
アカウンティングワークス株式会社
代表取締役
花房 幸範
はなふさ ゆきのり
後悔しない選択を導く会計士
1975年5月10日生まれ(51歳) 鳥取県出身 東京都在住
中央大学商学部会計学科 1997年合格

01
キャリアサマリー
公認会計士という職業があることを知り、会計士を目指そうと思う。
国立、私学で商学部に絞って受験し、中央大学商学部会計学科入学
公認会計士二次試験合格、青山監査法人で働き始める
大学卒業、青山監査法人入所
日本アジアホールディングス株式会社 入社
株式会社会計工房 入社
アカウンティングワークス㈱設立、代表取締役就任(現在に至る)
私が公認会計士を志したのは、高校2年の時、たまたま学校の教室に置いてあった職業紹介の雑誌で、この職業を知ったことがきっかけです。地方にいると、学校の先生、公務員、医者のどれになるか、という話をされたりするのですが、自分自身は怠け者で、学校も遅刻していましたし、そもそも組織に向かない性格だろうと昔から思っていました。実家が商売をやっていたため、いわゆるサラリーマンのイメージもなかったんです。そんなときに公認会計士を知り、元々数字が得意だったこともあって、自分に向いた職業ではないかと感じました。そこで、大学の先生の助言のもと進学先を商学部に絞って、中央大学に合格し、簿記3級、2級、1級を取得後、大学の経理研究所で公認会計士の受験勉強を始めました。大学3年時、短答式に受かるも論述式(現在の論文式)で落ちてしまい、資格の予備校に通学して大学4年時、2度目の受験で合格。青山監査法人に就職を決めました。学生なので正式入社は卒業後となりましたが、合格後からフルタイムで働き始めました。
監査法人で5年間働いた後、先輩の口利きで投資会社に、財務経理のコントローラーとして転職することになりました。5年間、財務経理の責任者として、IFRSでの連結決算実務、金融機関からの資金調達、上場準備のための業務も経験できました。監査法人では得られなかった一般社会の常識的な慣行を学ぶことができ、ある意味新鮮でしたし、異業種の方と交わることの面白さを知ったと思います。
その後、中小の会計事務所に転職します。そこでは2年間、上場会社や上場準備会社、非上場会社の様々なコンサルティングでの支援を経験しました。
そして2009年、地元鳥取に貢献できないか、そして多くの中小企業経営者の知恵袋的な存在としてサポートできないかという思いで独立しました。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
学生時代ほとんどアルバイトをしたことがなかったので、社会人として初めて働くことが面白く、監査法人ではどんな仕事でも積極的に引き受けていました。特に当時は、監査部にいるから監査の仕事だけということはなく、日本でもまだ黎明期であった財務デューデリジェンスや、上場支援の仕事にも携わることができました。監査法人で培われた実務の方法論やExcelの知識は、今でも仕事のベースとして役立っています。経理担当者向けのExcelの本を書いたのですが、ある人からは「今までで1番役に立つ本だった」とお褒めの言葉を頂きました。この本がきっかけで、後に80名規模のExcel研修の講師の依頼もいただきました。
監査法人には5年しか在籍しませんでしたが、かなり密度の濃い、仕事に注力した時期でした。忙しく働いて、10年分ぐらい経験したのではないでしょうか。厳しいところに身を置いたのが良かったですね。
財務デューデリジェンスは独立してからも行っていますが、監査部門から、財務デューデリジェンスの専門部署への転籍を考えている時期もありました。デューデリジェンスはより深彫りして、ダイレクトに会社の意思決定に寄与している実感があり、仕事として面白かったからです。しかし、先に独立していた先輩の口利きで香港資本の投資会社(日本アジアホールディングス㈱)を紹介していただき、結果としてそちらにご縁を感じて転職しました。香港の親会社が香港上場を目指していたタイミングで、かつ、日本の事業規模が非常に大きかったのですが、IFRSベースの連結財務諸表を作れる人がいない。そこで僕が、財務経理部長として入ることになったんです。いざ入社してみると水が合う環境で、初めての事業会社の経理の仕事はやりがいもありました。他にも、IPO準備や買収した子会社の業務システムの統合・連携に必要なアレンジや、パッケージの作成・指導、資金調達も累計で300億円ほどするなど、財務経理に絡むことをひととおり経験でき、大変勉強になりました。
この会社に入社した2002年は、ITバブル崩壊直後で、株価が低迷し、証券会社のPBRも0.5以下という時代でした。その地場証券をたくさん買っている会社が、まさに僕が入社した会社でした。たくさん買ったら今度はスリム化して利益体制にしていく、というビジネスモデルですね。当時まだ投資会社が世の中的にメジャーではなかったですが、「東大出たら官僚」だったのが、ゴールドマン・サックスや、外資系投資銀行へ行く、というように変化するほど、投資銀行が脚光を浴び、有名な「ハゲタカ」という本がドラマ化され…。そういうダイナミズムをまさに真横で見れたのは、刺激的でした。
