
江黒公認会計士事務所 他
代表
江黒 崇史
えぐろ たかふみ
今の仕事に一生懸命取り組むことで自分のやりたいことや強みがわかってくる
1974年11月10日生まれ(51歳) 埼玉県出身 東京都在住
早稲田大学 商学部 卒業 2001年合格

01
キャリアサマリー
監査法人トーマツ入所
株式会社イーツリーズ・ジャパン入社 取締役CFO就任
株式会社アーケイディア・グループ入社
清和監査法人パートナー就任
江黒公認会計士事務所設立 代表就任
株式会社E-FAS設立 代表取締役就任
2001年10月に公認会計士二次試験に合格し監査法人トーマツに入所しました。
トーマツを選んだのは正直深い理由はなく、大学のゼミの先輩や兄から「トーマツがいいよ」という声を聞いたからです。面接に行くと、なんと面接後すぐに内定を頂いたので他の監査法人は説明会も行かずに私の最初の就職活動は終わりました。
就職難の時代の方から見れば信じられない就職活動かもしれませんが、結果としてトーマツを選んだことは私にとって大正解でした。所属したのは国内監査班でしたが、当時は上場企業の監査からIPO準備会社の監査、英文アニュアルレポート業務にM&Aの財務調査業務も経験できました。
ただ、2000年代初頭は東証マザーズ市場が誕生しベンチャー企業ブームの動きがありライブドアやサイバーエージェントをはじめ、多くのベンチャー経営者がスポットライトを浴びていました。そのような姿を見るにつけ、自分も経営者側に立ってみたいと思うようになりました。ちょうどその頃、古い友人がITベンチャーを起業することとなり、自分もその会社に取締役CFOとして飛び込んでみました。
そこではそれまで経験したことがない資本政策や予算作成立案、資金調達業務なども担当し、右も左も分からないまま日々がむしゃらに働きました。また友人と会社経営をするのは非常に楽しかったのですが、友人である分難しいことも起こり、結果として私がこの会社を辞めることとなりました。
そこでもう一度公認会計士として修業をしようと、小さい会計コンサルティング会社を選びました。この会社は監査法人と税理士法人を併設しており、やはり監査業務以外にコンサルティング業務や税務業務など多くの経験をさせていただきました。
特に監査法人ではパートナーとして上場企業の監査報告書にサインをさせていただいたり、セミナー講師、執筆、事業開発、リクルート活動など幅広く業務を担当させていただくなどしました。
やはり仕事は楽しかったのですが、いずれは独立したいという想いもあり、子供ができたことをきっかけにその夢を実現することにしました。
現在は、江黒公認会計士事務所、株式会社E-FASという二つの組織でIPO支援やM&Aアドバイザリー業務に従事するとともに上場会社、非上場会社の社外役員を複数務めております。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
私の場合、監査法人における経験はスタッフとしての経験とパートナーとしての経験があります。
スタッフとしては新人でしたので、簡単な科目から監査を学びました。また当時は監査部門にいながらも、上述したように上場準備会社や英文業務、M&Aにおける財務調査業務も担当しスタッフとしてはかなり幅広い経験が得られたと思います。監査業務であってもIT企業、製造業、小売業、商社など幅広い業種の会社に行かせていただきました。
ただ、やはり監査人として会社を外部から監査することと経営者として会社経営に挑戦すること、どちらかの道で思い悩み始めたところ、友人が起業すると聞いて経営者として一緒に挑戦することを決断しました。
次に再び監査業務に戻った時は主にパートナーとして関与しました。パートナーといっても当初は小さな監査法人でしたので自分が監査現場で監査調書を作ることも多かったですが。
またパートナーとして社員会で監査法人の経営はみることはもちろん、新規開拓やセミナー活動、執筆、リクルート活動など会社経営者として多くのことを経験でき、仕事の面白さもやりがいも充実していました。
監査法人でパートナーとなると監査法人内では次のキャリアはないですが、自分が会計士試験を目指した理由の一つに「自分の名前で仕事ができる」ということがありました。
そして子供ができた時にふと「将来自分は子供に仕事についてどんな風に語れるのだろう。独立したかったけどしなかった、とは言いたくない。子供に胸を張って自分の仕事のことを話せるようになりたい」と思い、独立に至りました。
よく「子供ができてから独立するのは怖くなかったのですか」と聞かれます。
たしかに監査法人から独立すると監査クライアントをそのまま引き継ぐわけにもいかず、独立直後は収入がゼロとなり開業準備でお金ばかり出ていくことが想定されました。
