会計士の履歴書
五代儀 直美

株式会社Orchestra Holdings

取締役CFO

五代儀 直美

いよぎ なおみ

会計士資格により広がった挑戦のフィールド。挑戦と経験の連鎖が成長を加速させてくれた

1975年8月26日生まれ(51歳) 茨城県出身 東京都在住

早稲田大学 政治経済学部 卒業 2003年合格

五代儀 直美

01

キャリアサマリー

1998

野村證券株式会社 入社

2000

米国公認会計士試験合格 EYトランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社 入社

2003

公認会計士二次試験合格 新日本監査法人(現 新日本有限責任監査法人)入所

2007

ゴールドマン・サックス・ジャパン・ホールディングス有限会社入社

2014

株式会社デジタルアイデンティティ(現 株式会社Orchestra Holdings)入社 同社取締役CFO就任(現任)

新卒入社した証券会社で証券営業に従事するが1年未満で退社。専門性を軸に据えたキャリアを築きたいと考え、米国公認会計士の資格を取得し、財務会計系のコンサルティングファームに入社、主に企業再生、買収案件に係るデューデリジェンス業務、バリュエーション業務に従事。専門性を高めたいという思いから、公認会計士試験を受験。合格後は新日本監査法人に入所し、主に国内外の大手金融機関の監査業務を経験。その後、企業の事業活動により近く関与していきたいと思い、外資系投資銀行に転職、主にプリンシパルインベストメント事業に係る財務会計業務に従事。

2014年より、現職の株式会社Orchestra HoldingsのCFOに就任、管理部門の立ち上げ、2016年の東京証券取引所マザーズ上場、2018年の東京証券取引所市場第一部への市場変更を牽引。

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監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

大学卒業後に証券会社に入社し、証券営業に従事しましたが、1年未満で早々に退職してしまいました。その後のキャリアの方向性として、専門性を軸に据えたキャリアを築いていきたいと思い、自身の興味や大学時代の専攻などから、財務会計を専門にしようと考えました。この時、公認会計士の受験も考えましたが、自分に合う仕事かはやってみないと分からないので、まずは受験勉強の負担が相対的に軽い米国公認会計士の資格を取得し、財務・会計のコンサルティングファームに入社しました。

同社では、企業再生、買収案件のデューデリジェンスやバリュエーション等の業務に2年半程度従事しましたが、先輩や同僚は金融機関出身者や公認会計士が中心で、優秀なメンバーに囲まれ、刺激と学びが多く充実した日々で仕事のやりがいも大きかったです。しかし同時に、自分がコンサルタントとしてクライアントに提供出来る専門的な価値が何もないことを痛感し、自分のベースとなる専門性を確立したいという想いから公認会計士の受験を決意し、同社を退職して一定期間勉強に専念しました。

会計士試験合格後は、新日本監査法人の国際部金融チームに約4年間所属し、主に国内外の大手金融機関の監査業務に従事しました。監査業務の経験を通じて、監査側として財務諸表や内部統制を検証する視点を持てたことで、その後のキャリアを築くベースを作ることが出来たと思います。

その後、企業の事業活動により近く関与していきたいという思いから、外資系投資銀行に転職し、主にプライベートエクイティ、不動産、不良債権等へのプリンシパルインベストメントディールの組成時の会計処理の検討やその後の経理面での管理に約7年間携わりました。会計、税務、法務の社内の各専門家が連携して検討にあたることが多かったので、会計以外の領域の論点等に触れる機会が多々あったことが非常に貴重な経験で、現在の職務にも役立っています。

現職の株式会社Orchestra HoldingsのCFOに転身したのは、当時IPO準備のためにCFOを探していた同社社長から声をかけてもらったのがきっかけです。それまでのキャリアは金融周りが中心で、ITベンチャー企業で働くことは想像したこともなかったので非常に迷いましたが、培ってきた財務会計の専門性を中核に据えつつ、IPOを通じて知識や経験の幅を広げ、更に主体的に事業に関与できるよいチャンスととらえて挑戦してみることにしました。

五代儀 直美さん

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今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

2014年より、株式会社Orchestra Holdingsの取締役CFOを務めています。仕事の内容は、会社のステージやその時々の人的リソースの状況によって変化しています。加入時から2016年のIPOまでの約2年間は、当初社員1名だった管理部門の人数を増やして組織化し、上場会社水準の管理体制を構築していくとともに、一連の審査対応を行い、IPOを成功させることに注力しました。IPO後は、上場会社として適切な運営体制を確立していくことに加え、当社が成長戦略の一環としてM&Aを積極活用していることから、M&A案件の選定・実行への注力により会社成長に貢献することも重視しています。

現在は管理部門全体を管掌している立場のため、財務会計だけでなく、法務や労務などの領域もカバーする必要があります。当社加入当初は、財務会計以外の知見が殆どありませんでしたが、IPO準備の過程で上場会社の管理部門を統括するために必要な知識や情報をある程度網羅的に把握出来たことが、現在の職務に非常に役立っていると思います。また、M&Aにおいては、ビジネス・財務・会計・税務・法務等の多面的な視点からの総合的な知識や検討が必要になりますが、前職の金融機関で各分野の専門家の方々と連携して仕事をした経験があったことで、M&Aの実行を円滑に進めることが出来ていると思います。

