会計士の履歴書
木村 加奈子

日本公認会計士協会

JICPAリサーチラボ 研究員

木村 加奈子

きむら かなこ

会計士を含めたビジネスプロフェッショナルの可能性を広げ社会をより面白くしていくことがミッション

1970年代生まれ 東京都出身 東京都在住

東京大学 教育学部 卒業 2003年合格

木村 加奈子

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キャリアサマリー

1999

第一法規出版株式会社(現 第一法規)入社

2001

退社後、会計士受験勉強に専念

2003

会計士2次試験(当時)合格 新日本監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人) 入社

2008

株式会社グロービス 入社

2009

新日本有限責任監査法人 再入社

2015

EY税理士法人ピープル・アドバイザリー・サービス部 出向

2017

エーオンヒューイットジャパン株式会社(人事コンサルティングファーム) 入社

2018

日本公認会計士協会JICPAリサーチラボ 入職

小学校から高校までを女子校で過ごし、大学入学では運動会(体育会)自転車部旅行班に所属。自転車で日本全国を旅する。

社会人2年目での失恋をきっかけに「生涯にわたり経済的に自立するための力をつける」と決意。公認会計士という苦手な数字系の資格に狙いを定めたのは、合格までの道のりで格闘すればするほど、その体験をいつかビジネスに繋げられると考えたため。新卒入社の出版社を辞め、背水の陣で受験勉強に専念。2年後に当時の2次試験に合格し、新日本監査法人で会計士としてのキャリアをスタート。

監査人、企業研修講師、人事コンサルタントなどを経て現在は会計士協会リサーチラボに所属し、公認会計士制度の発展を支えるための調査研究に従事。一方で、米国ギャラップ社認定ストレングスコーチの資格を持ち、個人の強みを生かしたコンサルティングやコーチングも手掛けている。会計を通して人と社会を幸せにすること、会計士を含めたビジネスプロフェッショナルの可能性を広げ社会をより面白くしていくことを、自身のミッションと考えている。

趣味はトレイルランニング、剛柔流空手道

男子2人の母(2011年、2014年生まれ)

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

監査法人への出戻り経験があります。少し珍しいかもしれません。
最初の入社は合格直後で、それから4年半、MNC部(Multi National Client部)という米国市場にファイリングしている企業だけを集めた部署に所属していました。2年目からはメーカーの本社監査チームに張り付きとなりました。折しもUS-SOX黎明期。手続きから調書化まで、チーム一丸となって手探りで開発したのはエキサイティングな思い出です。一方で、クライアントの規模が大きく、かつ、複雑な売上取引をしており米国基準に沿って厳しく監査をする必要があったため、繁忙期でなくても夜を徹してクライアントとディスカッションするようなことも多々ありました。心身のバランスが危うく、ボーナスを手にデパートに駆け込み爆買でストレス発散したりしていました。また、「どんなに専門性が高い個人が集まっていても、チームが適切に運営されていないとその力は総和を上回るどころか下回る可能性さえある」とも感じており、もっと人や組織について深く知りたいと思うようになっていました。
そんな時に出会ったのがグロービスでした。当時の部門長がパートナーのリーダーシップ向上のために、グロービスに研修を依頼していたのです。この会社なら何かヒントを見つけられるかもしれないと思い、4年目の終わりにグロービスの企業研修部門に転職しました。
後述しますが、グロービスである強烈なきっかけがあり、新日本の国内監査部門に再入社しました。そこでは上場企業の子会社の主査を担当したり、海外売上9割超のメーカーの海外監査チームのコーディネーションを担当し単独で海外出張に行くなど、監査の王道とグローバル業務を経験し、とても充実していました。英語が必須の環境でしたので、育休中も力を落としたくない、できれば力を伸ばした状態で復帰したいと思い、第一子の育休中はバギーを押しながら英文の暗唱をしたり、第二子の育休中は会計専門職大学院で英語の授業を科目履修したりと、自分なりに研鑽に励みました。その甲斐あってか、のちに外資系コンサルティングファーム(エーオンヒューイットジャパン)に転職した際にも各国のコンサルタントとスムーズにコミュニケーションをとることができました。
再入社後に結婚し、二人の男児を出産しました。監査法人で安心して2回育休を取らせていただいたことには本当に感謝しています。家族が増えると仕事の重要さが増します。戻る場所があるということはとても心強いことです。
ただ、第一子の育休復帰後の経験により、第二子の復帰後にどのような仕事をするかを真剣に考えることになりました。追ってお話ししたいと思います。

