
株式会社すららネット
経営管理部 CFO
古子 優樹
ふるこ ゆうき
CFOとして経営管理を行う企業内会計士。関わる人が幸せになる会社作りを目指す
1987年10月14日生まれ(39歳) 静岡県出身 東京都在住
中央大学 法学部 卒業 2009年合格

01
キャリアサマリー
学生時代にたまたま税理士を目指していた友人から公認会計士という職種があることを聞き、会計、監査の専門家という立場で幅広く社会に関わっていけるという点に将来性があると感じ、公認会計士を目指す。
2009年の公認会計士試験に合格し、某大手監査法人のIPO部門へ入社。当該部門でミドルマーケットの法定監査や、IPO準備会社へのサポート業務に従事する。
縁あり、バイオベンチャーへ転職。現在は経営者管理部長として、財務経理以外の内部監査、会議体運営、法務、人事、総務等、多様な業務に奮闘中。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
私は監査以外にも会計、監査の専門家として幅広い業務ができることに惹かれて会計士を目指したため、早い段階から会社の全体像を理解し、監査以外の業務にも携わって、より多くの経験を積みたいと考えていた。
そんな想いを持って大手監査法人に入社して、運良く第一希望であったIPO部門に配属することができた。IPO部門で扱う企業には、世間でいう大企業は少なく、中小企業が中心の部署で、監査法人で一般的な業務とされる監査だけでなく、IPO支援、内部統制構築支援、決算助言指導など様々な業務を経験する機会を得ることができた。特にいい経験だったと思うのは、担当しているクライアントの規模が大きすぎず、担当者や役員との距離が近く、会計に関すること以外にもマネジメントも含め様々な質問を受けることであった。
当時は今ほど監査法人の独立性が厳しくなかったことから、少しでも会社のためになるならと、知らないことであっても自分で調べたり、社内の専門家に聞いてみたりして、できる限り回答するように努めていた。
この頃から会計以外の事業会社で起こる様々な出来事に興味を引かれ、いつかは事業会社で働きたいという想いが芽生えていた。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
今はベンチャー企業の経営管理部長兼IPO責任者として、経理に関する業務以外に、管理部の立ち上げ、ファイナンス、人材採用、労務管理、契約書レビュー、取締役会、監査役会の運営、監査法人、証券会社対応など、会社運営で必要な管理業務は何でも担っている。また、幸運なことに、役員だけの会議も含め全ての社内会議に参加して意見を言える環境にあることから、経営管理部長という立場でおこがましいものの、自分の会社という意識を持って日々業務に当たるようにしている。
些細な気持ちの違いではあるが自分の会社という意識を持っていると、会社の事業を進捗させるためには何が必要でどうすればいいのか、従業員が働き易い環境にするにはどうすればいいのかなど、会社をより良くするための施策に自然と意識がいくようになってきている。そのお陰で、ベンチャー企業では改善しないといけない点はたくさんあり、日々会社を取り巻く環境に変化が起こることから業務はどんどん増えているが、そのような中でも他のメンバーと膝をつめて議論し、もがきながらも楽しみながら過ごすことができている。
今後のキャリアパスとしては、IPO責任者という立場を全うし、会社のステージアップに貢献して経営者(取締役)の一人になることが目下の目標である。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
監査法人に入社した頃から、経理以外の部署からヒアリングする機会を得られたのは大きな経験だった。監査法人では皆が会計という共通言語を介して会話が可能であったが、事業会社は様々なバックグラウンドの人間で構成されている。その中で必要なコミュニケーションを取ることができるのは、監査法人時代の経験が生きていると考えている。
また、監査業務で培った能力そのものが日々の業務で大きく役立っていると感じることもある。例えば、監査計画を立案するために会社の状況を分析、理解し、監査手続きを自ら考え、その後会社に変化があれば監査手続きを見直すという監査の入り口で実施していた作業は、ベンチャー企業の業務改善を行う中で必須となるPDCAを回すという点にとても似ている。また、複数のクライアントを同時並行で抱えている時に、複数の監査メンバーのタスク管理、配分を行いながら業務を進めたことは事業会社でマネジメントする時に役立っている。
さらに、複数の業務を同時平行で行っていたお陰で、優先順位をつけメリハリをつけて業務を行う習慣が身に付いており、組織が出来上がっておらず、様々な仕事をする必要があるベンチャー企業という環境では力を発揮することができている。

