
株式会社じげん
経営管理部 執行役員
波多野 佐知子
はたの さちこ
未経験分野や困難な事態に直面した時でも臆せず立ち向かい楽しむ強さをもつ
1980年代生まれ 愛知県出身 非公開在住
名古屋大学経済学部 卒業

01
キャリアサマリー
<a href="https://youtu.be/WLOPNaY-wVs" target="_blank">波多野佐知子#1</a>/<a href="https://youtu.be/HvePfJph97o" target="_blank">波多野佐知子#2</a>/<a href="https://youtu.be/Snta6Sc02w8" target="_blank">波多野佐知子#3</a>
あずさ監査法人(現 有限責任 あずさ監査法人) 入所
ライフネット生命保険株式会社 入社
株式会社じげん 入社
父が開業した会計士であることで、幼い頃から資格について馴染みがありました。仕事の内容を深く理解していたわけではなかったものの、物心ついた頃から父に「絶対向いているから、将来目指しなさい」と言われ続け、刷り込み効果により、なんとなく良さそうというイメージを持っていました。小さい頃から習い事も勉強も好きで、小学校~高校まで、今でも続けているクラシック・バレエの他、ピアノ・習字・学習塾・水泳等、自分で一日に複数詰め込んでこなしていました。中学高校の時は、バレエをやりたいから、親に勉強もできていることを見せ続けていました。父が大学3年生の時に試験に合格していることから、大学入学直後より資格の勉強をするように勧められましたが、大学入試直後にまた勉強というマインドにはなれず、1年間勉強はしないと父に宣言し、その代わり会計士試験に1発合格しなければ、その後勉強に必要な受講料は自分で払うと約束をしました。大学1年の時は学園祭の実行委員、アルバイトを常に3つほど掛け持ち、授業の前の早朝から働いたり、バレエの舞台オーディションにチャレンジしたり、舞台や撮影モデルの仕事をしてみたり、単位は1年生の時に可能な限り取り切るということで、忙しくも充実した日々を送りました。大学2年生より会計士の勉強をはじめ、2回目の受験で合格。好奇心に勝てず、地元の監査法人ではなく、東京の監査法人に就職。親元で過ごすと思い込んでいた父を大変驚かせてしまいました。
2006年に、あずさ監査法人入所、国際事業部配属。法定監査業務を中心とし、インチャージを経験したのち、2011年にIPO準備中のライフネット生命に入社。IPO準備を経験し、途中約半年の産休育休を挟み、経理部長として経理実務全般に従事。勤務していたライフネット生命は、「子育て世代を応援する」会社で、大変働きやすい環境で周囲の理解もあり、何の不自由もなく仕事をさせてもらいました。一方で、妊娠が分かった頃から復職後しばらくは、仕事を取ってしまうと結局周囲に迷惑をかけてしまうと考え、自らあまり手をあげないようにしていたため、もどかしさも感じました。仕事と子育ての両立のペースを掴んできた頃、独身の時のようにフルで仕事をする時期は訪れないと思い、そうであれば人より短い仕事の時間を、より濃密にしていきたいと考えるようになりました。その頃、会社の研修のトライアルの一環で受講させてもらったグロービスの講座にて興味が広がり、勢いづいてグロービス経営大学大学院への入学を決めました。そして仕事においても、ライフネット生命は大好きな会社であったにもかかわらず、変化のスピードが速くスキルの幅が広がりやすい環境を求めて、現職の㈱じげんに入社。経営管理部部長として経理・労務・総務・法務を所管しています。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
会計士試験合格後、2006年にあずさ監査法人に入所しました。新試験制度初年度、J-SOX適用の直前であり、超売り手市場の時期でした。試験に合格することが目的化していて、試験にさえ受かればパラダイスのようなイメージでいたため、働くビジョンを持たないままの就職でした。新人の頃は、仕事に身が入っていませんでした。クライアントにも先輩方にも多大な迷惑をかけておきながら、自分自身は当事者意識に欠けていたと思います。次年度のリクルートのため新人の仕事風景を紹介するDVDに出ておきながら、実際の仕事ぶりは決してお手本にはならない恥ずかしいものでした。
意識が大きく変わったのは、3年目以降、インチャージ経験をしはじめてからです。クライアントの窓口になり、経理の責任者等から会計処理やその他日々のお困りごと等について、頻繁に相談を受けるようになりました。監査上は問題にならないような重要性が低いことについても、現場では解決できずに困っていたり、「会計士にお墨付きをもらえれば進められる」と自分の親ほどの年齢の役員や部長からも相談される立場になり、自分の伝え方一つで会社の意思決定も変え得る責任の重さも実感するようになりました。他にも、癖の強いクライアントの方に対して私が尻込みしてしまうと、マネージャーやパートナーに対応させることになり、仮にトラブルが起きても庇う人がいなくなってしまいますが、インチャージレベルでトラブルを起こしたのが私であれば、後で上司がフォローするという余幅を生むことができると気付き、全体最適を見て、チームの中で自分がどのような役割を担うべきかも考えるようになりました。視野が広がったことで自分のcontrollableな領域も広がり、他責が減り、仕事を自分で回していく感覚になり楽しくなってきました。