木村 加奈子さん

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今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

今いるJICPAリサーチラボは、公認会計士制度の発展に寄与する調査・研究活動のために2016年に設置された部署で、研究員(会計士)が10名程度所属しています。会計・監査の国際動向を追っている人、監査実務を経て大学院で博士号取得を目指しながらリサーチ業務に従事している人、独立開業のコンサルティング業務と両立させている人、様々います。それぞれが独自の切り口やテーマを持っているので、話しているだけで刺激をもらえます。
私は今年からこの組織の常勤研究員として、主に育成系の課題に携わっています。現時点での最大のミッションは組織内会計士(Professional Accountants in Business, PAIB)の能力開発支援のためのプロジェクトで一定の成果を出すことです。皆さんも感じられているかと思いますが、2011年頃から監査法人を辞めて企業や官公庁などで働くPAIBが増えていて、協会の「組織内会計士ネットワーク」の会員だけでも2013年比で倍増しています。ネットワークでは有志が中心となりPAIBの資質・能力向上のための研修や交流会を積極的に企画・開催し、ネットワーク会員にとても好評を博しています。ただ、現時点では協会としてPAIBのマーケティングが必ずしも追い付いておらず、また、PAIBの雇い主である組織体のニーズの構造化も途上のため、能力開発の全体像構築や体系化までは手が回っていない状況です。PAIBの存在感が増していく中、その価値をより向上させ世の中にも認めていただくことがPAIBひいては会計士全体の発展に繋がるとの思いから、PAIBの包括的支援をするためのプラットフォーム構築を目指し、協会内外とのディスカッションや調査を積み重ねています。
このプロジェクトを通して、ひとつの発見がありました。実はPAIBのみならず会計士全体のブランディングというか、「会計士に何ができるのか」「会計士が仕事を通してどのような社会を実現していきたいと考えているのか」と言った議論が業界全体で不足しているのではないかとの問題意識です。ESGやSDGsなどの概念がビジネスの世界でも一般化してきた今、会計士業界としてもそのような広い視点で社会と自らを捉え直すタイミングを迎えているのではないでしょうか。かなり壮大なテーマではありますが、任期の間に提言など何かしらの形にしていきたいと思っています。
協会というと、会員登録やCPE単位取得などの管理業務がメインのように思われているかもしれませんが、このように、会計士が主体的に考え動ける環境があります。調査業務以外にも実務指針の作成など、業界内外へのインパクトが大きいやりがいのある仕事もあります。興味のある方はぜひ協会のホームページを見たり直接問い合わせてください。また、会員を集めて何かイベントをしたいという場合も、協会以上に会員の情報を持っている組織はありませんから、躊躇せず扉を叩いていただければと思います。皆さんからのお問合せをお待ちしています。

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あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

