会計士の履歴書
石田 宜久

株式会社PCP(ピー・シー・ピー)

大阪事務所 所長

石田 宜久

いしだ のりひさ

監査法人に行けなかったからこそ、会計士の新しい可能性を証明してきた。

1977年6月13日生まれ(49歳) 兵庫県出身 兵庫県在住

近畿大学 文芸学部文化学科 卒業 2009年合格

石田 宜久

01

キャリアサマリー

2009

公認会計士試験合格。

2010年4月

株式会社成学社 管理部経理課  上場企業で経理・開示業務を担当。内部統制資料や取締役会資料の整備、新会計基準の適用検討などに従事。

2013年8月

株式会社神戸洋服 代表取締役  スーツOEM事業を立ち上げ、同業他社への営業戦略で25社から受注獲得。業界団体との共同事業も推進し、メディア露出を通じてブランド認知を拡大した。

2014年3月

株式会社crest + 設立  創業補助金申請支援を起点とした新規顧客開拓により、3年目で約100社に拡大。創業・ベンチャー支援の実績を重ねる。スタッフ教育にも従事。

2016年11月

株式会社ピー・シー・ピー  会計士専門エージェントとして、キャリア形成・ライフプランまで踏み込んだ支援を実施。企業への人材提案や採用戦略立案も担当し、両者の課題解決に取り組んでいる。

2018年12月

株式会社KSKアナリティクス 社外取締役  採用戦略や内部統制整備を主導し、組織体制の構築を推進。出資者対応・事業計画策定など資本政策にも携わった。

2021年2月

株式会社KSKアナリティクス 監査役  取締役への助言や行動促進を行い、ガバナンス体制の強化を支援。プレイヤーではなくアドバイザーとしての立場を確立した。

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

理論と現場のギャップが数字で経営を動かす決意へと変わった

私が会計士試験に合格した当時は就職氷河期であり、監査法人への道が閉ざされていた。結果として上場企業の経理職に就くことになったが、そこで得たのは「あるべき論と実務のギャップ」を体感する経験だった。理論で学んだ知識が現場でどう活きるのか、内部統制や職務分掌の重要性を実感すると同時に、正確性ばかりを重視する環境に物足りなさも感じた。より経営に近い領域で数字を活用したいという思いが芽生え、意思決定に資する会計へと関心が移っていった。どの情報が経営の判断を左右するのかを考えるうちに、利害関係者との関係構築が不可欠であることにも気づいた。やがて自らビジネスを起こし、数字を通じて経営を動かす仕事に挑戦するという道を選んだ。

石田 宜久さん

03

今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

複数の肩書を掛け合わせ会計士の可能性を広げる

現在は複数の肩書を持ち、会計士としてのキャリアを多面的に展開している。PCPでは大阪事務所長として転職支援を行い、crest+ではCOOとして経営実務に携わり、上場準備企業では社外CFOとして資本政策や管理体制の構築に関与している。また、CREST税理士法人では外注という立場で税務にも携わる。これらはいずれも独立した活動ではなく、相互にシナジーを生み出している点が特徴だ。単一の会社に依存せず、自分でコントロールできる領域を広げることで、会計士の活躍フィールドを拡大することを目指している。今後も、分業化が進んでいない中小・ベンチャー企業で包括的な支援を行いながら、経営と会計を橋渡しする専門家としてのキャリアを磨いていきたい。

04

あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

広く・深く・横断的な経験が他者にない価値を生む

私の強みは、会計・経営・税務・採用といった複数領域を横断して経験してきた点にある。監査法人での経験はないが、事業会社での経理・開示業務、COOとしての事業推進、IPO支援、税務対応などを実務として積み重ねてきたことで、求職者にも企業にも具体的な助言ができる。転職支援の場面では、経営者視点での採用意図や組織課題を踏まえた提案が可能となり、逆に経営現場では、人材の採用・育成というエージェントとしての知見が活きる。単なる職務経験の羅列ではなく、それぞれの知見が相互に補完し合うことが、他のエージェントにはない独自性だと考えている。自らが経験した選択肢を具体的に語れる点が、私のキャリア支援の信頼性の源泉となっている。

