
PwC税理士法人
国際税務/ディールズタックスグループ(ITS/Deals Tax) パートナー
M.W.
クライアント第一主義、信頼で築く未来の価値
1977年1月21日生まれ(49歳) 東京都出身 神奈川県在住
早稲田大学商学部

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キャリアサマリー
大学は付属の高校からそのままエスカレーター式で商学部に進学した。周囲には会計士を目指している学生も多くいたが、私は勉強する気になれず、子どもの頃から大好きだった洋服を売るアルバイトをしながらファッションエディターになることを夢見ていた。しかし、どうやら私には文章を書く才能がなかったらしく、いざ就職活動をしてみても、大手出版社の選考に全く受からなかった。結局、アパレルショップを運営する会社から内定をもらい、メンズ衣料の企画、販売、PRの仕事に携わることになった。入社当初はファッション業界で何かインパクトを残したいと考えていたが、実際に入ってみると、自分以外にも洋服好きがたくさんいた。大好きな洋服に囲まれてお客様に笑顔になっていただける仕事をし、出社前には趣味のサーフィンを楽しむ時間もとれ、家族との時間も大切にできる毎日はそれなりに充実していたが、自分で服をデザインしたり、実際に作ったりする能力や情熱を持ち合わせる仲間を見て、自分の将来に対する不安が少しずつ募っていった。そんな5年目のある日、夫婦で病院を営んでいる小児科医を紹介するテレビ番組を見た。その医師たちは、近所の子どもたちの健康を維持し、健全な成長をサポートするという使命を全うするために、昼夜を問わず一生懸命働いていた。その姿を見て、「このままではいけない、もっと社会に貢献したい」という気持ちが強くなった。
そういった背景と、祖父が医師であったことから、医師を目指すことも考えたが、医学部を卒業するのに6年もかかる上、当時27歳で幼稚園生の息子がいる状況では現実的ではなかった。そこで、子どもの頃から得意だった算数や数学を活かし、数字のプロである会計士を目指すことにした。仕事を退職して受験勉強に専念し、会計士試験に合格。すぐに、PwC税理士法人に入所した。
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キャリア選択のきっかけ
会計士のファーストキャリアとして監査法人ではなく税理士法人を選んだ理由は二つある。まず一つ目は、目の前にいるお客様を喜ばせる仕事がしたいという思いだ。監査ではお客様が作った財務諸表をチェックし、場合によっては指導を行うことになる。その会社の財務諸表が適正だということを保証することによって、市場の参加者の判断を誤らせないという意味で、非常に大事な仕事だと理解していたものの、自分自身とお客様の関係に着目すると、自分が頑張って質問をすればするほど、また資料の依頼をすればするほどお客様の時間を取ってしまい、負担になることも考えられ、目の前のお客様から喜ばれない時もあるだろうなと感じた。一方、税務の仕事は、自分の知識と経験を活かしてお客様の税金を適正水準に抑えるようなアドバイスができれば、目の前のお客様に喜んでもらえるイメージが強く持てた。洋服屋で働いていた時、自分がコーディネートしたお客様が、かっこよくなった自身を見て喜んで帰っていく姿を見るのがすごく好きだった。そんな自分としては、やはり目の前のお客様を喜ばせる仕事がしたいと思った。
もう一つの理由は、当時既に30歳手前になっていたことから、会計士の中でも何か専門的な武器を持ちたいという気持ちがあったことだ。会計士として、ただ会計が分かるだけでは、競争が激しい中で生き残るのは難しいと考えた。税務であれば、すべての企業や個人に関わる問題であり、自分がアドバイスすることで多くの人に影響を与えられる、まさに広く社会に貢献できるのではないかと考えた。
PwC税理士法人を選んだのは、会社説明会で当時の代表が気さくに話してくださったことに縁を感じたからだ。偶然にも、代表も私と同じで海が好きで、ヨットやサーフィンの話をして盛り上がった。また、おしゃれにもこだわりがある方で、腕時計の話をしたことも覚えている。そんな話の流れで「Wくん、面白いね。うちに入所しなよ。」と言ってくださり、フラットに話ができる上司のいる会社で働きたいと思っていたため、その場で入所を決意し、その後正式に内定をいただいた。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
PwC税理士法人に入所して以来、日系の上場企業や大企業グループ向けの税務アドバイスを主に担当している。未経験からの入所で、かつ、当時の会計士試験には租税法が受験科目になかったため、ほとんど知識がない状態だった。入所当初、あるパートナーから「3年程度一生懸命頑張れば、俺と対等に話せるようになる。だから毎日分からないことがたくさん出てくるだろうけれども翌日に積み残さないように頑張れ!」と励まされ、毎日税法や会社法のような法律のこと、ビジネスのこと、わからないことを翌日に積み残さないように必死に勉強した。土日も先輩に付き合ってもらいながらがむしゃらに3年間を過ごした頃、(今考えれば範囲も深さも全然足りていないのだが、)当時の自分はパートナーとある程度議論ができるようになった気がしてしまい、勢いづいてさらに難易度が高く、規模も大きい仕事に自ら積極的にチャレンジしていった。特に印象に残っているのが、大きな企業の組織再編のアドバイスをメインで担当させてもらえたときのことで、大きな問題なく税務的な観点におけるアドバイスを終えたものの、社会により大きなインパクトを与えるためには税務の知識や経験だけでは不十分だと痛感し、さらに努力して世の中に貢献できる人材になりたいと情熱を燃やすようになった。
