
大手都市銀行
内部監査部門 非公開
秋田 具伸
あきた とものぶ
ニューヨークでの挫折経験から働きながら公認会計士に合格。金融、会計、IT、英語を軸に幅広く教養のある人材を目指す
1977年2月1日生まれ(49歳) 岐阜県出身 東京都在住
北海道大学大学院 地球環境科学研究科 修了 2015年合格

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キャリアサマリー
NECソフト株式会社(現 NECソリューションイノベータ株式会社)入社
株式会社野村総合研究所入社
監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)入社
アクセンチュア株式会社入社
大手都市銀行入社
大手都市銀行在職中に公認会計士試験の受験勉強を開始
公認会計士試験(論文式試験)合格
公認会計士登録
会計士の履歴書の執筆にあたり総括すると、様々な挫折を経験しながら順調に成長を遂げてきた半生であったと思います。大学院では触媒化学系の研究室に所属していましたが、2000年前後は驚異的な就職難であり、希望の研究職に就くのは難しい状況でした。途方に暮れ、札幌市内の書店に就職活動のヒントになりそうな題材を探しに行ったところ、当時の産業界のトレンドであった「ERP(Enterprise Resource Planningの略)パッケージ」に関する書籍を偶然見付けて大いに興味を持ち、IT業界に絞って就職活動を行うことにしました。IT業界はコンサルティングファームも含めて20社程度エントリーし、内定をいただけたNECソフトに入社しました。
職歴は現職を含めて5社ですので、転職回数は世代平均では多い方ではないかと思います。ファーストキャリアのNECソフト(2001年入社)では、SAP(ERPパッケージの一つ)導入の下流工程に従事しました。SAPは業務領域ごとに財務会計、管理会計、販売管理、購買管理、人事給与等のモジュールに分かれていますが、私は財務会計モジュールの担当になり、それが現在まで会計に携わるキャリアのスタートとなりました。
2003年に野村総合研究所(NRI)に転職し、主にERPパッケージ導入の上流工程を担当しました。NRIには会計及びERPパッケージの経験を買われて転職しましたが、会計知識は簿記2~3級レベルであり、連結会計などは全く知識がない状況であったため、転職当初はとても苦労しました。その中で、2004年からの1年間、就労ビザを取得してニューヨークに滞在し、現地の大手金融機関にERPパッケージを導入するプロジェクトに従事しました。ニューヨークのプロジェクトで苦労した話は「5.仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間」で後述します。
ニューヨークからの帰国後、2006年に監査法人トーマツに転職しました。監査法人でのキャリアについては、「2.監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ」で後述します。
2011年にアクセンチュアに転職し、IFRS導入に伴うITコンサルティングに従事しましたが、会計知識は簿記1級にやや届かないレベルであったため、会計知識の向上に努力し続ける日々でした。
その後、2012年に都市銀行に転職し、現在は内部監査部門にてJ-SOX、US-SOX対応に従事しています。
公認会計士試験の学習は都市銀行在職中の2013年から始めました。ワークライフバランスが取れている職場であり、残業・休日出勤等がほとんどなかったため、余暇時間を活かして何か新しいことにチャレンジできるのではと考えました。そこで昔から会計に携わっていながら資格としては簿記2級しか保有していない状況に歯がゆさを感じていたこともあり、このタイミングで公認会計士試験にチャレンジしようと一念発起しました。その後、短答式試験を3回、論文式試験を1回受験し、2015年に最終合格しました。
論文式試験の合格後、都市銀行での業務経験で公認会計士の登録要件を満たすことが分かったため、補習所を3年から1年に短縮して2016年に修了考査に合格し、2017年に公認会計士に登録しました。
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監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
2006年に監査法人トーマツに入社しました。公認会計士ではありませんでしたが、当時はJ-SOXのアドバイザリーを行う人材が業界全体で不足していたため、ITのバックグラウンドがあれば監査法人に入社するのは難しくなかったと思います。監査法人の内定をいただいたのが2006年4月だったのですが、2006年5月に中央青山監査法人が業務停止となったニュースを見たときは、この業界に進んで本当に大丈夫なのかと心配になりました。
監査法人の中からトーマツを選んだ理由ですが、大学院の就職活動時にトーマツコンサルティング(現 デロイトトーマツコンサルティング)、デロイトトーマツコンサルティング(現 アビームコンサルティング)を受けて落ちていたので、監査法人の中でもトーマツに対する憧れが尋常ではなかったからです。入所してからしばらくは受付に飾られている「Deloitte」のロゴを見るたびに興奮したのを覚えています。
トーマツ内での所属はERS(エンタープライズリスクサービス)で、それまでのITのバックグラウンドを活かし、内部統制監査、システムリスク評価等に従事しました。内部統制監査では会計士とも協業し、会社の内部統制の整備状況評価(ウォークスルー)と運用状況評価を行いました。
