某建設会社
非公開 非公開
匿名(男性)
“お客様のため”そして“家族の幸せのため”。人を大切にしながら経理業務に従事する企業内会計士
1970年代生まれ 非公開出身 非公開在住
非公開(大学卒)
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キャリアサマリー
大学卒業後、IT系企業に就職 営業部門でシステム機器やソフトウェアの販売推進、新規商品の企画などを担当 29歳の時に、会計士試験の受験に専念するため退職
会計士試験合格後、大手監査法人に就職 7年間、監査部門で法定監査に従事
建設会社に転職 3年間、本社管理部門で経理業務に従事 (現在に至る)
<会計士を目指したきっかけ>
大学卒業後に就職したIT系企業では、主にシステム機器やソフトウェアの販売推進を担当しましたが、その中でも、電子帳票システムの販売に携わったことが、会計の世界に転身する大きなきっかけとなりました。
当時、電子帳簿保存法の施行を背景に、国税関係帳簿書類の電子保存が認められました。大手企業を中心に、経理帳票の電子化による業務の効率化が進められており、一式5千万円を超えるような高額な電子帳票システムが採用されました。理系出身者のため、当時は、経理や会計、税務といった分野とは全く無縁でありましたが、企業活動を支える会計や税務、またそれらを取り決める法律等の影響の大きさから、会計そのものをもっと深く知りたいという思いに駆られ、会計士を目指すこととなりました。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
32歳の時に、公認会計士試験に合格し、大手監査法人に就職しました。当時はJ-SOX導入が一段落したタイミングでありましたが、大手監査法人を中心に積極的な採用が行われており、大規模監査を経験してみたい、将来の転職につぶしが効きそう、という程度の理由で大手の監査法人を選択しました。監査業務では、前職の経験を生かせるシステム会社や、海外連結子会社を100社近くもつような大手企業のほか、GC注記がつくような論点の多い会社など、大小、様々な業種の監査を経験することができました。しかし、四半期ごとに同じようなルーチンワークであること、監査事務所の品質から形式的な監査手続きが年々増加してきたこと、独立第三者の立場である監査人の立場では経営や業務の改善指導をしていくことには限界があるなど、前職が営業職であったことなどから余計に、もっと「クライアントのために役立ちたい」という自分の思いとのギャップを感じることが多々ありました。
監査法人ではマネージャーまで昇格したわけではなく、またIPO、デューデリジェンス、フィナンシャルアドバイス、TAXなどのいわゆる非監査業務の経験もありません。しかし、監査業務に7年間従事する中で、監査業務の一連の流れや、シニアスタッフとしての現場マネジメント業務など、一定程度の経験は十分に獲得できたという納得感もあり、次のステージとして、一般事業会社の経理への転職を決めました。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
今現在は、中小建設会社の本社管理部門で経理業務に従事しています。日常経理業務では、日々の伝票チェックから始まり、現金出納、銀行振込処理、固定資産登録、手形管理、資金繰り計画、余剰資金運用、月次試算表のチェックなど、あらゆる業務を幅広く担当しています。一方で決算業務においても、引当金や税金、税効果などの決算仕訳の立案、全社決算書のとりまとめ、招集通知、有価証券報告書の作成など、全社決算にかかわるほとんど全ての業務を担当しています。
中小企業ならではの人手不足の課題があり、仕方なく一人でやってしまっているという状況ですが、その反面、あらゆる会計処理を全て自分主体に検討して、会計処理が行えるという点で、やりがいを感じる場面でもあります。
現在の会社は、これまでは監査法人の言われるまま、その意味をよく消化できないまま会計処理や開示を行ってきた経緯が少なからずありましたが、会社として採用する会計処理がどのような会計基準や会社実務に裏付けされているのかを一つ一つ整理し、経営層から支店の経理担当者まで、社内関係者にフィードバックして全社の財務報告レベルを上げることに尽力しています。例えば、係争事件がらみであると、損失の引当計上の処理、税務上の損金処理のタイミング、税効果会計上の取扱い、開示上の計上区分の検討、後発事象としての取り扱いなど、決算の局面で広範囲に高度な検討が必要になりますが、監査法人、税理士、弁護士などの外部の専門家との協議をとりまとめて、最終的に社長や財務担当役員を巻き込んで、会社としての判断をしていける点は、企業内会計士が大きく役立てる場面だと思います。
その他、まだ実現できていないですが、株式併合等による株主の整理や、創業者一族の議決権の集約化など、資本政策を検討していく場面などで、会計士が役立てることが大いにあるのではないかと考えています。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
私自身の強みは、最初の仕事が営業職であったことから、“お客様のために”という視点に立って物事が考えられるということだと思っています。“お客様のために”という視点とは、お客様が誰で、どのような課題を抱えておられて、私たちはどのようなお役立ちができるのか、ビジネスではごく当たり前の思考プロセスだと思いますが、とても大切なことだと考えます。
監査法人時代では、当然に監査クライアントがお客様であり、その時の私の立場でいくと、経理責任者や経理担当者が私にとってのお客様でした。監査が投資家に対して財務情報を担保する役割であることはもちろん大前提ですが、その中でも、会社のビジネスを理解して、業務を理解して、さらには担当者のレベルに十分に配慮して、監査の手続きを実施することを心掛けていました。
後日談ですが、経理担当者の方に、「私たちの会社をよく理解してくれていて、質問の内容が鋭く、よく大切な気付きを与えてくれました」と感謝の言葉をいただいた時には、自分の仕事への取り組み方が間違っていなかったのだと実感できた瞬間でありました。
現在の仕事においても、仕事への取り組み姿勢は変わっておりません。経営層に対して、上司に対して、また支店の経理担当者に対して、会計や税務、日々の経理業務に関わることで、何か役立ちそうな情報があれば、考え方や業務の処理方法を整理し、時には改善策を見出し、かつ、分かり易い資料にまとめて情報提供することを行っています。“考え方を整理する”というのは、一般的には会計士が得意とするところだと思いますが、そのネタを探したり、分かり易く説明したりというのは、ビジネス的なセンスや感度が必要とされるところであって、これまでの自分のキャリアで蓄積された経験があってのことだと思っています。