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あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

国内証券会社からキャリアをスタートし、コンサルティングファーム、監査法人、外資系投資銀行、ITベンチャーと多様な環境で働いてきたこともあって、環境の変化を楽しめる性格だと思います。ITベンチャー企業である当社の事業や組織体制は急スピードで成長し変化するので、管理サイドは常に変化への対応が求められる日々ですが、新たな経験を経て成長することを楽しむマインドを持って仕事をしていきたいと思っています。

また、前職の外資系投資銀行では、様々な国の人達と一緒に働き、価値観や意見の違う人達と話し合いながら仕事を進めていくことが常に求められる環境だったので、多様な人達と協調して働くスキルが鍛えられたと思います。現職では、社内・社外の多様なステークホルダーが関与する中で、各人に対してタイムリーに情報提供をしつつ、コンセンサスを取りながら、意思決定をスムーズに進めていくことが重要な役割の一つになるので、前職の経験が役立っていると思います。必ずしも全員の利害や関心が一致するわけではないので、合理的かつ納得性のあるコミュニケーションを意識して、各人との信頼関係を醸成するように心掛けています。

五代儀 直美さん

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仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

前職の外資系金融機関に入社して数年経過した頃に、当時の上司が管理職への昇進を勧めてくれたのですが、今のスキルセットで管理職になっても周囲に迷惑をかけるのではという自信のなさと、引き続きプレイヤーとして実務に集中して専門性を高める方が自分に合っているのではという思いから、せっかく頂いたチャンスにも拘わらず辞退してしまったことがありました。それにも拘わらず、上司はその後も、私が自信を持てない点について仕事を通じてコーチングしてくれるとともに、引き続き昇進を勧めてくれました。それが大きなきっかけとなり、一先ず挑戦してみようかという気持ちが次第に芽生えてきました。

実際、管理職として働いてみると、入ってくる情報が増えて意思決定のプロセスに関与することも多くなり、事業活動により積極的に関わることが出来て、以前よりも仕事にやりがいを感じました。また、一部の情報やプロセスだけでなく、全体を俯瞰的に見て業務を進めていくことの面白さがありました。この経験がなければ、現職の取締役CFOの職務にチャレンジすることもなかったと思いますので、私のキャリアにおいて大きな転機となった経験であったと思っています。一度は尻込みした私を見放さずにチャンスを与え続けてくれた当時の上司には、とても感謝しています。

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公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

仕事をしていく中で、自分の力が足りずに不甲斐ない思いをし、勉強の必要性を痛感することは日々ありますが、幸いこれまで深く悩んだことはありません。自分の努力では変えられないことが原因で物事が上手く進まない場合もありますが、そのような時は、環境を変えてみる、自分が出来ることに集中する、という方向に気持ちを切り替えるようにしているので、悩みにくいのかもしれません。

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人生の目的と公認会計士という資格

仕事においては、組織や他人に依存せずに、自分の知識や経験を活かして社会や組織に貢献していきたい、という思いを持っています。会計士の資格を取得したのは、まずは自分の中で核となる専門領域を持ちたいと思ったことからです。もちろん資格がなくても専門性を高めることは出来るのですが、会計士であるということで頼られたり、新たな挑戦機会を頂いたりすることも多く、それに応えようと努力する中で成長していくことが出来ました。

前職の外資系投資銀行では、英語力が殆どなかったにも拘らず、会計知識と監査経験に期待をして頂いたことで、グローバルに活躍するプロフェッショナル人材と共に仕事をする機会を得ることが出来ました。
また、現在のCFOの職務も、会計士であることで舞い込んできた機会であったと思います。管理部門の組織づくりやIPO対応など、初めて経験することの方が多く挑戦の連続でしたが、視野と業務の幅を広げる貴重な経験が得られています。

振り返ってみると、私の場合は、会計士の資格を持っていることで挑戦出来るフィールドが広がり、そこで新たな経験を積むことで成長し、また新たなチャンスが巡ってくる、という好循環が生まれていたように思います。

五代儀 直美さん

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これから成し遂げたい事、将来の夢

これまでは、知識や経験を深めて社会や組織に貢献できる人材となること、所属している組織において成果を出すためベストを尽くすことに重きをおいてきました。今後は、これらに加えて、まだ具体化出来てはいないのですが、社会課題の解決のために役立てるような活動に取り組んでいきたいと思っています。

五代儀 直美さん

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

私は会計士の資格を取得した後、監査法人、外資系投資銀行、ITベンチャー企業と転職をしています。周囲の方からは、よくそんな思い切った決断が出来たねと言われることも多いのですが、例え転職が上手くいかなかったとしても、会計士であれば何等かの仕事をして生活をしていくことは出来ると思いますので、自分としては大きなリスクを取っているつもりは全くなく、寧ろチャンスしかないという思いでした。

大きなリスクなく新たな挑戦が出来ることが、会計士という資格を持っていることの大きな強みの一つであると思います。実際に経験してみないと分からないことはたくさんありますし、特に今後は一つの専門性だけでなく、複数の強みを持っていた方がよい時代かと思いますので、興味を持ったら恐れずに一歩踏み出して、新たなキャリアに挑戦してみたらよいのではないでしょうか。