独立することも、監査法人退職直前までは周りに話しておらず、独立後の仕事のあてもなく不安ではありましたが、食えなくなったらまた就職すればいい、やらずに後悔するよりやって後悔する方がいい、と持ち前の楽観主義で独立に至りました。
なお、妻には監査法人を退社する直前まで独立することを話していませんでしたが、「あっそうなんだ」とあっさり納得してくれました。最近は「嫁ブロック」という言葉もある中、何も言わずに独立を応援してくれた妻に感謝しています。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
今現在の仕事は大きく3つです。
その3つとはIPO支援業務、M&Aアドバイザリー業務、そして社外役員です。
1つ目のIPO支援は設立前後のスタートアップから上場直前の会社までクライアントの幅があります。
設立直後の会社に対しては、設立の相談から事業計画作成、資本政策立案、投資家の紹介、資金調達などを支援しております。
なお税務業務は実施していません。よく「税務以外で仕事があるのですか?」と聞かれますが、多くのスタートアップ企業から資本政策や資金調達関連、IPO相談でお仕事をいただいております。
2つ目のM&Aアドバイザリー業務は主に財務調査業務と株価算定業務になります。
時にはFAとしてロングリストを作成して候補先の発掘もありますし、ストラクチャーの相談から入ることもあります。
ここ数年は上場会社が小規模な会社を買収することが増え、そのような小規模M&Aについて多く相談を受けております。近年は上場会社や上場準備会社でもCFOや経営企画室に公認会計士の方が在籍していることも多く、そのような方々と一緒に仕事ができるのは大変嬉しいですね。
3つ目の社外役員は上場会社、上場準備会社の社外役員を7社務めております。
内訳としては社外取締役が1社、社外監査役が6社となります。社外役員の業務としては取締役会や監査役会への出席に加え、監査法人との打ち合わせや内部監査への同行などがあります。上場準備会であれば、それらに加えて主幹事証券会社との打ち合わせにも参加して、IPOに関する相談にも対応しております。
その他にもセミナー講師やコラム執筆などの相談をいただくことも多くあります。
自分はセミナー講師もコラム執筆も大好きなので、できる限り積極的に引き受けております。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
まずはご相談頂いたことに対してできるだけ早く、丁寧に対応をすることを心がけております。
また強みと言えるのかわかりませんが、私の場合は多くの方から「会計士っぽくないですよね」とおっしゃっていただきます。
おそらくそれが相談しやすいことにつながり、今の仕事にも結びついていると思います。
具体的には知り合った方から「ちょっと教えてください」というメールやLINEは多く頂きます。
正直、顧問料をお願いしたいような相談もあるのですが、長い目でみていつか返ってくると信じて時間の許す限り迅速に対応しております。
実はこのような相談は、独立前から多くの経営者やCFOクラスの方々から受けておりました。
会計や監査に関する相談はもちろん、自分の友人経営者からビジネスに関する相談も多くありました。
その経験が「独立しても何とかなるかな」という気持ちにつながり今の独立スタイルに至ったところがあります。
また私は独立しておりますが税務をやっておりません。
よく「独立して税務をやっていないのですか。税務をやらずに独立してやっていけるのですか」と公認会計士の方から驚かれますが、今はIPOやM&Aが非常に活況な恵まれた環境なので税務をやらずとも十分お仕事をいただいております。
私自身、独立して仕事をしていく上では何かしら強みや特徴が必要だなと感じておりました。
そこで監査も税務もコンサルティングも何でもやります!というスタイルよりは、「自分はIPO支援とM&Aアドバイザリーが得意です。税務や監査はやっておりません」というスタイルの方が周りの人に自分のことを覚えてもらえるでしょうし、何より自分が好きなことを仕事にすることができると思います。
好きなことを仕事にする、ということは非常に難しくきれいごとにも聞こえるかもしれませんが、せっかく独立するからには自分が情熱を持って取り組めることを仕事にしようと思いました。
その情熱が周りにも伝わり、結果として仕事を多く依頼されるようになったのではと感じております。

05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
沢山ありますね!