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仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
何か特別なエピソードがあるわけではないですが、その時その時の仕事で、自分が努力してきたことに対して、その価値が周囲に認められたときに、大きな充実感が得られました。最初の営業の仕事では、新規のお客様に、何度も何度も提案を繰り返し、最終的に採用していただいた時、監査法人時代では、お客様に感謝の言葉をいただいた時に大きな充実感が得られました。
現在の仕事においては、支店の経理担当者向けに勉強会を開催したり、経営層に分析資料を提供したりする中で、そもそもこのような情報が提供される機会がなかったとか、とても分かり易いなどの言葉をいただいた時に、充実感が得られています。
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公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
監査法人から転職しようと考えた時に、どのようなチャンスがあるのかを考える中で、会計士としてどのような仕事ができるのかを悩みましたし、今現在、事業会社の経理をやっている中でも、日々、もっと会計士として存在価値を示していける業務領域はないのかと悩んでいます。
『公認会計士』という資格は、間違いなくネームバリューがありますが、監査法人以外でどのように活躍できるのか、多くの会計士が悩んでいることだと思いますし、またそれを受け入れる事業会社側も、会計士にどのような業務を任せようかと、悩ましく思っているようです。そのため、経営層から、周囲の関連部署をうまく巻き込んで、会社が抱える様々な課題に、会計士ならではの視点で助言しながら、企業内会計士の業務範囲の拡大に努める必要があると思っています。
私たち会計士は、会計や税務以外にも、管理会計、経営学、会社法、情報システムなどの分野にも、相当程度の幅広い知見を持っているわけですが、“会計士=経理のプロ”などと、正しく理解されていない事業会社も多いように見受けられます。そういう意味で、私自身も今現在、企業内会計士としてその業務領域の拡大に向けて、日々努力していることころです。
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人生の目的と公認会計士という資格
会計士を目指したときは、20代で独身でした。その後、監査法人に勤務して、会計士の妻と結婚し、家族も増えました。人生の目的はというと、やはり家族が幸せになることが一番で、自分のキャリア形成は二の次だと考えるようになりました。子育てにも参加し、妻のキャリアプランもセットで考えて行かなければならない難しさがありますが、将来、夫婦で何か一緒にビジネスができないかと考える面白さもあります。また、会計士を目指したときから“定年“という考え方は無くなりました。
生涯現役で、何かしらビジネスを通じて社会に関わっていきたいと思っています。そうすると、監査法人時代からの転職は、私にとっては自然な流れでありましたし、また、今40代前半ですから、これから先の30年近くのキャリアプランを考えると、何かを選択して失敗だということはないはずです。自分の価値観を信じて、会計士のバックボーンを持ちながら、いろんなことにチャレンジしていける人生があるのではないかと思いますし、またそうでなければ楽しい人生ではないでしょう。

08
これから成し遂げたい事、将来の夢
今の会社で実現できていないことがいくつかあって、若手の人材育成、決算体制の強化、会計システムの刷新、資本政策、事業承継など。会社自体にその問題意識を持ってもらうところからなので、長期的な検討が必要ですし、どこまで自分が企業内会計士として関与できるのか、そうした課題もあります。
一方で、将来のキャリアプランを考えると、いずれは独立したい夢もあります。会社内部の課題を解決していくことも、もちろんやりがいはありますが、自分自身で仕事をとってきて、自分自身で会計や税務のサービスを提供したい、自分自身で仕事をコントロールしたいという思いもあります。今の業務経験だけでは、すぐに独立というのは困難と思われ、どこかのタイミングで“税務”分野の業務経験を獲得する必要があろうかと模索中です。

09
キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
私自身のキャリアは、上記のとおりで決して華々しいものではなく、そして未だ道半ばであります。だからこそ、共感してもらえる点も多々あろうかと思いますし、またその逆で、“そうならないように”という意味で参考になる点もあるのではないかと思います。その上で、このような私が思うのは、まずは思った通りに行動してみてはどうだろうかと思います。なぜなら、一般事業会社への転職を経験してみて感じることは、やはり公認会計士の資格はそれなりに知名度があり、また監査法人での監査業務を経験した人であれば、メンバーと情報共有しながら業務を遂行する能力、全体を俯瞰して業務プロセスを立案して実行できる能力、物事の裏付けを取りながら論理的に意思決定していく能力などを持っていて、基本的に事務処理能力は相当高く、アドバンテージは必ずあります。
転職や独立に仮に1回くらい失敗しても、2回目も3回目もチャンスはいくらでもあり、監査法人への復帰のほか、一般事業会社の経理、税理士事務所への転職など、いくらでも仕事はあるはずで、食いっぱぐれは絶対にありません。であれば、何か会計士として、もっと言えば会計士としてではなくても何か興味のある分野があるのであれば、是非そこに一歩でも近づけるように、踏み出してみてはいかがかと思います。