一方、前述のとおり、会計知識は簿記2級レベルでしたので、このレベルで監査法人に勤務し続けることが良いのかという不安が日に日に募りました。そこで監査法人で4年9か月経験を積んだ上で、何か一つ会計に関する突出した武器を身に付けたいと思い、当時のホットトピックスの一つであった国際財務報告基準(IFRS)に関する知識・経験を得るために、アクセンチュアに転職しました。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
ここでは監査法人から転職したアクセンチュア、及び都市銀行(現職)での仕事内容を記載したいと思います。
監査法人を2011年3月に退職し、アクセンチュアには2011年4月に入社しました。2011年3月は監査法人内での業務の引継ぎに注力していましたが、東日本大震災があり、株価も暴落する中、このタイミングで転職しても希望するIFRSコンサルティング案件に従事できるのかと不安に駆られたのを覚えています。
アクセンチュアでは当初の希望通り金融機関に対するIFRSコンサルティングに従事することができました。IFRSは2015年3月期から強制適用されることが決まっていましたので、IFRSコンサルティング案件は他にも数多くあったと記憶しています。入社してからしばらくは、簿記2級レベルの会計知識から脱却すべく、毎晩、IFRSに関する書籍を読み漁り、着実に会計に関する知識を蓄える日々を過ごしました。金融機関でのプロジェクトは順調で会社に対する良い提案も行えましたが、2011年6月に自見金融担当大臣が東日本大震災の影響を考慮して、「IFRSについては、少なくとも2015年3月期についての強制適用は考えておらず、仮に強制適用する場合であっても5~7年程度の十分な準備期間の設定を行う。」との発表を行ったため、従事していた金融機関でのIFRSプロジェクトは棚上げになりました。IFRSコンサルティングに従事するためにアクセンチュアに転職したのですが、自見金融担当大臣の発表後、IFRSに関するコンサルティング案件のほとんどがペンディングとなったため、アクセンチュアに転職した意義の大半が失われました。その後、製薬会社の管理会計システムの再構築、金融機関の財務会計システムの再構築プロジェクト等に従事していましたが、求人のご縁があり、現職の都市銀行の内部監査部門に転職しました。
現在は都市銀行の内部監査部門でJ-SOX/US-SOX対応を行っています。J-SOX/US-SOX対応はトーマツ時代に経験がありますが、銀行の内部統制を評価するのは初めての経験でしたので、2012年の入行年は勉強の日々でした。監査法人時代に「内部統制は数年経験することにより、ようやくその会社の全体像が理解できる。」と上司から言われていましたので、ようやく全体像が掴めつつあると感じています。
都市銀行のキャリアパスの特徴としては異動が多い点が挙げられるかと思います。今後は社内で審査、リサーチ、主計・財務等への複数の異動を経験するものと思いますので、公認会計士としての軸を起点として様々な業務にチャレンジしていきたいと考えています。
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あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
転職回数が多く、複数の会社でキャリアを積んできましたので、自在性はあると認識しています。
キャリアとしては、2019年1月時点で、会計は18年、内部統制関連業務は11年、会計を中心としたシステム導入は7年の経験があります。システム導入のうち、ERPパッケージについては、SAP、Oracle EBS、PeopleSoft、COMPANY等の様々なパッケージソフトを経験しましたので、パッケージソフトにおける要件定義~本番導入までの全体工程をベンダーレスで対応できる点は強みであると考えています。
ファーストキャリアで入社したNECソフトの上司からは、「会計、IT、英語のビジネススキル三種の神器で不確実性の時代を切り開いて欲しい」と発破を掛けられていましたので、そこから会計、IT、英語をバランスよく習得することを目標に日々研鑽を積んできました。会計については公認会計士の取得を通じてかなりレベルアップができたと考えていますので、今後は特に英語の学習に注力し、より一層、三種の神器の強みを伸ばせるよう努力していきたいと思います。

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仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
ここでは2003年に入社した野村総合研究所(NRI)でのニューヨークプロジェクトでの挫折を記載したいと思います。
当時、NRIでは会計パッケージに精通した人材にある程度の不足感がありましたので、ニューヨークでの金融機関に対する会計パッケージの導入プロジェクトへの参画を2004年に打診されました。27歳になっていましたが、それまで旅行も含めて海外への渡航経験がなく、TOEICも550点前後でしたので、失敗して元々という精神でチャレンジしました。成田国際空港を出発しニューヨークまでは13時間程度かかるのですが、行きの飛行機で今更ながら英語の勉強をしていたのを今でも覚えています。ニューヨークのプロジェクトではアフリカ人の隣の席になりましたので、英語ができない自分にとっては非常に緊張感のある現場であったと思います。当時、資格としては簿記2級しか保有しておらず、連結会計は全く分からない状況でしたので、ニューヨークでは薄氷を踏むような毎日でした。会計、英語、金融知識のいずれも不足していたため、それを補うべく自室に帰ってからも毎晩自己研鑽に励みましたが、プロジェクトへの貢献度が高くなかった点については今でも非常に悔いが残ります。そのニューヨークでのプロジェクト経験から、ITに加えて会計、英語、金融知識をバランスよく身に付けることの重要性を実感しました。それが公認会計士という資格を目指した契機であったと考えています。