例えば、素晴らしい経営者・会社に出会い、自分がご支援をさせていただき一緒に成長できている時はどの仕事も素晴らしい経験です。
スタートアップであれば経営者も会社も日々驚くほどのスピードで成長していきます。そこに自分が関与し、お互いが成長していく時は心が動きます。またM&Aで難しい交渉となった際にクライアントと相手方とをまとめ上げた際などは本当にこの仕事をしていて良かったと感じました。
特にM&Aでは買い手と売り手の感情が入り混じり、気まずい場面となることもあります。そのようなときに両者が自分を頼ってくれてまとまった際は涙が出るほど嬉しかったですね。
また社外役員を務めている会社で社長からアドバイスを求められたり自分の発言で会社の決断が動いたりする際も、高い責任とやりがいを感じ、自分自身も成長させていただいていると感じます。
このような際に公認会計士という専門職に就いて自分の名前で仕事をしていることに喜びと誇りを感じますね。
06
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
まずはどうしても公認会計士というイメージが監査や会計の専門家と狭く捉えられてしまうことがもったいなく残念に思います。
また公認会計士は独立したら税務をやる、税務をやっている、というイメージも多いようで、もったいないなと感じます。
もちろん、監査は独占業務であり社会的意義も高い大事な業務です。
しかし、公認会計士はそれだけではなく、クライアントや社会に貢献できることが多くあると思います。
そこで自分はまずブログで会計やIPO、M&Aに関する情報やビジネス本の紹介などを発信しております。おかげ様で多くの方にブログを見ていただき、色々な相談を受けるきっかけの一つとなっております。公認会計士の方も多く見ていただいているようで名刺交換する公認会計士の3人に1人は「あっ、ブログ見ていますよ!」とおっしゃっていただき本当に有難いですね。
またベンチャー経営者やM&Aに関わる方々との交流会も開催しております。毎月の交流会の開催回数は累計で100回を超えました。年末の忘年会は100名規模のCEO、CFO、ベンチャーキャピタル、証券会社等の方々が集まる会となり、多くの方に喜んで頂いております。
自分で交流会を開催していることから他の交流会にも呼んでいただくことが多いですし、経営者同士のビジネスマッチングの場を提供することも多いです。
最近でこそ公認会計士の方でもベンチャーの交流会に参加している人が増えてきましたが、以前はほとんどおらず「なんで公認会計がここにいるんだ?」というような顔をされたこともありますね。そのような場面で経営者とお話していると「会計士っぽくないですね」という声をいただき、それが次の出会いなどに発展していきます。
このような情報発信や交流会の開催などを通じて、「江黒さんは公認会計士だけど会計以外のことも幅広く相談できる」というイメージを持っていただけているのかなと思っております。
ブログやツイッター、Facebookの情報発信は誰でも気軽にできますので、これは多くの方にお勧めですね。
07
人生の目的と公認会計士という資格
人生の目的、という大きなことはあまり意識をしていませんが、日本を元気にするべく、元気な経営者・会社に貢献をしたいと思っております。
自分の場合30歳前後ぐらいから同世代のベンチャー経営者たちと親しくなりました。
彼らはそれまで自分が接していた方々とはまったく違う世界の方々で、自分の仕事に情熱をもっており、何時間でも夢を語るような熱い方々ばかりでした。
その友人達の多くが今や上場社長となり、今も成長しております。
そのような友人達に自分の専門領域や得意なことで貢献し、公認会計士の使命にもあるように国民経済の発展に寄与していきたいと願っています。
振り返ってみると公認会計士という資格は自分にとって本当にぴったりの資格だと思います。
自分が公認会計士を目指したのは税理士である父と兄から「資格は取っておけ。お前は税理士より、公認会計士になった方がいいよ」と言われたことがきっかけでした。