石田 宜久さん

05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

戦う場所を変えた瞬間、結果が劇的に動いた

スーツ事業を立ち上げた際、思うように売上が伸びず顧客層を見直したことがある。従来の消費者向け販売から、同業者向けOEMに戦略を切り替えると、問い合わせが殺到し、事業が大きく動き出した。この経験は「戦う場所を選べば結果は変わる」という教訓を与えてくれた。また、crest+でクライアントから理念への共感の言葉をもらった時は、信念を貫いてきたことが初めて認められたと感じ、強い喜びを覚えた。共通しているのは、自分がコントロールできる範囲で工夫し、行動した結果が成果につながった瞬間に大きな充実感を得ているということだ。やりたいことを自分の意思で選び、結果で証明することが、私にとっての最大の喜びである。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

資格への依存を捨て自分ができることと向き合った日々

合格後、監査法人に就職できなかったことは大きな挫折だった。補習所の費用を工面するため日雇いで働いた時期もあり、資格だけでは食べていけない現実を痛感した。さらに、監査未経験という事実を自分の中で受け入れられず苦しんだ。しかし、やがて「自分には何ができるか」を徹底的に考えるようになり、監査法人では得られない経験を積もうと決めた。事業会社で深く業務に入り込み、他部署との折衝やプロジェクト推進といった経験を重ねた結果、資格への依存が薄れ、監査未経験という事実も受け入れられるようになった。資格を前提に考えるのではなく、自分が提供できる価値に焦点を当てる思考へと転換したことが、最大の転機だった。

07

人生の目的と公認会計士という資格

資格はゴールではなく社会への役割である

私にとって公認会計士という資格は、経済社会における役割を果たすための手段である。資格そのものが目的ではなく、社会に対してどのような価値を提供できるかが本質だと考えている。幸福な人生を送りたいという願いは、社会への貢献を通じてこそ実現できる。監査法人に進めなかった経験が私の視野を広げ、監査以外のフィールドで会計士が活躍できる可能性を追求する原動力となった。今の自分があるのは資格のおかげであり、この資格に感謝している。同時に、監査以外の分野で活躍する会計士を増やすことこそが業界への恩返しであり、自らがその一例として道を示すことが私の使命だと考えている。

石田 宜久さん

08

これから成し遂げたい事、将来の夢

監査以外のフィールドでも会計士が必要とされる社会へ

今後は会計士の活躍の場をさらに広げ、監査法人以外でも必要とされる存在であることを証明したいと考えている。特に成長過程にある企業に対して、会計や税務、経営の視点から価値を提供できる専門家として認識されることを目指している。最終的な理想は、会計士が自らの意志で新しいフィールドを切り拓き、転職エージェントの支援が不要になるような社会の実現だ。会計士が自分の力で活躍の場を見つけ、企業がそれを受け入れる土壌が整えば、業界全体が大きく前進する。その未来に向け、自分自身が先頭に立って道を切り開きたい。

石田 宜久さん

09

キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

肩書きを一度忘れ自分の価値観からキャリアを描け

キャリアを模索する会計士へ

キャリアを築く上で最も大切なのは、会計士という肩書きに囚われすぎないことだ。資格はあくまで社会に貢献するための手段であり、キャリア構築は自分自身の価値観や目的から出発すべきだと考える。社会>業界>企業>組織>個人というトップダウンの視点で使命を意識しつつ、個人<組織<企業<業界<社会というボトムアップの視点でキャリアを設計することが重要だ。

これから会計士を目指す受験生へ

受験生には合格後の姿を具体的に描くことを勧めたい。なぜ監査法人に行くのか、どんな経験を得たいのかを明確にしておくことで選択の意味が深まり、その後のキャリアも大きく変わってくる。資格はスタートであり、キャリアはそこから自分でつくっていくものだ。