会計士の履歴書
服部 数馬

株式会社VAZ

コーポレートユニット 取締役CFO

服部 数馬

はっとり かずま

ベンチャー企業でIPOを目指す。体育会系の強靭な精神力で困難なフェーズに率先して立ち向かう

1983年4月27日生まれ(43歳) 東京都出身 東京都在住

東京経済大学 経営学部経営学科 卒業

服部 数馬

01

キャリアサマリー

2007

監査法人トーマツ 監査Aグループ入所

2012

特定非営利活動法人very50 法人設立 副代表 / 理事

2014

株式会社FiNC 入社 法人向け事業開発、人事採用、経理財務

2016

株式会社フーディソン入社 経営企画 / 管理ユニット

2018

株式会社VAZ入社 取締役CFO

2022

株式会社TYL入社 管理部部長 / 財務責任者

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

会計士試験合格を目指すにあたり、自分は学生時代、高校はスポーツ推薦、大学は指定校推薦ともともと全く勉強をしたことがなく、会計士試験の勉強を開始してから人生で初めて勉強をする、という崖から落ちる様な挑戦でした。

監査法人では、落ち着かない性格のせいなのか(笑)、他の同期より多くの社数に関与させていただきました。スポットではなく、上場会社3社、上場準備企業3社、会社法監査1社、任意監査1社、学校法人1校、SPC2社と、1つの業種などに特化して詳しくなる経験はありませんでしたが、組織ごとの雰囲気の違いや、毎回異なる上司、チームメンバーと仕事をすることが多く、どんなチームにもすっと溶け込むコミュニケーションの力が身についた様に感じます。

もともと会計士になりたいと思った動機が、社会に良い影響を与えられる存在になりたい、ということでした。監査法人での仕事は、みんな自分より頭がよくてエリートな方々ばかりで、自分もそこの仲間入りができたような気持ちにもなれて(笑)、また休みも多く待遇も良かったので、居心地は良かったです。しかし、監査業務にも慣れてきた3年目になると、もっと本来の目的であった“社会に良い影響直接的に与えられる仕事がしたい”という思いが強くなってきました。修了考査が終わり、今後の将来についてどうしようかと考えていたそんな矢先に起こったのが3.11の東日本大震災でした。

当時、2人の外国人とルームシェアをしていたのですが、ニュージランド人のルームメイトが石巻でNPO法人をつくって復興ボランティア活動をしようということで監事として活動を支援したり、フットサル大会を主催して収益を現地活動団体に寄附するなどの活動をしました。その活動の中で、監査法人を退職して、会計の枠にとらわれずに社会に直接的に貢献できる仕事をすると決め、監査法人を退職し、タイミングも合ったことからNPO法人very50の法人起ち上げメンバーとして仕事をしていくことになりました。

服部 数馬さん

03

今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

現在は、上場を目指すベンチャー企業のコーポレート部門の責任者として、自身もプレイングマネージャーとして手を動かしながら統括を行っています。規模が大きくなっている上場企業の管理職とは異なり、ベンチャー企業の管理職は、自身も作業を担いながらマネジメントとしての役割を担うため業務ボリュームは多く、バランス感覚が非常に大切になります。特定の分野に特化して専門家らしく“キレイ”にスマートに仕事をするというよりも、広い範囲を、外部の専門家をうまく使いながらいかに泥水を吸いながら闘えるか、というのが特徴です。全ての範囲に精通することはまずありえないので、日々来る問題に対していかに問題解決を進めていけるかというのも特徴です。

創業から上場準備に入るまでのフェーズは経験したので、今後は上場準備から実際に上場を果たし、さらに上場企業としての成長へ貢献する経験を積みたいと考えています。さらにその先には、国内・海外の非営利団体を含む多くの組織に対してそこまで得た経験を活かし、より大きな社会インパクトを出せる貢献をしていけたらと考えています。

04

あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

自分は、ほとんどの会計士の方とは異なり、学生時代は全く勉強せずに、会計士試験だけ勉強を頑張って帳尻を合わせたタイプのため、いわゆるエリートなキレ者とは真逆のタイプです。また、監査法人の後のNPO法人では、監査法人よりもたくさん仕事をしつつも年収50万円という状態でも這いつくばってきました(笑)。

そのため、批判されようとも、自身をサンドバッグと捉えらて泥水を吸いながら闘えるという点に強みがあります。ベンチャー企業の経営者はだいたいそういったフェーズを乗り越えて、いまがあることがほとんどですので、他の会計士の方に比べて経営者の気持ちがわかるのでは、と感じています。

