
株式会社CINC
取締役 経営管理本部長
雨越 仁
あまごし しのぶ
キャリアは掛け算で希少性を高める
1981年3月3日生まれ(45歳) 大阪府出身 東京都在住
京都大学理学部 2011年合格

01
キャリアサマリー
BNPパリバ証券入社
JPモルガン証券入社
JPモルガン証券退社 会計士試験の勉強に専念
公認会計士試験合格
三井物産入社 経理部
三井物産 在ドバイ子会社へ出向
freee入社
MILIZE入社 執行役員CFO
CINC入社 取締役経営管理本部長
大学卒業後、汎用性の高いスキルを身につけたいと考え、外資系証券会社に入社し、金利、為替の金融派生商品開発に従事。2008年のリーマンショックを機に今後のキャリアを考え、より汎用性の高い知識を身につけたいと思い、会社を辞めて公認会計士試験に挑戦。公認会計士試験合格後は、総合商社の経理部にて、全社決算、IFRS導入プロジェクトなどを経験。その後、投資先管理をする在ドバイ子会社に財務責任者として出向し、子会社の管理部門体制の構築に携わる。総合商社を退職後、複数のベンチャーを経験し、2018年にCINCの取締役に就任し、上場準備を主導。直前期の2020年に出産し1児の母に。2021年10月に東証マザーズ上場。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
大学卒業後に外資系の金融機関に入社しました。将来の目標が明確にあったわけではなかったので、金融機関に入っておけばつぶしがきくだろうなという浅はかな理由だったと思います。その後、リーマンショックを機に今後のキャリアを考え、より汎用性の高い知識を身につけたいと思い、会社を辞めて公認会計士試験に挑戦しました。
会計士試験合格後は、監査法人への就職を考えていましたが、私が合格した2011年は会計士就職氷河期ということもあり、就職活動をしていく中で、監査法人で働くことに魅力をあまり感じなくなったこと、その当時すでに30歳を過ぎており、監査法人だと1年目としてキャリアをスタートしなければいけない等を総合的に考えて、事業会社の経理職での就職を考えるようになりました。しかし、世の中そんなに甘くなく、会計士試験合格者であっても、経理や監査の実務経験がないとそもそも書類選考さえ通過しない日々でした。そういった中で、三井物産で働いている大学の同級生が、中途採用してるから応募してみたら?と教えてくれたことをきっかけに、HP経由で三井物産の中途採用に応募し、内定をもらいました。当時、IFRS導入プロジェクトなどが進んでおり経理人材が足りていなかったこともポジティブに働いたのかもしれません。
三井物産入社後は経理部にて、全社決算、IFRS導入プロジェクトなどを経験しました。その後、投資先管理をする在ドバイ子会社に財務責任者として出向し、子会社の管理部門体制の構築に携わりました。投資先の取締役会への参加等を通じて、より経営の近くで仕事をしたいと考えるようになり、ベンチャー企業への転職を考えるようなりました。
その後、freeeの事業開発に転職するも、自分の得意はバックオフィスサイドだと認識し、半年で退社し、再び会計の道へということでベンチャー企業のCFOに就任し上場準備業務に従事しました。その後、JPモルガン時代の同僚であったCINCの代表と久しぶりに再会し、CINCの上場準備を一緒にやらないかと誘われ、2018年にCINCに入社しました。入社の決め手は、代表とは同じ年でお互い遠慮せず物事を言い合える関係であったことが大きかったです。社長と管理部門の責任者、もちろん上下の関係はありますが、上場を目指すのであれば、時には社長の行動に対してNoと言える関係でないと管理部門の責任者は務まらないと考えていたからです。今でも、お互い遠慮せず物事を言い合える関係を続けられているので、入社して本当に良かったと感じています。
私はキャリア選択をするときには、それってワクワクするの?って自分に問いかけて、判断するようにしています。私は1つのことを突き詰めて専門性を高めていくのは向いていないと思っているので、いろいろな業務を経験して、掛け算で希少性を高めていくキャリアを積んでいきたいと考えています。
03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
2018年からCINCという会社で取締役経営管理本部長をしています。仕事の内容は、会社のステージや社内のリソースに応じて変化しています。入社してから3年ほどは上場準備期間だったので、経理の内製化、内部管理体制の整備、ストックオプションの設計、資本政索、審査対応等、バックオフィスに関わること、上場準備に関わることは何でもやっていました。
当社は、上場まで第三者からの資本を受け入れていなかったこともあり、知名度や資金面から管理部門すべての業務に経験者を配置することはできなかったので、経験者がいない業務に関しては外部の専門家の協力を得ながら私がサポートに入って業務を回していました。ほんとうに何でも屋さんです。