面白そうだとピンと来たことには躊躇せず飛び込んでみることでしょうか。置かれた環境で最大限楽しもうという適応力・チャレンジ精神・転んでもただでは起きないグリップ力もある方だと思います。自分の気持ちに素直というのも強みと言って良いのであれば…ちょっと子供っぽいですが(笑)。あとは、「ひとことで言うと○○ですよね」という全体把握力や要約力は、人から指摘されて気付いたことですが、それなりに高いと思います。
一方で、いくら信頼している人に勧められても自分で面白いと思えないと全く没入できません。「興味がないって顔に書いてあるよ」と昔、同僚に言われてはっとしたことがあります。また、単純作業に限らず、同じことを繰り返すのが苦手です。こんな私が監査を8年近く続けられたのは、使命感と根性があったからかなあと思います。
リサーチラボでの調査研究はコンサルティングに似たところがあり、EY税理士法人とエーオンヒューイットでの通算3年間の人事コンサル経験はとても役立っていると感じます。たとえば、協会内の他部署から少々漠然としたご相談が持ち込まれたりするのですが、そのもやもやの正体は何なのか・本当の課題はどこにあるのかを読み解き、ソリューションの選択肢をわかりやすく説明する際には、好奇心・粘り強さ・チャレンジ精神・要約力などの生来の性質に加え、コンサルティングの技術力が私を支えてくれていると感じます。
コンサルティング力などとカッコいいことを言っていますが、コンサルタントとしてEY税理士法人に出向したての頃はパワーポイントも作れない、プレゼンテーションもファシリテーションもほとんどやったことがないという、不安すぎる35歳過ぎの新人でした。本当にありがたいことに懐の深い同僚や上司に恵まれ、私のそれまでの経験を尊重しながらスキル不足の分野については集中的に場数を踏めるよう機会を作ってくださった結果、2年の任期中にクライアントに出せる資料が作れるようになり、プレゼンターや研修講師も務められるようになりました。当時の同僚・上司とは定期的にキャッチアップし、自分が前に進んでいるかを見直す機会をいただいています。大切な出会いと繋がりに心から感謝するとともに、私も関わる方々の強みを伸ばせる存在でありたいと思っています。

木村 加奈子さん

05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

監査法人に戻ろうと決めた瞬間の心の動きは、今でも鮮明に覚えています。
その頃、グロービスで上場企業の部課長クラス向け選抜研修のアテンドをしていました。ある日、リーダーシップ研修の講師が「あなたの使命は何ですか?」と受講者に熱く語りかける姿を見ていたところ、まるで自分に問いかけられているように感じ、使命を自問せずにはいられなくなってしまいました。「仕事に未来を感じられず逃げるように転職してしまったが、会計士として成すべきことをしたと言えるだろうか」と。また、同じ頃、研修講師をしたいと上司に申し出たところ、「講師として受講者に伝えたいことは何か?」と問われ、プログラムの内容を教える以外のことが思い浮かばない自分に気付き、もっとプロフェッショナルとして自信をつけ自分なりのメッセージを発信できるようになりたいと痛烈に感じてもいました。
もう一度会計士の王道でチャレンジし、会計士としてこれをやったと胸を張れるようになりたい。プロフェッショナルとしての使命に向き合いたい。その思いが募り、新日本の知人を頼って求人中の監査チームを紹介していただき、最初とは別の監査部門に採用していただきました。そこでは先述のとおり、日系企業の主査とグローバル業務の両方を担当し、希望どおり、会計士の王道である監査業務に邁進することができました。第一子の育休に入る直前まで目の前の監査業務に没頭しており、正直なところ、使命を自問する余裕はありませんでした。第二子育休復帰後にEY税理士法人で人事コンサルタントの仕事を始め、会計士や監査の仕事を少し離れたところから眺めるようになったときに初めて、「会計を通して人と社会を幸せにする」という使命、いえ、もっと柔らかいコンセプトのようが浮かんできました。今も模索を続けています。 
面白いことに、会計士としての業務をしていなくても、常に私の頭の片隅には会計士としてのアイデンティティが点滅し続けてきました。「会計士は規制産業である監査をしていればいいからラクだよね」とコンサルタントなど業界外の方から揶揄されると、それは違うと猛烈に反論したくなる自分がいます。この会計士へのこだわりがどこから来ているのかよくわからないのですが、これからも私の仕事観の根底にあり続け、キャリア選択の羅針盤になり続けるのは間違いないと思います。

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公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

