
某日系製薬企業
IR部 マネージャー
天野 真衣
あまの まい
監査経験×コミュニケーション能力でIR業務に邁進中
1980年代生まれ 東京都出身 東京都在住
慶応義塾大学 経済学部 卒業 2008年合格

01
キャリアサマリー
あらた監査法人(現、「PwCあらた有限責任監査法人」)入所。アドバイザリー業務、法定監査業に従事。 スタッフ、シニアとして7年間勤務。
某日系製薬企業(東証一部上場)に入社。財務・投資戦略部に入社し、為替を担当。その他、組織再編に伴うCMSの変更等も担当。2017年度からIR部に移動し、IR業務に従事。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
2008年公認会計士二次試験合格後、あらた監査法人(現、PwCあらた有限責任監査法人)の東京事務所に入所した。当法人は、監査先、アドバイザリー先として、多数の大手クライアントと業務契約を締結していた。様々な部門があったが、会計士になった意義を考え、まずはスタンダードな監査業務に従事してみたいと思い製造・流通・サービス部門(MDS)を希望した。
監査法人を選ぶ際にも決め手となったが、当時はあらた監査法人のみが国内監査と国際監査で部門の区別がなく、国内監査業務も国際監査業務にも従事し、短期間で国内監査もリファードワークの両方の知識を習得することができると思った。繁忙期の期間は非常にハードではあったが、短期間で多くのことが学ぶことができて大変勉強になった。
様々なクライアントの監査を遂行し、クライアントからいかに効率的に資料を頂くかを工夫していく上で、クライアントの気持ちを考えるようになった。実際に会社の中で働く立場と監査法人で働くことの違いを考え、監査法人は会社の方から歓迎される立場ではないことに疑問を抱き、クライアント先と同じベクトルで仕事をしてみたいと思うようになった。
税理士業務やアドバイザリー業務にも興味があったが、1社の会社の知識を深めるという道も面白いのではないかと思った。また、監査を通して一番興味があった製薬会社に転職することに決めた。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
今現在はIR業務に従事している。監査法人転職後にIR業務に従事している人は少ないと考えられるが、監査法人時代から先輩にも「お前は知識ではなくコミュニケーションを磨いて売りにしていけ」と言われており、人とコミュニケーションをとることが好きな私にとっては非常に楽しい仕事である。
財務部でも、EU離脱およびトランプ大統領の就任と非常に変動の大きい時期に為替を担当し、情報収集して自ら市場予想をし、外国通貨を自らの意志で売買する業務はやりがいがあった。監査法人時代は、会社が作成した資料を確認するというある意味受動的な仕事であったが、より大きな視点をもって世界の政治動向をつかみ、自分で考えて取引を実行することは非常に楽しいと思った。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
私の強みは、コミュニケーション能力と洞察力だと思う。前述したが、監査法人に入社当初、仲の良い先輩に「会計士には2通りあり、“知識で勝負する会計士”と“コミュニケーション能力で勝負する会計士”がいて、お前は“コミュニケーションで勝負する会計士”の方が圧倒的に向いている」と言われた。
その言葉が非常に印象的で、確かに私は勤勉なタイプではない上に、人とコミュニケーションを図ることが好きであったため、クライアント先と仲良くなって良好な関係を築き、スムーズに仕事を遂行することを監査法人時代は目標としていた。その結果、現在はIRという仕事につながっているのではないかと考える。
監査はクライアントごとに上司や同僚、部下も変わり、クライアント担当の方々も経理部の方から財務部の方まで、非常に多くの人々と関わって仕事を遂行していく。IR部も社内のみならず、投資家の方々など対外的にも積極的にコミュニケーションを図る仕事でもあり、コミュニケーション能力が必要とされる。
また、社外に出て活動することも多く、監査と共通する部分が多い。質問を実施する立場から質問を受ける立場に変わったため、まだまだ私自身勉強が必要だが、非常に監査での経験が活きていると考える。
監査では、完成された資料を元に加工していくという作業に慣れてしまい、実際に自分で会計ソフトに数値を入力するという作業は苦手ではあったが、人とコミュニケーションを図る IRの仕事に出会えたことに非常に感謝している。会計士の方でもIR 業務を遂行している方は少ないだろうが、非常に貴重な経験をさせていただいていると考えている。