この会社は傘下に日本アジア証券や亜細亜証券印刷(現在のプロネクサス)があり、出向で来ている人も多かったため、同期や先輩含め、「営業っ気」のある人など、面白くて個性的な人が多かったです。皆、非常に良くしてくれて、「監査法人での常識が世間では非常識」という学びもありました。日経新聞の読み方ではないですが、新入社員が教わるようなことをそこで学び、非常に勉強になった5年間でした。また、香港に親会社があった関係で、仕事で香港やシンガポールに出張できたことも、自分自身の見聞を広める良い経験になりました。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
2009年にアカウンティングワークス株式会社を設立して15年になります。前半の7年程は1人で会計コンサルティングを行うことがメインの業務でした。具体的には上場会社の決算開示支援、連結決算支援、業務改善コンサルティング、財務デューデリジェンス、株価算定等の業務です。8年程前に常駐型の会計BPO事業をスタートし、現在では20数名の組織となりました。BPO事業と並行して税理士法人も設立し、企業の顧問税理士の仕事も少しずつ増えています。小規模ながらも、会計のお困りごとに対して総合的にソリューションを提供できるようにしていきたいと考えています。
また、独立してから上場会社の社外役員(現在は3社)を拝命する機会も頂いています。「なんでそんなに社外役員をやっているんですか?」とよく聞かれるのですが、基本的にすべてご縁で、「出会い」と「相性」だと思っています。自分では、自分自身を売り込んでいるつもりはなく、色々な人と接点を持つ中で、相性が良ければお声をかけていただけるのではないでしょうか。誰も強慢な人に頼もうとは思わないので、謙虚であること、そして、杓子定規に物事を考えず、本当の意味で合理的な判断をすることを心がけているつもりです。なんでも杓子定規にリスクを回避するのでなく、 挑戦すべきことは挑戦するいう姿勢を大事にしています。「損して得取れ」という言葉も好きですね。こういった姿勢が評価されて役員に選んでいただいたのなら、良い「出会い」であり、「相性」が良かったということだと思っています。
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あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
私自身の強みは、聴く力です。これは監査で培われたものだと思いますが、お客様の言葉をきちんと聴いて必要とされていることを理解し、可能であればお客様の気付いていない潜在的な悩み事まで聴き出すことができればと思っています。そしてその課題に対して、ソリューションを提供していくことが自分の会社の使命と考えています。
また、相談し易さも自分自身の強みではないかと思っています。あるお客様に、「会計に限らず、困りごとを花房さんに相談すれば、解決できる人を連れて来てくれる」と言われ、非常に嬉しかった経験があります。自分自身がソリューションを提供できなくても、連携している個人、会社とチームプレーで解決できれば、少しでも世の中の役に立てるのではないかと思っています。例えば、これから監査法人でプロになろうと思ったとき、プログラミングの知識やデータ分析の知識が必要になるかもしれません。ですが、究極的にはそれらを「使える人を知っていれば」なんとかなる。使える人をうまくまとめてコーディネートして、何ができるのかを理解さえしていれば、実際に手を動かすのは得意な人に任せれば良いと思うんです。困った時にこそ、「あの人に相談すれば何らかの解決策の糸口になる」と、私を思い出していただけるなら嬉しいですね。

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仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
1つは、監査法人で、厳しい外資系起業のお客様から、成長を褒めていただいた瞬間です。世間知らずで、必ずしも優秀な社員でなかった1年目の私は、お客様から厳しいことを言われることもありました。たとえば内部統制のウィークポイントを会社に指摘して、改善案を提案するというコンサル的な要素が入ったリコメンデーションを、1年目から求められるのですが、そんなことは授業でも習わないし、いきなりうまくできるわけもなく、お客様にも論破され、悔しい思いをしました。そのような中、同じお客様を2年目に担当した後で、マネージャーから「経理の○○さんが、去年の(1年目の)花房さんは頼りなかったけど、今年は昨年と違って、かなり成長しているのが分かるね、と褒めていたよ」と聞かされたんです。今の仕事では急激な成長の機会もないと思いますが、なかなか実感できない自分の成長をお客様に認めてもらえたのは、大変嬉しい経験でした。