最初に監査法人に入社して退社するまでの4年半は、長時間労働に疲弊しきっていました。社会全体が今ほど働き方についてセンシティブでなかったですし、会計士の多くはとても責任感が強くプロ意識が高いので、自分のアサインメントを可能な限り高水準で仕上げるために時間を問わず働く傾向が強く、労働時間が長くなるのは致し方ないという空気が強かったと思います。要領が良くなかったことも相まって、私も時間制限なしでガリガリ仕事をしていました。30歳前後で体調を崩す一歩手前のような状態が続き、「これで結婚や妊娠ができるのだろうか…」と不安で仕方なかったです。当時、監査チームとクライアントとの関係が非常にシビアだった上に、経験不足から杓子定規なことを言ってしまったりしてやればやるほど煙たがれたのも、ボディーブローのように効いてきました。結局、このような経験がきっかけで組織や人のマネジメントに問題意識を持ち、グロービスに入社するという道を選びました。
また、再入社の2年後にマネージャー昇格のチャンスを迎え自分なりに張り切って仕事をしていたにも関わらず、第一子の妊娠と育休が決まり昇格の話が自然消滅してしまったときにも、かなりへこみました。育休から無事復帰したものの、他の同期と比べ成長機会に乏しく評価に結び付きにくい仕事が回ってきている感じがしており、「このままシニアスタッフとして何年も同じレベルの仕事を繰り返していくのか…」と暗澹たる気持ちに陥ったりしました。そのような不安や今後の展望などを、上司や同僚にきちんと伝え相談すれば良かったのですが、「下手にがんばります宣言してしまうと赤ん坊がいるのに長時間労働に陥り家庭運営が回らなくなるのではないか」と先読みしてしまい、十分なコミュニケーションを図らなかったのはまずかったと反省しています。自分で自分を惨めにしてしまってはいけないですね。その頃の自分を今でも反面教師にしています。
この苦い経験をバネに、第二子の育休中には自分がどうしたいかを猛烈に考え抜きました。その結果、職階を上げることへの執着を手放し、本当にやりたいことをやるという決断をしました。そして、育休中に出向先リストを入手し、EY税理士法人に人事コンサルタントのポストを見つけ、これだ!直感するや否や採用担当者に連絡し、電話で面接し、内定を取り付けました。決められたルートを飛び越していたため、監査法人の上司には大変なお叱りを受けましたが…。私にとってこの決断は「覚醒」とでも呼びたいようなドラスティックな方向転換であり、逃げというより攻めの乗り越え方ができて良かったと思っています。

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人生の目的と公認会計士という資格

「自分を含めてひとりひとりを大切に」-高校まで通ったカトリックの女子校で言われ続け、いつも心に留めている言葉です。自分の生き方の根本にあると自覚しています。
「自分を含めて」というところが好きですし、ポイントではないでしょうか。自分を大切にできてはじめて、他者を大切にできると思います。とは言え、「自分を大切にする」とは何かという定義はなかなか難しいです。私は「自分に嘘をつかず、正しいと思うことをやり抜く」のが第一義と理解しています。その上で、周囲のひとりひとりに心を配りながら、社会全体に幸せをもたらす一筋の光になるべく努力する。それがこのメッセージの本位であり、私の生き方であり人生の目的だと思っています。
資格との関連で言うと、「会計を通して人と社会を幸せにする」ことを目指しています。企業研修のコンテンツを作るときにも、「この会社のこの階層の方が会計スキルを身につけると、ご自身や同僚・部下・取引先・顧客はどのようにハッピーになるのだろう?」と常に考え、私なりの仮説を研修現場でお伝えし、皆さんにも考えていただくように心がけています。会計は世界の共通言語であり、コミュニケーションツールです。知らないより知っている方がずっと人生が豊かになると信じているので、それを伝えていきたいです。
会計士資格のパワーを維持し強めていくことも、私自身の使命と考えています。それが現在の協会での仕事とリンクしていると思っています。資格を手に世の中で様々なチャレンジをしたいという方を、ひとりでも多く応援したいです。