05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
財務部では為替を担当時に、EU離脱とトランプ大統領就任といった歴史的な瞬間に為替取引を担当することができたことだと思う。市場変動も相場変動が非常に激しく、判断を誤れば大変な損失になるため、いかに損失を出さないで取引を成功させるかを考え、達成できた際には非常に感動し、良い経験となった。
IR部においては、日経平均の変動とは別に会社の新薬の開発に伴い、株価がストップ高を2回更新するといった歴史的な瞬間に立ち合うことができ感動した。また、I R部では証券会社の方や投資家の方々との対話を通じて、会社の株価に影響を与えると考えると大変責任の大きな仕事であり、真摯に誠実に仕事に向き合っていきたいと考えている。
為替や株といった投資には変動がつきものだが、会社にとってポジティブな結論に結びつく瞬間に立ち会えた際には非常に感動する。業務を通じて投資という新たな世界を経験することができ、今後の人生に役立つのではないかと考えている(笑)。
06
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
会計士の仕事で一番辛かったのは、クライアント先と同じベクトルに向かって仕事ができないという話に通じるが、監査を快く迎え入れてくれないことであった。国内会社と外資系の会社で大きな違いを感じたが、監査を通じて指摘事項を見つけても国内会社では受け入れてもらえず、何のために監査業務を行なっているのであろうと悲しさを覚えることがあった。
また、日本人と外国人(私が一緒に仕事した方々のみかもしれないが)の仕事のやり方の違いを痛感した。日本人は満遍なく細かく監査をしていき、時間的制約から最後に時間がなくなり、重要な勘定に最後苦しめられる。一方で、外国人は重要な勘定から作業を実施していきメリハリをつけて作業をしていく。ヒアリングを実施していても、製造業等他のアジア圏を含め、海外の強さを痛感し、日本は大丈夫なのだろうかとさえ感じた。しかし、日本にも何かよいところはあるはずと考え、日本の会社に就職してみようと考えるようになった。
また、新規クライアント先を担当した際には苦労した。新規クライアントは前年度調書の引継ぎがあるものの、白紙の状態から監査業務を実施することは非常に大変であり、自分の会計士としての知識のなさに悩んだ。仲の良い先輩に他社での経験や会計手続について相談して解決し、なんとか作業を終了することができた。新規クライアントでの経験は非常に辛かったが、人間的成長に繋がったと考えている。
07
人生の目的と公認会計士という資格

会計士になって良かったことは、やはり手に職があるという安心感が非常に大きい。自分のやりたいことに挑戦し、また、他にやりたいことがあったら挑戦することができる、自ら道を開拓することができる。転職したばかりであるため、現時点ではIR 業務に精通し、業務を遂行するといった目先の目標をまず達成していきたい。日々の業務を通じて、監査法人時代と同様に何か挑戦したい道ができた際にはチャレンジしていきたいと考える。
人生の目的はオリジナルな会計士としての道を歩んでいけたら良いなと考えている。
08
これから成し遂げたい事、将来の夢
現時点までは、流れに従って自分のやりたいことや、会計士としての専門性を活かして仕事を選択してきた。今後はどのようなことに専門性を磨くのかということをしっかりと考え、どのような領域に注力していくかを慎重に検討していきたいと考えている。
まずはIR の一員として、会社のことを十分に説明することができるよう、会社の知識の習得に努めたいと思う。製薬会社は新薬の研究開発を理解するのが非常に困難で勉強の毎日ではあるが、頑張っていきたい。
将来の夢は、会計士としての知識を利用しながらも、会計士という枠に囚われない新たな領域に挑戦していき、一会計士として胸を張れる存在になりたいと考える。

09
キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
これがやりたいと強く思う仕事があるのであれば、果敢に挑戦すべきだと思う。とは言え、夢と現実にギャップがある。また、アメリカでは経営者に対しては成功談ではなくまず失敗談を聞くように、失敗はつきものである(一方で失敗から得る経験は非常に大きい)。
夢ばかりを考えて現実とのギャップにショックを受けないためにも、転職経験者や同じ道を選択した同僚から話をよく聞き、じっくり考えた上でアクションを起こすことが大切だと考える。新たな道へ一歩踏み出す際には勇気も必要だが、自分で納得するまで考えて実際にアクションをとることが重要だと身をもって感じている。
監査業務を通じて思ったのは、色々な会社に行くことが非常に貴重な経験だと考えていた。日々の監査業務を通じて、クライアントの特徴や分野によっての違いを感じ、自分が今後どのような仕事をしたいのか考えて監査を実施していくことが大切ではないかと思う。