服部 数馬さん

05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

自分は、同じ視点、思考を持っている方々と働くよりも、異なる職種で異なるバックグラウンドを持った人たちと仕事をすることにとても強く幸せを感じます。基本、スタートアップでは苦しいことの連続です。しかし、そんな苦しい日々の中、様々なバックグラウンドの異なるメンバーが集まり、時には衝突しながらも、自分たちが生み出したものが定性的に世間に受け入れられ、その後定量的に数字に反映されてくる。日々、みんな個人としても組織してもアップダウンがあるなか、耐えに耐え、それが結果として表れて組織の進歩を感じられた瞬間はやはり心が大きく動きます。

人の感情はダウンとアップのギャップの大きさで幸せを感じると思いますので、それらを当事者として感情が大きく揺れ動く場面を多く経験出来るのがベンチャーの醍醐味だな、と日々実感します。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

会計士にならずに最初から事業サイドの職種に就くべきだったのではないかと悩み、そう考えていた時期が3年ほどありました。“会計の枠の中にとどまって仕事をする=かっこよくない”、また、“会計の枠にとらわれていれば自分の目指す社会へ価値を与える仕事は出来ないのでは”と、とらえていました。監査法人を退職後、会計の知識が活きるフィールドとは全く異なるフィールドに飛び込み、初期のサービスづくりや営業、英語でアジア各国での業務を行っていくなかで、日々、自分の無力さに打ちひしがれていました。

いま振り返ると、恥ずかしながら、監査法人時代から2015年に当時在籍していた株式会社FiNCで管理部に異動になる頃までは、財務諸表はあくまで数字の羅列に近いもので、ほんとうの意味で財務諸表の大切さがあまりわかっていませんでした(監査法人で監査業務のみをやっているとこの思考になっている方もいるのでは、と思います)。

初期のフェーズでのサービス、プロダクトづくりに関与する厳しい環境のなかで、日々、自分もチームメンバーもみんなとにかく感情が揺れ動く。そんななかで、少しずつ感情の揺れ動きがサービスとしての形となり、売上となり、原価となり、販管費が計上されていく。そこで感じたことは、“財務諸表の数字(とくにP/L) = みんなの思いの集合体”であり、そんな集合体である財務諸表を創ることができ、またそこから組織の未来の意思決定をつかさどっていけることはとんでもなく価値のある仕事ですし、それを感じた時に、専門家の最高峰である公認会計士になってよかった、と感じました。

07

人生の目的と公認会計士という資格

今後、公認会計士の独占業務である監査業務をやるつもりはないため、資格としての公認会計士の価値は、“他人からの信頼を得やすい”ということかと思います。会計士業界の外に一歩出ると、会計士とは異なった要素で戦闘力が高い方々と多く出会い、一緒に仕事をしていくことになります。ビジネス視点だったり、課題解決力という面ではとてつもなくレベルの高い人たちが多い中、会計士資格を持っていると土台となる専門的な知識があるんだろうと、出会った方々に思ってもらえます。今後多くの営利、非営利組織の成長に寄与したいという自分の目標を叶える上では、会計士資格というものがあることは自分にとってプラスの存在であることは間違いないです。

服部 数馬さん

08

これから成し遂げたい事、将来の夢

組織の中で戦い抜いて結果(価値)を出し、マクロ・ミクロ視点で組織の闘い方を知り、その後は、営利・非営利や国内・国外に関わらず、多くの組織の活動の価値の最大化に貢献し、それら組織の活動を通じて社会を変えていくことに寄与していきたいと思っています。私のミッションは、“生まれた境遇に関係なく誰もがチャンスを得られる世界にすること”です。

いまはとにかくベンチャーという戦場とも言える、厳しい環境の“組織の中”で闘い、結果を出し、その後はそこまで得た経験を多くの組織に還元していきたいと思っています。

会計士でベンチャー業界というと、“CFO =財務責任者”という括りになることが多いと思いますが、管理、ファイナンスの分野のみならず、HR(ヒト)の分野にも強い経営者になりたいと思っています。

服部 数馬さん

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

自分が、「会計の枠にとらわれずに社会課題を直接解決できる仕事をしたい! 」と感じていた時に、非営利組織の起ち上げにフルタイムで飛び込んだように、やりたいと思ったタイミングで、とにかく飛び込むことが大事です。

やりたいと思っていても、給与だったり他の要素でなかなか意思決定できずに、モヤモヤしながら業務をしている方も多いと思いますが、とにかく飛び込みましょう。今までの延長線上とは大きく外れた環境に飛び込めば飛び込むほど、やってみることで自分の価値観、軸が磨かれます。飛び込んだ後は苦しいという感情も多く出てくると思いますが、それが自分の成長に繋がります。

お金がなくなっても、会計士の資格があれば、最低限食いっぱぐれはないと思いますし、とにかく飛び込むことをおすすめします。やらなかった後悔は大きく残りますが、やったことで結果的に機会損失があったとしても、やった後悔というのはないものだと思います。なので、踏ん張るときは踏ん張りつつ、自分に正直に生きるというのが大切だと思います。