この教訓が転じて、入所4年目により幅広いコンサルティングを経験したくなり、一度再生系のコンサルファームに転職した。ところが、税金の世界が、税法という限られたルールの中でアイデアを出して、税金が効率的になるようにアドバイスをする仕事であるのに対し、経営コンサルタントの世界は、何もよりどころがない中でアドバイスをすることになる。ルールがある世界であれば、ある程度ルールに沿って準備してアドバイスすることができるが、ルールのない中では「自分がルール」のようなアドバイスになってしまい、本当にこれが正しいアドバイスなのか、お客様のためになるのかというところが見えず、私には少し居心地が悪く感じた。この経験から税務アドバイザーの楽しさを再認識し、転職から10か月 でPwC税理士法人に復職。復職後、引き続き日系の大企業や上場企業をクライアントに持ち、海外投資や国を跨いだ取引に関する税務アドバイス、いわゆる国際税務についてのアドバイスを提供していく中で、他国のPwCメンバーファームのタックスチームとの連携が必要で、英語を使用する場面が増えてきた。英語の重要性を感じていたとき、当時の代表から「今後は英語から逃げていたら生き残れないぞ」とアドバイスを受け、サーフィンの地としても魅力的なPwC米国のロサンゼルス事務所に出向することになった。2011年8月から2年半の間米国で勤務し、2014年2月に帰国して2020年6月にパートナーに昇進した。
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あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
特に日系のお客様との長期的な関係構築が強みである。日々の税務相談や申告書の作成支援、組織再編、M&A案件、さらには税務調査への対応まで幅広く経験してきた。仕事を通じて、さまざまな企業の方と会えたり、話ができたりする中で、一つ一つの仕事に一生懸命対応していると、感謝の言葉や、プライベートなお付き合いに誘ってもらうことも増えていった。そのようにしてご縁の輪が広がっていくことが、私にとってはとても興味深く、新しい人と出会える、新しい世界に触れられることが、好奇心の源だった。税法についても、お客様から難しい話をされたときに、それに答えられるように勉強するのが面白かったし、難しい分野でアドバイスできるようになると「お客様をさらに喜ばせられる存在になるぞ!」とさらに高みを目指すことができた。PwC税理士法人に入所して以来、「こんな楽しい循環はないな」と感じて過ごしてきた気がする。その裏では、温かく見守ってくれる上司や先輩、同僚たちの存在も大きく、見えないところでサポートをしてくれていたからこそ、長時間働いていても、嫌だとか仕事を辞めたいと思うこともなく、好奇心を持って続けられたのだと思う。こうした経験からお客様だけでなく社内のメンバーからも「とりあえずWさんに相談してみよう」と思われる存在になりたいと思っている。
クライアントとの関係を築く中で、初めてお客様に会ったときのコミュニケーションは特に大切にしている。例えば、趣味や私生活の話を共有すると、お客様もリラックスして話してくれることが多く、打ち解けやすい。自分自身のハードルを下げて、「この人になら何を言っても大丈夫」という話しやすい雰囲気を大切にし、共通の世界を探ることで関係を深めることが、初めてのお客様の仲良くなる秘訣かもしれない。

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仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
企業同士の統合など大規模な案件では、税務アドバイスを誤ると非常に大きな影響が生じるため、慎重な対応が求められる。こうした案件は企画から実行、税務申告書への反映、さらには税務調査対応まで、長いと3~5年にわたり緊張感が続くが、長期にわたって共に汗をかき、冷や冷やする経験をしながらも真摯に対応することで築かれるお客様との信頼関係は非常に強いものになる。入所4年目に大きな案件をパートナーとともに関与し、私が主体となってクライアントとのコミュニケーションを担当することがあった。その際、仕事の結果がうまくいって「ありがとう」と言われたことが印象に残っている。なぜなら、この案件の途中でクライアントに一度誤ったアドバイスをしてしまったことがあったからだ。その際にも結果が問題なければ大丈夫と言っていただき、築いてきた信頼関係の重要性を再認識した。このクライアントとの良好な関係は今でも続いており、困ったときには必ず声を掛けてもらえるほどだ。
感謝の言葉や信頼の証は、次回のより良いアドバイスをするための原動力となっている。入所当初の試行錯誤を経て、影響を与えられる範囲が広がった今、過去の経験と感謝の言葉が自分の仕事の意味を深く感じさせてくれている。
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公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