木村 加奈子さん

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これから成し遂げたい事、将来の夢

これまで働いた組織はいずれもBtoBの会社です。クライアントと言えば企業・法人というのが、これまでの私のキャリアでした。
EY税理士法人で人事コンサルタントを始め、企業研修講師をするようになってからでしょうか。また、子どもが二人になり、「人って面白い!」とますます思うようになっていたことも影響しているかもしれませんが、「組織という箱だけでなく、その中で働くひとりひとりにもっと目を向けたい」と思うようになりました。
エーオンヒューイットで従業員エンゲージメント調査や経営層インタビューやアセスメント(資質・能力評価)に従事してから、その思いをより強くしました。組織とその構成員である個人の相互作用・ダイナミクスがとても面白く、追求しがいがあると直感したのです。
将来独立する可能性も意識し、エーオンヒューイットの退職を機に米国ギャラップ社のトレーニングに参加し個人の資質に着目したコーチングの技法を学び、「ストレングスコーチ」の認定を取得しました。今は友人知人へのセッションが中心の細々とした活動ですが、ゆくゆくは、会計士の資格と掛け合わせ、より広く深く活用していきたいと思っています。組織・個人の両面からビジネスパーソンの成長支援をしたいのです。特に、会計士や医師、教師などの専門職の支援をし、世の中を幸せにすることに貢献したいです。
ちなみに、ギャラップのストレングスファインダーという資質の傾向を見るためのツールで測定した私の上位資質は、「最上志向・着想・戦略性・学習欲・アレンジ」です。すごい人に囲まれ、楽しいことをあれこれ考えるのが大好き!という感じでしょうか。やはり少々子供っぽいですが(笑)、結構気に入っています。

木村 加奈子さん

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス:資格があるから安心してチャレンジを!&育休復帰前は「How」より「What」を見つめては?

迷っているならとにかく動くことだと思います。
熟考してから行動に移すタイプの方もいると思います。そういう方も、「考えるの終了!」という締切日を予め決めておき、そのときが来たら潔く決断してみてはいかがでしょうか。たとえば、現状維持4:チャレンジ6くらいの気持ちになっていたらチャレンジしてみる、とか。
何のために資格を取ったのか。私のように、一生ひとりかもしれないから経済力をつけたいという悲痛な思いで勉強した方もいらっしゃるでしょう。あるいは、周りの友人が専門学校に通っていたからなんとなく一緒に勉強しているうちに受かってしまった、という方もいらっしゃるかもしれません。いずれにしても、「資格は保険」です。気になる仕事ややってみたいこと-遊びや留学かもしれません-があり、いてもたってもいられないのなら、その直感に素直になり、まずはやってみてはいかがでしょうか。もし思っていたのと違う風景が広がっていてやり直したくなったら、やり直せばいいだけです。監査法人に戻るなり、別の仕事を始めるなり。そのときに、資格はきっと威力を発揮してくれます。
皆さんには帰ってくる場所があるのです。なんて安心なんでしょう!ほかでもないご自身の人生、自分を信じてぜひチャレンジしていただきたいです。
育休復帰を控えている方には、「『How』と『What』を分けて考えてみては?」とご提案させていただきます。
第2子の育休中、「時短で戻ろうか?フルタイムで戻ろうか?」「お兄ちゃんと同じ保育園に入れなかったらどうやって送り迎えする?」など、復帰に関する「How」ばかり思い悩んでいました。でも、ある日ふと、「HowとWhatを分けて考える」というフレーズが頭に浮かびました。どうしよう、どうしようと手段について悩む前に、子どもを日中預けてまでやりたい・やるべき仕事は何なのかを自問してみよう、と。それがわかれば、その仕事を続けるためにどれくらいの時間や体力が必要なのかがわかり、具体的なHowの検討に入れると思いました。
まずは「What=どのような仕事をするか」を決め、それを実現するための「How=どうやって働くか」を考える。
実際にやってみると、とてもすっきり整理できました。結果として、先にお話ししたとおり、組織と人にダイレクトにアプローチできる人事コンサルティングの仕事をしたいと気付き、EY税理士法人に出向しました(What)。そして、その仕事が想像を超えて面白く充実しており、かつ、スキルアップの時間確保が必須と痛感したため、時短勤務を1か月で切り上げ、定時ぎりぎりまで働くスタイルに切り替えました(How)。既存のWhatを暗黙の前提としてHow優先の思考に嵌ったままだったら、この転機は得られなかったと思います。
赤ちゃんを保育園に送り込んでほっとしたのも束の間、30分後には「37.5度ですのでお迎えお願いします」という一本の電話でダッシュで逆戻り-そんな日々がしばらく続くので、親業と仕事の両立のためには、What とHowの両面から純度を上げるのが必要ではないでしょうか。本当にやりたい・やるべきことを、最も効果的かつ効率的に行う。監査実務にも通じる思考回路、私たち会計士の得意分野。ぜひそのスキルをフル活用し、一人でも多くの方にもっと幸せになっていただきたいです!