会計士の履歴書
廣渡 嘉秀

株式会社AGSコンサルティング

代表取締役社長

廣渡 嘉秀

ひろわたり よしひで

「会計士は頑張ればこれだけ活躍できる」という事例を示していきたい

1967年生まれ(59歳) 福岡県出身 東京都在住

早稲田大学商学部 卒業

廣渡 嘉秀

01

キャリアサマリー

1990 年

早稲田大学商学部 卒業 センチュリー監査法人(現:新日本監査法人)に入社 国際部(ピートマーウィック)に所属

1994 年

公認会計士登録 株式会社AGSコンサルティングに入社 廣渡公認会計士事務所を開設

2004 年

新日本監査法人を退社 株式会社AGSコンサルティング代表取締役専務に就任

2006 年

株式会社AGSコンサルティング代表取締役副社長に就任

2008 年

株式会社AGSコンサルティング代表取締役社長に就任 AGS税理士法人代表理事に就任 現在に至る

会計士を目指そうと思ったのは大学時代です。もともと映画監督になりたいと思い、福岡の田舎町から東京へと出てきたのですが、自分の才能に限界を感じ新たな道を模索する中で、会計士という仕事があることを知りました。

当時はバブル全盛期で周囲には大企業に就職しエリートサラリーマンを目指す人が多かったのですが、天邪鬼な私は普通に就職するのが嫌でした。専業農家を営んでいた親の影響もあると思いますが、独立して何か商売をしたいという思いが強かったのです。独立をするにも何かベースとなるような資格を取ろうと考え、会計士の勉強を始めました。

試験に合格後、厳しい環境のほうがより成長できると考え、実力主義の外資系であるセンチュリー監査法人(現:新日本監査法人)に入所しました。

4年間、監査法人で過ごしてから、公認会計士登録のタイミングで縁のあったAGSへと転職しました。監査法人では経験できない税務などのキャリアを積みたかったからです。

AGSにおいてまずは税務の勉強から取り組みましたが、次第にコンサルティング領域の仕事もこなしていくようになりました。そしてIPO事業部や国際事業部などを立ち上げ、マネジメントに関わるようになっていきました。社長に就任した2008年にリーマンショックがあり、業績が転落しましたが、企業再生業務など新たな領域を開拓し、なんとか持ち直すことができました。

現在は、「日本一の会計事務所」になることを目標に、社長業をしています。

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

外資系の監査法人に入ったこともあり、新人のうちからたくさんの仕事が回ってきて、早い段階で多くの経験を積むことができました。責任の所在を常に明らかにするよう求められたり、必ず自分の結論を述べるよう指示されたりと、外資系らしい合理的な仕事のやり方を若い時に身に付けられたことは、その後の財産になりました。繁忙期には月に200時間の残業がありましたが、閑散期はゆっくりと自分の時間を過ごせるというメリハリのきいた働き方ができました。また、監査の手続きやマニュアルがしっかりとしており、非常に体系立った監査を行う会社でしたので、監査に対する理解が深まりました。
当時、私の周りの同僚や先輩をはじめとして、向上心にあふれた人や能力が高い人がたくさんいました。仕事にも遊びにも優秀で、とてもいい環境だったと思います。この頃にできた人間関係は絆が強く、現在においても大切な存在です。
ただ、入る段階から監査法人に在籍するのは4年と決めていました。三次試験が終わるタイミングで独立しようと思っていたのですが、監査法人だけの経験ですと、税務・経理・コンサルティングといった実務的な仕事に疎いことに気づき、まずは税理士事務所で次のキャリアを積むことにしました。そこで出会ったのが、AGSです。

廣渡 嘉秀さん

03

今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

業種でいえば、社長業です。各事業、各支社のバランスといった会社全般の業務を上の立場から見守りつつ、会社が進んでいく方向を決定します。社長になって10年を超えましたが、これからも社員全員が活躍できるような場をもっともっと作っていかねばならないと思っています。
経営者というポジションですが、私は企画を立てるのが大好きです。過去を振り返っても、IPO、企業再生業務、国際業務と、事業を企画し、サービスを作り、営業をして拡大していきました。また、ベンチャー企業のIPOを通じ、5人10人の規模から1,000人の社員を抱えるまでに成長していく過程をいくつも見せてもらいました。彼らの企画力と事業を育てる手法から学ぶところは大きかったです。
ですから社員にも、企画マインドを大切にしてほしいと思っています。自分で企画を立ち上げ、伸ばしていけるような社員を育てていきたいです。

04

あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

既存の発想に縛られず、アイデア豊かに物事を発想できる点が、強みといえます。性格的には芯が強く、繊細に考えるよりも、まずは実行し動きながら考えるところがあります。
楽しそうだと思ったらすぐにとりかかるという姿勢でいます。経営者としても、お金が第一とは考えず、「やっておもしろいかどうか」を重視しています。おもしろいならまずはやってみるといい、というのがAGSの社風ともなっています。おもしろい仕事をし続けていれば、苦労を苦労とも思わず熱中して仕事ができますから、結果的に自らの人生が充実するのではないでしょうか。