この頃から、責任を持つ→当事者意識が上がる→全力で自分のできることをやる→成長する→評価される→さらに責任を持つ、という好循環が生まれ、この経験が、その後の自身の仕事の選択に影響を及ぼしているように思います。逆に仕事で行き詰まる時は、この循環が上手く回っていない時です。周囲からはストイックと言われることもありますが、自分自身を責任ある立場に追い込み、できるかできないか以前にやらざるを得ない状況を作り、なんとか形にする、ということを繰り返しています。前職のライフネット生命への転職は、会社の当事者となり、少数精鋭で裁量のある環境を望んでのものでした。現職のじげんへの転職も、未経験分野に対する自分の責任の幅を広げられる環境を望んでのものです。ただし、責任ある立場になればなるほど、会社側からするとできるかどうか分からない人を据えるのはリスクが伴います。仕事を与えてくれる側(対価を払う側)には、経験がない、またはできるかどうか分からない、相手のニーズに応えられない可能性がある、ということは正直に伝える必要があると感じます。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
じげんに入社した最大の理由は、会社の成長スピードが早いため組織がそのスピードに追い付いていないことによる白地の多さと、M&Aをはじめコーポレートアクションが活発でやりがいを感じられると考えたからです。
前者の組織に関して言うと、スタートアップではコーポレート人員は一人何役も行います。通常、会社が大きくなればなるほど組織の細分化が進みます。例えばコーポレートでも、経理・法務・人事労務・・・と職域別に部が構成されていき、その分各部で深い専門性が要求されるようになります。じげんはちょうどその狭間にあり、部としては細分化が進んでいないものの、それぞれで専門性が求められています。例えば、経理一つとっても、海外を含むグループ会社10社程度の連結決算・上場実務の他、IFRSを導入しているためその知識も必要となり、新規取引や新たな会社の買収を行う際は、IFRSに照らした論点整理が必要になります。急激にコーポレートの陣容も揃えているため、マネジメント層は不足しています。入社当時の経営管理部の構成は、経理と法務のみで、当初は自身の専門性によりほぼ経理に特化していましたが、現在は、経理・法務・労務・総務といった領域に広がっています。部の人数も、職域そのものの増加と職域ごとの必要人員の増加という両方の要因で、入社当時7名程度から、約1年半で20名弱となりました。
後者のコーポレートアクションについては、必ずしも部主導のものばかりではありませんが、基本的にはグループ会社で起こることは、自部署の何らかには関係してきます。例えば、M&Aでも事業譲渡で事業は譲り受けるけれど人員は引き継がないといったタフなものもあったり、会社に資金が溜まればグループ内のキャッシュマネジメントを考える必要があったり。また株主に配当したり、人が増えたことでオフィスの移転を検討したり、営業強化のため支店の開設を進めたり、グループ内で合併をしたり、とさまざまなイベントが起こります。経理のように過去数字を集計するということはもちろんのこと、今会社で起こっている出来事に対応しつつ、将来の投資であるM&AのDDや採用を進める、また部長としては将来の会社や部のありたい姿も描いていく必要があります。よって、過去・現在・未来の全方位を見ながら仕事をする必要があり、このバランス感覚がとても重要と感じています。
私自身、入社当時は前職や監査法人時代の断片的な知識や経験は有していたものの、大半が未経験でした。前職は単一事業での成長戦略を描いていたためグループ会社もなく、所管は経理のみ、マネジメントするメンバーも5名未満でした。その状況から、三次元の方向で、計り知れない機会を多数与えていただき、特にはうまくいかずに自己嫌悪になることもありますが、周囲のサポートを存分に受けながら楽しく走り続けている、というところです。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
強みは、「何があっても何とかしよう」というコミットメントです。その下支えになるのが、ストレス耐性の強さや、臨機応変で感情の起伏があまりないこと、負けず嫌いであること等ではないかと思います。現職では、さまざまなことが起こるので、計画通りにいかないことも多数あります。予定調和が少ないです。複数のイベントが同時に起こる時、想定しない事象が発生した時、新たな未経験の分野に対応する時、普通に考えると無理なのではないかという事態の時に、できる・できないを考える前に、必ず何とかしようと立ち向かいます。コーポレートの職種は、真面目にコツコツ積み上げる人が多い分、慎重になったり、恐怖を感じたり、できない理由を考える人が多いように感じられますが、そうならないのは自分の強みなのではないかと最近思うようになりました。落ち着くことも必要ですが、アドレナリン効果なのか、逆に落ち着いている時は物足りなさを感じてしまいますし、色々なことが起こる時の方が妙にワクワクしたりします。

05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