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公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
実はあまりありません。仕事そのものをつまらないと思ったこともないですね。強いて言うならば、相性の悪い上司に厳しい言葉をかけられたことでしょうか。ですが、自分の成長のためにあえて厳しく言ってくれたのだと思うので、今となってはそれも良い思い出です。公認会計士という資格が性に合っているのか、仕事は楽しむということを心がけています。
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人生の目的と公認会計士という資格
人生の目的という高尚なテーマを持つほど偉い人間ではないのですが、何らかの形で少しでも社会に貢献できたら、という思いはあります。本当は大きな目的を持てれば良いのですが、今は目の前のお客様の課題と真摯に向き合って、その課題を一緒に解決することが、きっと社会貢献に繋がるであろうという思いで、日々の仕事をしています。

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これから成し遂げたい事、将来の夢
社員を抱えていますから、まずはこの会社を、自分がいなくても回っていく、継続していくような組織にすることが一番の目標です。それには一定の規模が必要でしょうし、いかに良い人財を獲得し、育成していくかということも課題です。それができるまで、将来の夢というものはなかなか持てないと思いますが、漠然と、会計事務所以外の、世の中の役に立つ事業にも携わることができれば、と思っています。

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
何が成功で何が失敗か、その時の選択が正しかったのかどうかというのは、正解がないので難しい質問ですね。自分自身が後悔しない選択をして、選択した以上はそれが最良の選択であったと思うしかないと思っています。突き詰めていくと、最後は哲学的な物や宗教的な考え方になるのかもしれませんが、自分自身の価値観の軸を持ち、それを守ることが大事なように思います。自分自身は、常に謙虚な気持ち・姿勢でいること、チャレンジ精神を失わず新しいことに積極的に取組むこと、責任感を持つこと、様々な事柄にアンテナを張ること、向上心を保つこと等を(実戦できているかどうかは別として)信条としています。
仮に、「後悔しない人生を目指すなら」とさせてもらうと、選択肢を多く持つこと、そのために情報を集めて必要な努力をすること、とアドバイスしたいです。抽象的でしょうか?私が事ある毎に学生の皆さんに言っているシェイクスピアの「人生は選択の連続である」という言葉があります。選択をするためには、情報を知らないといけません。知らないことは選択できないからです。私はたまたま公認会計士という資格の存在を、高校生の時に知ったので、それを目指すという選択、そのために商学部に入るという選択(それがベストかどうかは分かりませんが)を行うことができました。選択肢を広げるためには、若いうちは特に「人に会って話を聞く」、「旅をして見聞を広める」、「本を読んで知識を広げる」、ことをした方が良いですよ。会計士が良いのかどうか、会計士として監査をするのが自分に合っているのかどうか、事業会社で活躍するのが良いか、自分で会計事務所を運営するのが良いか、やってみなければ分からない部分はもちろんありますが、すでに周りに行っている人がいる分野であれば、聞いたり読んだりする機会は作れると思います。私自身は仕事の選択について、会計士を選んだことを除けば強い意思決定をした記憶はあまりないのですが、何となくも含めて選択した以上は、それが最良と思って前を向くようにしています。仕事をするには面白い方が良いに決まっていますからね。
それから、自分を厳しい環境に置いた方が良いと思います。 ブラック企業と言うが、何をもって「ブラック」と言っているのか。つまり、仕事に対しての厳しさがある環境という意味なら、むしろ良い企業だと思っているんです。日本は「結果の平等」を求める文化ですが、グローバルで重視されるのは「機会の平等」です。働きたい人は働けば良いし、働きたくない人は働かなくて良い。その代わり、個人の成長もそれ相応ですよ、ということが平等だと思います。そういった価値観がもっとあっても良いのではないでしょうか。


