだが、監査法人勤務時代に「この監査手続に何の意味があるのかな」とか、「いま自分は何の仕事をしているのかな」という、今思えば単なる仕事の愚痴みたいなことは何度も思ったことはある(これらは調べてすぐ解決)。私自身は監査業務そのものをつまらないと思ったことはないし、毎期何らかの新たな発見(監査上のエラーということではない)に出会うことを楽しみにしているタイプである。
 よく「監査はつまらない」として監査法人を早期に退職してしまう人の話を聞く。たしかに、「つまらない」と思えばどこまでもつまらないだろうし、監査手続もただの単純作業にしか感じられないかもしれない。

心理学の用語で「確証バイアス」というものがある。これは、一度抱いた仮説や信念を検証するために、それを支持する情報にのみ興味を寄せ、これに反する情報を無視したり見向きもしないという現象を指すものであるが、要するに「人は興味のあるものしか見ない」ということなのである。監査業務に対する取組もまた、こうした「確証バイアス」の影響を受けているのではないだろうか。「面白い」とまで思うのは難しいかもしれないが、それこそ「何か不正の端緒が含まれているかもしれない」と想像しながら元資料に向き合うだけでも、数値の見方は変わるのだろうな・・・と思うことはよくある。

むしろ税務の世界に移った当初、税法条文の読み込みに大変苦労し、全く内容が頭に入ってこなかった時期が続いていた。会計や監査の世界には「重要性」という概念があるが、税法には全くない。1円たりとも間違えられない(端数処理や四捨五入の方法まで含めて)。こうした「細かすぎる税務」に順応できるのか心配で悩んでいた時代のことを思い出す。税理士試験を乗り越えてきたスタッフですら「こんなの当然じゃないか」と思われるようなポイントを知らなかったり、とにかく「知らなすぎて仕事するのが怖い」という時期があった。ここはもう、ひたすら勉強。とにかく条文を読みまくる。趣旨はコンメンタールを開いて確認。関連通達、制度改正のキャッチアップなど。今まで全く知らなかった知識をどんどん入れていくしか不安を解消させる手段がなかった。あとは、一度怒られたポイントについては再指摘されないように細心の注意を。「怒られポイントリスト」を1つずつつぶしていくという出口の見えない地道な期間が1年くらい続いた気がする。そしてあまり怒られなくなって上司にも少し評価されるようになったのをきっかけに、税理士登録したのだった。

07

人生の目的と公認会計士という資格

私自身、自分で言うのも何だが結構自分勝手な人間だと思う。もともと公認会計士という資格を目指そうと思ったのも、どこかの会社に属して「歯車のように」働くのが性に合わないという意識が少なからずあったからだろうし、また「手に職あればどこででも自由に働ける(に違いない)」と思い込んでいたからである。今思えば恥ずかしい限りなのだが。

動機はさておき、現実に公認会計士の資格を有することができたのは自分自身の誇りである。ある程度自分の思った通りに自由に時間を使うことができているし、組織のしばりも特にない。やりたいことがあれば自由にやれる環境ではある。今はたまたま、税務の世界に自分自身のリソースを集中投下しているだけだが、将来またリソースの使い方を変えるかもしれない。こうした自由な発想は公認会計士という資格を有しているからこそ、である。

人生も確実に中盤を超えている身として、達成可能な目的は何かを改めて考えてみた。これまでにやってきたことの延長線上に未来がある。さてどうだろうか・・・。やはり「後進育成」しかないような気がしてきた。

思えば「複式簿記」というのは本当にすごい仕組みだと思う。全世界で通用する会計の言語である。いかに技術が発達し、AIの進歩があろうとも、「会計」という機能は全世界的になくなるはずもないし、「会計士の仕事」がなくなるはずもない(作業は劇的に減ると思う)。であるならば、会計士を含めた「会計人材」を今後も広く輩出することは社会的使命ともいえるのではないだろうか。

メインフィールドで輝かしく活躍される会計士がどんどん増えるよう、裏でこっそり後進育成している会計士がいてもよさそうだ。私の出自・性格と整合的な結論を得られたような気がする。

鯨岡 健太郎さん

08

これから成し遂げたい事、将来の夢

前述7.に相当記載してしまったが、今後は、後進育成や簿記会計の普及(啓蒙)にもう少しリソースを多く割いていくことを真剣に考えていきたい。現在の組織にいる限りでは、毎年のセミナーや研修の企画・実施を引き続き行っていくことが現実的に達成可能な目標になろうか。あるいは教育研修に特化した組織作りというのも一考の余地はある。

また、自分自身の現在の公認会計士協会での活動として、「会計士の行う税務業務支援」というものがある。個人的には、もっと多くの会計士の税務プレゼンスを向上させていきたいという想いがある。後進育成と並行して、現役の会計士の皆様にも役立つ税務コンテンツを企画し、ひろく利用していただけるようにしたいと考えている。

先日、協会活動として、JICPA近畿会とJICPA北部九州会を訪問して少人数形式の「法人税申告書作成ワークショップ」という実践形式の研修会を開催したところ、大変好評だったことから、これを全国的に展開して利用してもらえるようにしたいと思うし、類似のコンテンツを多く開発して提供していきたいところである。

あとは・・・そろそろ「働き方改革」「ワークライフバランス」という用語に親しんでいきたい。要するに早く帰りたいということであるが、健康あってこそよく働けるわけで。これも成し遂げたいこととしては、とても大事な話である。

鯨岡 健太郎さん

09

キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス:税務の世界を目指すならまずはこのアクションをしよう

会計士の方へ

公認会計士は税理士登録することができるといっても、当然、税理士登録すればすぐに税務業務ができるわけではない。私自身もそうだったが、会計士が税務の世界に入ったときに感じる強烈な違和感というものがあるように思う。それは、税務実務はどんなに細かいこともすべて税法条文によって定められており、基本的には条文の文理解釈の世界。「この規定はこういう趣旨でできているはずだから、このように処理すべきだ」という趣旨解釈は原則として不可。誰も税理士の私見を求めてこない世界。粛々と税法条文に従い処理する世界である。ただ、この世界、慣れれば大変居心地がよくなるものである。自分の意見を持たなくてよいのだから。

そのようなわけで、これから税務の世界で仕事をしたいと思われる方は、まずこの「税法」そのものをよく知る必要がある。それは「租税法」というカテゴリーの書籍を探すことから始まる。「租税法」という法律はないが、租税を規定する法体系全体についての理解を深めるための書籍であり、タックスリーガルマインド(税法的思考)を養成する上で極めて重要な分野になる。

税務の世界の入口「租税法」。興味のある方は是非検索していただきたい。

会計士受験生の方へ

公認会計士試験の科目として「租税法」が設定されていることからも、公認会計士に求められている基礎的な素養として税務に関するスキルも含まれていると理解してほしい。もちろん受験戦略上、「租税法」に多くのリソースを割けない事情もあるかもしれない。会計や監査の理論的な世界を知ってしまうと、租税法の政策的な発想が苦手な方もいらっしゃるかもしれない。

でも、いざ公認会計士試験に合格し、最終的に「公認会計士」の資格を得た瞬間、皆さんは社会的使命を帯びた存在になるのだ。「税務はわかりません」とは、少なくとも公式には発言できない身になるのだ。私自身の怒られ経験からしても、公認会計士が会計業務や監査業務をフルパフォーマンスで遂行しようとすると、税務に関する知識がどうしても必要とされるのである。もちろん好き嫌いはあると思うが、どうか最低限、税務のことも忘れずに。しかしまずは最短合格を目指して、「租税法」を頑張って勉強してほしいと思う。