税務の仕事は法律をベースにしている。しかし、世の中には法律上で想定されていない事柄や、想定されていても明記されていないものも多く、グレーな世界が存在する。私も、税金のアドバイスをする中で、税法に完全にカバーされない、グレーな領域の判断に迷い、悩むことがある。その際には、税法やその立法趣旨、過去の判例を調べたり、他のパートナー含め、社内の仲間に相談することも多くあるが、最終的には、自分の中の軸として「この解釈が過度な節税にならないか」「他の納税者と比べて不公平にならないか」を慎重に考え、不公平が起きないと判断できれば、その方向性で進めている。
税務コンサルティングにおいてはクライアントにとって1番の節税が最良の答えと思われがちだが、私たちは公平性を重視している。というのも、私たちのお客様は日本を代表する大企業であり、私たちのアドバイスが公的な見解になりやすいからだ。節税だけが一人歩きすると、私たちだけでなく、お客様の信頼やレピュテーションにも影響を与える可能性があり、過度な節税をクライアントにさせてしまうことが、後に負担になる場合もある。場合によっては、こういったことがその後の税制改正のきっかけになることもあり、そのような結果を生まないように、常に慎重に対応している。
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人生の目的と公認会計士という資格
前述の通り、私が会計士を目指すきっかけとなったのは、ある医師を紹介したテレビ番組だった。世の中に貢献すること、その手段として、自分の知識、経験、アイデアで一人でも多くの人を幸せにすることが、人生を豊かにする方法だと思っている。
幼いころから数字が好きだったことをきっかけに、会計士の世界に飛び込んだが、仕事を通じて出会った同僚、先輩、上司、さらにはお客様一人一人との関係を通じて、ここまで成長させてもらったと感じている。自分の知識や経験、アイデアを活かして、お客様の税金を適正なものにし、お客様を幸せにすることができればと考えている。人が喜んでくれると自分も嬉しくなる。この気持ちはアパレルに勤務していたころから何も変わっていない。
20年弱の間、仕事上の人間関係を拡大しながら、今もワクワクドキドキしながら仕事ができているのは、本当にありがたいことだ。このこと自体が私の人生の目的であり、人生の楽しみの大きな部分だと思っている。

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これから成し遂げたい事、将来の夢
入所のきっかけとなった代表や当時のパートナーの仕事上の立ち振る舞いやプライベートでの姿は、当時の私には非常に格好よく、刺激的だった。彼らのようになりたいと思わせてくれたことが、この仕事を始めた当初のモチベーションの一つとなっていた。パートナーになって5年目を迎え、今度は私が生き生きと働いている姿を見て、若い人たちに「こうなりたい」と思ってもらうことが自分自身の役目だと感じている。仕事もプライベートも充実させ、一つの見本となるような「かっこいいおじさん」でいたいと思っている。若い人たちが生き生きと働ける環境を作り、彼らが活躍できる場を提供していくためにも、クライアントと良好な信頼関係を維持しつつ、新しいお客様ともどんどん関わりを広げていくことが大切だと感じている。
また、将来的には、これまで培ってきた知識と経験を大学などで若い人たちに伝える仕事にも積極的にチャレンジしていきたい。定年退職を迎える60歳までさらに経験を積むことで、税務の世界での知識や経験がより深まるだろう。自分がそうであったように若い年代の学生たちは税金の重要性や事業活動に与える影響についてあまり知らないと思うので、そういったことを早めに伝える活動ができれば、彼らの意識を変える手助けができると思うし、大学生との交流を通じて、自分自身も常に若いエネルギーを感じられるのではないかと思っている。

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キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
公認会計士試験は、「会計」と言いながら、会社の経営に関する知識を一通り網羅的に勉強できるため、非常に汎用性の高い資格である。受験生時代は、やはりそれなりに大変だと思うが、自分の知識が体系的につながっていく感覚が持てると楽しめるのではないかと思う。また時には将来の自分の姿を想像し、期待に胸を膨らませながら楽しんで勉強できると良いのではないか。会計士の資格を取った後に自分が何をしたいのかを考えることも大切だと思う。自分が何に楽しさややりがいを感じる人間なのか、どのように世の中に貢献したいのかそのために会計士という資格を取る必要があるのなら、勉強のやる気も高まるだろう。ただ闇雲に勉強するのではなく、目的を持って取り組むことで勢いがつくかもしれない。勉強している間は好奇心を持ち続け、深く追求することでより理解が深まるし、勉強した知識はその後のキャリアで必ず役立つ。
税務コンサルティングはクライアントに寄り添って、クライアントをサポートし続ける、いわばサービス業だと感じている。従って、どうしたらお客様を喜ばせられるかを考えながら仕事をする姿勢が重要だ。税法は政治や社会状況によって変わるため、常に勉強し続けることが求められる。お客様の期待に応えるためにも、知的好奇心を高く持って新しいことを吸収することを楽しみ続けられるような人が向いていると思う。
今まで会計や税務とかかわってこなかった人でも、私の記事を見て、公認会計士試験を受けようかなと思ってくれたら非常に嬉しく思う。