上場後は、各業務、経験者の採用が徐々に進んできていますが、投資家対応、IR活動などの新しい業務も増えてきていますので、今は、開示体制のさらなる強化、IR活動の体制整備に注力しています。自分が何をやりたいかも重要ですが、自分がどの仕事をするのが会社にとって最善かを考えて、仕事をするようにしています。将来的には、M&Aなどにも関わっていきたいなと思っています。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
今までの様々な経験を通じて、たいていのことはなんとかなると楽観的に思考できるところが自分の強みだなと感じています。外部から見ていたら難しそうに見えていても、実際やってみたらそうでもなかった、何とかなったということが多いので、自分が経験していないことでも、まずやってみる。できなかったら早めに撤退して、自分よりうまくできる人にバトンタッチすることを心がけています。
05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
CINCに上場準備責任者として入社して半年過ぎたときに、妊娠がわかりました。直前前期でした。出産は直前期。上場準備真っ只中の妊娠で、このまま上場準備責任者を続けてもいいのか、そもそも育児をしながら上場準備責任者が続けられるのかなどいろいろと悩みました。そんな中、代表に妊娠を伝えたところ、どうやったらできるかを一緒に考えよう、最大限僕も協力すると言ってくれ、かなり心が軽くなりました。実際に、外部のリソースの活用や、リモートワークができる環境の整備などいろいろと尽力してくれました。
また、それまでは、仕事を自分1人で抱え込むことが多かったのですが、産休取得で強制的に職場を離れなければいけないという状況に直面し、私の産休中でも上場準備が進むようにと管理部門のメンバーへの権限移譲を積極的に進めました。その結果、管理部門のメンバーが積極的に私の仕事を取りに来てくれるようになり、結果的にメンバーの成長が加速することになりました。
今までの私はどちらかと言えば1人で頑張るタイプだったのですが、この経験を通じて、1人で抱え込まず周りを頼るということができるようになりました。当たり前のことかもしれませんが、私にとっての大きな意識改革でした。
06
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
総合商社の経理部で働き始めたときに、資格の勉強と実務が全然つながらず、悩んだ時期がありましたが、上司や先輩にたくさん質問をしたり、四半期ごとの決算をやっていく中で、徐々に勉強と実務がつながっていったように思います。一方で、公認会計士を取得する前のほうが、自分は何ができるのか、何者なのかについて深く悩むことが多かったような気がします。
07
人生の目的と公認会計士という資格
大学時代、化学を専攻していたこともあり、同級生や先輩後輩はほとんど研究職に従事しています。本当に優秀な人が多いのですが、今の日本は研究職に従事している人があまり評価されておらず、それが日本の国力低下につながっているのではと考えています。将来的には、技術力はあるけど、アカウンティングやファイナンスがわからないから、起業に踏み切れないといったような人や起業してもあまりうまくいってないない人のお手伝いをして、技術大国日本の復活の一助になれればうれしいなと思っています。
08
これから成し遂げたい事、将来の夢
これから成し遂げたいことはたくさんあります。マーケティングの勉強もしたいですし、プログラミングも勉強したい。まだまだ自分が知らないことがたくさんあるので、もっともっとたくさんのことを勉強していきたいと考えています。
今までの人生で本当にたくさんの人に助言をもらい、助けられてきました。これからも、誰かに助けられられる人生は続いていくと思いますが、最近、自分の過去の経験を踏まえて、アドバイスできることが増えてきました。自分の経験や知見などを必要としている人に「恩送り」をしていきたいと考えています。
09
キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
私は、社会人を経験した後に会計士試験に挑戦をしました。会計士試験を目指した理由は、リーマンショックを経験し、汎用的な資格を取ったほうが自分の市場価値が上がり、長く働けるんじゃないかという、あまり志が高くない理由でしたが、会計士の資格を取って、いろいろなことに挑戦しやすくなったと感じています。
会計を知っているということは、自分が思っている以上に市場から評価されています。最近は、監査法人以外で活躍する会計士も増えてきたように思います。私の周りにも、戦略コンサルティングファーム、投資銀行、ベンチャーのCFO、独立会計士、組織内会計士など、様々なところで活躍している会計士がたくさんいます。挑戦したいけど挑戦するのが怖いと思っている人は、自分が興味を持っている分野で活躍している人の話を聞いてみるのがいいと思います。挑戦しないと、チャンスはつかみ取れません。恐れずに新たなキャリアに挑戦してみてください。