7年弱勤めた前職のライフネット生命を退職する際、退職の1か月ぐらい前から、当時の会長の出口さんと社長の岩瀬さん含め、特にお世話になった30人弱に手紙を書き始めたのですが、涙腺がおかしくなり、、、また前職の風習で最終出社日に全社員の前で挨拶をするのですが、その原稿を作って何度か練習している時も、泣かずに最後まで終えられることが一度もできず、本番も無理だと思ったので、原稿を読み上げる形式にしました。大事な時期をこの会社で過ごしたためか、自分のアイデンティティが会社とともに形成されていることに気づかされ、自分自身が引き裂かれるような感覚でした。正直、自分自身のことをドライで、仕事にも人に対しても想い入れが薄い方だと思っていたので、これには自分で驚きました。事業会社にいて、思い切り会社の当事者になったからこそ得られたことかもしれません。
また、現職でも、何度か部下が退職する、という経験をしましたが、退職の理由如何によらず、自責の念にかられたり、寂しさを感じたりします。退職するメンバーの最終出社日に言葉を贈るのですが、その言葉を考えている時は、感情が溢れることがあります。ただ皆の前では素知らぬ顔をするため、できるだけ事前に出し切るようにしています。
06
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
私の場合、深く考えずに会計士の資格を取っているため、本当にこの職が自分にとって最適なのかはよく悩みます。会計士であるからこそ、社会的に信頼され、色々とチャンスをもらえるという大変良い面がある一方で、会計士と見られることで会計士の枠を超えることが難しいというジレンマを抱えています。監査法人時代に、少しでも興味があるものについては、本を読んで調べてみたり、人を紹介してもらって話を聞いたり、時には第2新卒としてポテンシャル採用にて転職活動をしてみたり、と思うままに行動してみました。例えば、全く別の職業であるブランディング コンサルタント等に興味を抱いて広告代理店に勤める友人に相談したり、アパレルショップの店長に応募してみたりと、突拍子もないと思うことでも動いてみました。振り返ると、学生の時に普通の就職活動を行っていない分の世間知らずを補っていたとも言えるかもしれません。そのような試行錯誤の上、結局は汎用性が高く、たくさんの会社に貢献できる可能性を秘める会計士の資格への魅力を感じることができるようになり、現時点では軸足は会計士に置いておく、という選択をしています。
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人生の目的と公認会計士という資格
人生の目的、といえるほど立派なものはありませんが、いつも自由でいたいと漠然と思っています。制約があることや拘束感が苦手な私にとって、公認会計士という資格は、自分らしく生きていくための武器のようなものだと思っています。経済的自立の手段であり、他者への依存度を弱めることができるため、自分に自信を持つ心の安定剤とも言えるかもしれません。逆説的ですが、会計士の資格を持っていることで、食いっぱぐれることはないし、他に挑戦して仮にダメでも、会計に戻れば良いと思えることで、会計以外の色々なことに興味を持ち、挑戦しようという気持ちを持てるのだと思います。また、それ故に自分の気持ちを開放して生きていきやすくなっていると思います。矛盾するようですが、プライベートでは、会計士であることは自分からはあまり積極的には開示していません。初対面の人なんかには職業を聞かれても、「事務とか経理とか」という形で答えたり。このメディアに出ていることで、バレバレですが(笑)隠しているわけでもありません。プライベートでは、資格の枠を外し、個を大事にする方が自由を感じられるためです。

08
これから成し遂げたい事、将来の夢
実は将来成し遂げたいことを考えるのが苦手です。自分でやるべきことが多い場所に身を置いて、何とかする、ということは得意ですが、自分でやるべきことを設定するのが不得意だと感じています。通っているグロービス経営大学大学院では、「志」の醸成を大事にしており、必須の科目も複数あります。考えるステップとしては、「自己分析」を徹底的に行い、クラスメイトとディスカッションし、将来成し遂げたいことをクリアにしていくのですが、自己分析はできても、将来に繋げるのが難しいです。私の場合は、その時々で何かを一生懸命やっていると、突然次にやりたいことが出てくるので、焦る必要もないのかなと割り切っている部分があります。やや脱線しますが、分かりやすいエピソードとして、最近はできていませんが、昔はホテルのあてもなく語学力も乏しいながら一人でふらっと目的もなく海外に行き、そこで思いつくままに放浪してみることが好きでした。歩いていると自然に行きたいところが見つかって、はじめて行き方を調べてそこに向かうものです。もう少し自己の中身が成熟してくると、「成し遂げたいこと」も徐々にクリアになってくるかもしれません。そうなった時に、成し遂げる手段として、この資格をフル活用できたら理想です。

09
キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
自分は何に向いているのか分からない、経験がないから自信がもてない、将来何をしていけば良いか分からない等、考えるだけでは答えが出ないことで悩んでいる人が多いように感じ、勿体ないなと思うことが多々あります。やってみないと向いているかも分からないし、経験は悩んでいるだけでは充足しないし、頭で考えているだけでは答えが見つかることはありません。考える前に行動し、やってみることではじめて見えてくる世界があると思います。