05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
IPO準備会社に、ショートレビューや課題調査などIPOするまでに必要な整備事項を確認すると、社長から会社設立の目的、将来展望、会社や従業員に対する思い、なぜIPOをしたいのかなど、多くの熱い話を飾らない率直な言葉で聞くことができた。
そんな社長の熱い思いに触れた時には、自身自身も熱くなり改めて自分の立ち位置やどんな仕事をしていきたいのかを考えさせられ、人様のためになる仕事、人様の生活をより良くすることに貢献できる会社に勤めたいと感じるようになった。もちろん、監査法人という仕事は会社を取り巻くステークホルダーの利益を守り、日本経済の発展に寄与でき、誇りのある仕事ではあるが、自分自身の中では壮大すぎて腑に落ちないところを感じている時もあった。
創薬系のバイオベンチャーに転職したのも、薬を求めている患者さんのためになるということが具体的に描けたことがきっかけだったと思う。IPOを目指している社長と話せる機会を得られたのは、大手監査法人のIPO部門に所属することができたお陰だと思うので、そのような機会を与えてくれた方々に本当に感謝している。
06
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
監査法人に勤める会計士にとって、主要業務は上場会社(上場準備会社)の監査業務。会社が作成した有価証券(四半期)報告書や会社法計算書類に誤りがないかを確認し、誤りがある場合には適切に修正させる業務が中心となる。この修正時の監査法人の立場は難しく、自己監査(自らが算定した数値を監査すること)にならないように、助言・指導業務という限定された立場でのアドバイスしかできないルールとなっている。大企業のように人材などのリソースが整っている会社なら限定的なアドバイスであっても対応可能かもしれないが、私が担当しているクライアントは社内リソースに余裕はなく、特に人材不足という点が顕著であったため、教科書通りの指摘では会社が満足いく対応ができず、中々改善されないというもどかしい思いをすることが多かった。
そこで、教科書通りの説明ではなく、各会社にあったように噛み砕いた提案を心がけるようにしたり、会社担当者に向けた会計基準の勉強会を行ってレベルアップしてもらったりなど、様々なアプローチから監査で求められる独立性を担保しつつ適切に修正を行ってもらう体制を構築することができた。ただ、当初は噛み砕いたつもりでも十分に相手に理解されず、試行錯誤の連続であったが、そのような経験があったお陰で今の会社で各担当者に説明をする際にわりとすんなりと理解してもらえるため、大変いい経験だったと思う。
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人生の目的と公認会計士という資格
私は人様のためになる会社、人様の生活をよりよくする会社に勤め、そのような会社でマネジメントに関わり、関わる人が幸せになるいい会社を作っていきたいと考えている。今でも事業会社の経営管理部長としてではあるが、会社の会議には全て参加する機会を頂けており、その場で自らの意見を言う機会ももらえてはいる。そういう意味では、現状でもマネジメントには十分関われているものの、立場が違えば社内外での見方は変わってくるというのが実情であることから、やはり次のステップとしては取締役として会社マネジメントに関わりたいと考えている。
公認会計士は会計、監査の専門家であるため、財務経理という会社の屋台骨を支えることができるものの、ガバナンス強化の知見を有していることから弁護士と同様に事業会社の役員として迎えられやすい資格であり、実際に上場会社の役員には公認会計士の資格を有している人物は多くいる。また、監査法人にいた時は周りが公認会計士ばかりだから気にもとめなかったが、名刺に公認会計士という資格を記載できることはベンチャー企業などではたまに評価されることを感じる。したがって、公認会計士の資格が、将来的に取締役としてマネジメントに関わるためには大きく役立ってくれるのではないかと考えている。

08
これから成し遂げたい事、将来の夢
先にも述べたが、自らが取締役として会社のマネジメントに関わり、関わる人が幸せになるいい会社を作っていきたいと考えている。特に、IPO部門にいたことから自分の強みであるIPO経験を活かすことができ、会社が上場することで資金面も人材面も飛躍的に拡大する可能性がある上場準備会社に取締役として参画することが目下の目標である。
取締役としてのマネジメント経験を積むことが十分にできたら、その次は同じように取締役として活躍ができる人材を育てることに貢献していきたいと考えている。今思い付くのは松下塾のように人材を育てる環境を整える方法と、現場に出て直接教えていく方法の二つであるが、自分は現場に出て直接関わり人材を育てていきたいと考えている。なぜそちらの方がいいかという明確な理由はないものの、外部から座学でアドバイスを受けるよりも、OJT(オンザジョブトレーニング)として受けたことの方が自分の身になっていると感じているし、やはり自分も第一線で活躍していたいと考えているからだと思う。
まだ一つ目の目標も達成していない中で、人に教えるなど偉そうなことを思っていると自分でも感じるが、自分が関わった人がいい会社を作り、またその人から教わる人が出てくるような、数珠繋がりの一部になることを目標にこれから精進していきたい。

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
まだまだ未熟なため、アドバイスらしいアドバイスはできないが、監査で生きていくにしろ、転職を考えている場合でも、監査法人での監査業務の経験はとても大事にした方がいいと思う。監査で関われるほど多くの情報に触れる機会は中々出会えないし、実際にベンチャー企業に転職した私自身、監査で得られた経験にとても助けられているため、公認会計士に与えられている特権は大いに享受するべきだと思う。
もし、将来的に転職することを考えているのであれば、監査にプラスアルファーとなる自分の強みを身につけることが転職の時に有利になると思う。私がベンチャー企業へ転職する際には、すごく親身になってサポートしてくださるエージェントにお世話になることができ、いい会社に転職することができたものの、事業会社経験がない監査法人出身者は監査法人の仕事内容がわかりにくいということもあり、事業会社に提出する職務経歴書や履歴書に記載できる事柄が見つからず苦労もしたし、あまり評価されない感じがひしひしと伝わってきた。そのため、監査法人でも、海外駐在、アドバイザリー、出向、ITなど、監査以外の仕事に触れるチャンスも多くあるため、チャンスがあれば毛嫌いせずに挑戦することをお勧めする。