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公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
公認会計士に合格したのが2015年、登録したのが2017年と最近の出来事ですので、公認会計士という仕事に関連して深く悩んだことはまだありません。将来的に、審査、リサーチ、主計・財務等の部署に異動になった際に、業務上で公認会計士としての正しい判断が求められると思います。それまでに知識・経験のレベルアップを図り、正当な判断を行えるようになれるかが今後の勝負所だと認識しています。
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人生の目的と公認会計士という資格
まずは会計士としての得意分野を確立したうえで、将来的にはIPO準備中企業における内部管理体制の構築、会計知識及び経験を活かした経営コンサルティングもしくは会計に関する次世代教育等に従事できればこの上ない幸せです。そのためには現時点から将来時点を見越した武器(金融、会計、IT、英語)を継続的にブラッシュアップしていかなければなりません。ERPパッケージ、J-SOX/US-SOX、IFRSなど、その時代のトレンドをキャッチアップするのに長けている性格であると自己分析していますので、継続的にトレンドを追い続け自己の強みを伸長させることが重要と考えています。公認会計士を取得した以上、一生勉強し続けていく必要があると考えています。

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これから成し遂げたい事、将来の夢
現職は都市銀行に在籍していますが、金融に関する知識を体系立てて整理できていない点が課題であると認識していますので、短期的には40代後半で金融に特化した国内MBAを取得し、知識の整理を図りたいです。国内MBAにおいて金融に特化した大学院としては一橋大学大学院(HUB)、早稲田大学大学院(WBS)等があり、業務終了後に両校の公開無料講座に行くことも度々あります。国内MBAの取得を通じた課題研究と、日々の業務での実践の両輪を上手く回し、金融業界で突出した人材になれればと考えています。
中長期的には金融、会計、IT、英語を軸として幅広く教養のある人材になることを目指しています。人生の充実には様々な教養を身につけることが欠かせませんので、その時代に求められる教養を身に付け、次世代人材の育成に携わることができれば嬉しい限りです。

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス:働きながら公認会計士を目指すならまずはこのアクションをしよう
私のキャリアは他の方の参考にはならないと思いますので、働きながら会計士にチャレンジしている社会人受験生に向けてのアドバイスを記載したいと思います。私はフルタイムで働きながら公認会計士試験に合格できましたが、業務量が年間を通じて落ち着いていましたので、業務終了後に受験予備校に直行し、夜間の講義・答練を受けることが可能でした。通信も選択肢にありましたが、自分の性格を考慮すると、予備校のカリキュラムに沿って勉強した方が良いと考え、通学を選びました。働きながらの勉強はとても大変でしたが、仕事が忙しい日や業務終了後に飲み会がある日も最低30分間だけは勉強することを目標に頑張りました。日々の勉強の積み重ねで合格できたのだと実感しています。
補習所の土曜日班では私と同じように働きながら合格された方が多くいらっしゃったのですが、二桁順位での合格者、短答5月・論文8月合格の短期合格者も少なくなかったです。彼らに勉強のコツを聞いたところ、社会人合格者に共通していたのは当たり前ですが集中して勉強する時間帯を作ることでした。社会人は時間的制約があり、多くても1日5時間程度しか勉強できないため、1日の始まりにその日に勉強することを分単位で計画立てて、帰宅後に計画に沿って集中して勉強することの大切さを実感しました。
あとは公認会計士試験合格後のアドバイスですが、社会人合格者に関しては補習所を3年から1年に短縮し、修了考査を論文式試験合格の翌年に受験されることを強くお勧めします。社会人合格者で監査法人に転職せずに現職に留まる場合は、監査法人在籍者とは違い12月の修了考査前の試験休暇がないため、論文式試験の勉強で培った知識が陳腐化する前に、修了考査を一気に突破することが重要と考えています。私も補習所を1年に短縮し、公認会計士試験合格の翌年に修了考査を受験しました。周りの監査法人在籍者と比べて少ない勉強時間で修了考査を突破できたと考えています。
試験制度が変わり、社会人でも公認会計士に合格できる時代になってきていることを年々実感しています。不確実性の時代を乗り切るために会計のスキルを身に付けることは非常に重要だと思いますので、一人でも多くの社会人の方が公認会計士試験にチャレンジすることを願い、本執筆を締めくくらせていただきます。