廣渡 嘉秀さん

05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

1990年代後半、多くのIPOを手掛けていた頃は、本当に熱中していましたね。
1996年くらいからベンチャー企業の上場熱が加速し、99年あたりでナスダックジャパンやマザーズといった新興企業向け新市場が出てきました。そんな中、勢いのある企業を見つけて営業して仕事をとり上場まで持っていくことに、大きなやりがいを感じました。当時、私は税務関係の部署にいたので相続税についての知識がありました。IPOには資本政策が絡むので相続などの税に対する知識は必須です。「ベンチャー担当で相続税もわかる」という会計士が希少だったこともあり、多くのクライアントを獲得できました。この頃、AGSの中にIPO事業部を立ち上げましたが、その業績は右肩上がりに拡大し、やればやるほど成果が出るという状況でしたから、仕事が本当に楽しかったです。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

2008年、40歳で社長になった直後にリーマンショックがありました。その影響で、それまで事業の柱だったIPOやM&Aの案件が著しく減少し、このままでは会社がつぶれるのではないかという考えすら脳裏によぎりました。
私は元来、あまりネガティブに物事を考えないのですが、この時ばかりは「なんて運が悪いのだろう」と嘆きました。しかし、それを口に出してしまっては商売人として失格です。自分に起きたことを「運が悪い」と吹聴するような人は、商売で成功することはないと思います。私は強がり、やせ我慢をして「これもいい経験だ、こういう経験があるから強くなれる」と周囲に言い続けていました。
私にはたくさんの優秀な仲間がいましたから、みんなで頑張れば必ずなんとかなると思っていました。窮地から脱するために企業再生業務という新たな領域に乗り出し、みんなが私の強がりについてきて、一緒に頑張ってくれたおかげで、業績を持ち直すことができました。
結果論ですがリーマンショックという危機のおかげで、企業再生業務という新たな事業の柱ができ、事業の幅を大きく広げることができました。

07

人生の目的と公認会計士という資格

AGSとして「日本一の会計事務所になる」という目標を追いながら、充実したビジネスライフを送りたいと考えています。AGSもそれなりの規模になり、世の中にインパクトを与えられるようになってきました。今後も「会計士は頑張ればこれだけ活躍できる」という事例を示していきたいです。
その時々で、新しいことにチャレンジしていこうと思います。例えば最近、日本経済団体連合会(経団連)と経済同友会に加盟したのです。会計事務所としての会員企業はまだまだ少数派です。有力事務所はもっとこういう経済団体に参加すべきだし、職業会計人の立場から政策提言できることも多いはずです。そういった動きを加速させ、監査法人以外で活躍する会計士の存在感も高めていきたいと思います。

廣渡 嘉秀さん

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これから成し遂げたい事、将来の夢

私の人生のスローガンは、「笑う門には福来たる」。この言葉を両親が額に入れて実家に飾っていましたのでその影響もありますが、どんな状況下においても、笑顔を絶やさず、人生を楽しんでいれば、事態は自然と好転するのではないかと思っています。
実家といえば、ひとつ心に引っかかっているのは、農家を継がずに都会に出てきたことです。後悔はしていませんが、やはりどこか後味が悪い部分があるのでしょう。ですから私がもっともうれしいのは、田舎に帰った時に、周囲の人から「農家は継いでいないけど、良くやっているね」と褒めてもらうことです。その言葉をもらい、自らの過去と和解するためにも、仕事を頑張りたいですね。
人生において、なにか具体的な将来の夢があるわけではないのですが、自分と関わってくれているお客様や仲間たちと、ずっと一緒に歩んでいきたいという思いがあります。苦楽を共にした戦友と呼べる人もたくさんいます。そうした人たちと、70歳になっても80歳になっても、人生をおもしろがりながら暮らしたいです。

廣渡 嘉秀さん

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

キャリアに悩む時期は誰しもあると思うのですが、そこで動いてみなければ何も始まりません。心配ばかりするより、まずは「なんとかなるさ」と動きだすのが大切だと思います。そうして動くことが、自らの可能性を押し広げてくれます。会計士の選択肢は、監査法人だけではありません。税務、コンサル、海外……幅広い分野から選べるはずです。会計士という資格を取った時点で、たくさんの分野にチャレンジできる切符を受け取っているのに、それを使わず同じ場所でくすぶっているのは、もったいないでしょう。どんどん新しいことにチャレンジしてください。
受験生に対して言えるのは「こんなに自由度が高く可能性がある仕事は他にはない」ということです。絶対に頑張って資格を取るべきです。会計士の試験に合格すれば、自分はきちんと努力ができる人間であるという証明になります。会計士という門をくぐった先でも、もちろん努力が必要ですが、少なくとも資格がない状態よりは、圧倒的に有利な状況で戦うことができます。生涯をかけて取り組む価値のある仕事と出会うためにも、まずは試験を突破することに全力を注いでほしいと思います。