正直、試験勉強開始当初は、監査やコンサルティングという仕事が何かもよくわかっておりませんでしたが、公認会計士という資格を通じて得た専門知識、経験は私の人生にとって欠かせないものとなりました。
本当に公認会計士という資格に感謝しておりますし、もっともっと多くの方に知ってほしいし目指してほしい資格だと感じています。それが次で述べる夢にもつながっております。

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これから成し遂げたい事、将来の夢
これから成し遂げたいこと、将来の夢としては、教育や研修事業にもっと力を入れていくということです。
私は今、公認会計士協会の広報委員を務めております。
その活動の中に「ハロー!会計」という小学生や中学生への会計教育活動があります。
例えば、「牛丼屋さんとステーキ屋さん、どっちが儲かる?」「赤字のたこ焼き屋さんを救おう、損益分岐点を学ぼう!」など子供たちが会計の考え方を学ぶ授業や、「ジュニア公認会計士になって模擬監査を体験しよう」といった決算書の誤りをみつける授業などがあります。
会計の大切さは言うまでもないことですが、小学生や中学生のころに会計に触れる機会はなかなかないでしょう。
そこでこの「ハロー!会計」という授業を通じて会計に触れ、面白さや重要性を知ってもらえたらと考えています。最近では毎年参加いただく方も増えており、将来の職業の選択肢として公認会計士を考えているという声を聞くこともあります。この活動を通じて会計を身近に感じていただき、社会貢献できればと願っています。
最近では参加者が高校生にまで広がっています。
もっともっと大きな活動になればと思っておりますので、関心のある方はぜひ広報委員会にご連絡をください。

09
キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
キャリアは人それぞれです。他人の芝生はどうしても青く見えるものですが、やはり自分の好きなこと、やりたいことを考えていくことが良いでしょう。
好きなこと、やりたいことは無理に見つけなくても大丈夫です。そのようなときは、逆に自分が苦手なこと、やりたくないことを書きあげてみるのもよいでしょう。
例えば、私は独立しておりますが税務業務は一切やっておりません。
一般的に会計士が独立すると税務を中心にすると思われますが、私は独立するなら税務はやらない、独立するからには自分が好きなIPOやM&A支援を仕事とすると決めたからです。
実際独立してみると税務の相談もよく受け、お断りばかりしていると正直もったいないという気持ちもあります。
ですが、その分IPOを目指す経営者やM&Aに取り組んでいる経営者からの相談にのることができ自分の強みも発揮できており、十分満足しております。
むしろ「私は何でもやります、何でもできます」と名刺ばかりいっぱい配ってもなかなか周りの人の印象に残らないのではないでしょうか。独立を目指すなら、自分の特徴が出せるよう、やらないことを決めて自分の得意なこと、好きなことを打ち出すようにしていくのが良いと思います。
仕事のキャリアは誰しもが一度は迷うものです。そのようなときに大切なことは今の仕事を大事に、一生懸命取り組むことです。今の仕事に一生懸命取り組むことで自分のやりたいことや強みがわかってきます。
一生懸命取り組むことで自身の力がつきますし、周りからの信頼も高まり結果として人脈も広がっていくでしょう。
私自身、公認会計士の方からキャリアの相談をよく受けますが、中には言い訳ばかりして転職活動を繰り返している人も少なくありません。石の上にも三年、とまではいいませんがまずは今就いている仕事に一所懸命取り組むこともキャリア形成や天職の発見に役立つと思いますよ。
公認会計士受験生の皆さん、会計士の仕事は本当に面白く、そのキャリアは無限大ともいえます。受験時代は勉強が大変でくじけそうな時もあるかと思いますが、自分が会計士として働いている姿をイメージして、受験勉強をがんばってください。
仕事の内容をよくわからない自分が試験に合格して18年も働けているのですから、公認会計士という仕事は本当にすごいと思います。将来一緒に働けることを楽しみにしております。


