桂真理子(かつらまりこ) | ページ 2 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

KMTパートナーズ株式会社 他

代表取締役

桂 真理子 かつら まりこ

上場経験を持つ会計士・監査役・経営者として女性会計士のキャリア支援に尽力
リーダータイプ
リーダータイプ

1977年2月20日生まれ(47歳)
岡山県出身 ・ 大阪府在住
大阪大学 経済学部 経済学科 卒業

4あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

自身の強みはなんといっても人脈が広い事です。監査法人や公認会計士協会だけでなく、日本監査役協会やベンチャー監査役協会の活動を通じて、多くの会計士や監査役の知り合いがいます。また、上場準備を通じてIPO業界にも多くの信頼できる知り合いがいます。お声がけいただいたイベントやゴルフに顔を出していると、「どこにでも現れるやん(笑)」と言われるくらい、多くの方と繋がっていることが私の強みであり、これが女性会計士のキャリア支援事業に結びついています。

また、自分自身では、「見えないものを言語化する力」に長けていると感じています。上場準備のために常勤監査役として複数社に関わったのですが、果たせなかったことが二度ありました。悔しくて悔しくて、これ以上の失敗はキャリアとしても許されない。三度目の正直、ということで、知恵を振り絞って、「上場できる可能性が高い会社」を言語化しました。社長の資質、事業やマーケットの成長の可能性、扱っている商材、売上や利益の現状の数字、社内の働く環境・カルチャーの5つの指標を数値化して、徹底的に分析。それぞれ10点満点で、7.2点以上だったら上場できるという「桂真理子メソッド」を編み出したのです。プロディライトは7.2点を上回っていて、無事に上場を果たすことができたので、他の会計士に上場準備案件を紹介する際にも、「桂真理子メソッド」を活用しています。

成長するのか、衰退するのか。企業の未来を直感で判断することにも長けていると感じています。何となく、ですが、嗅ぎ分けることができるのです。監査法人時代に、新規の監査クライアントの会社ホームページを見ただけで、「おどろおどろしい何か」を感じた会社がありました。「この会社は気持ちが悪い何かを感じるから、気をつけなアカン」と伝えていたら、やはり不正が起きました。社長や社員の話を聞いて、違和感を感じた会社で、その後の成長が止まってしまったケースも何度かありました。この直感は年齢と経験を重ねるごとに研ぎ澄まされてきているように感じています。このような「危険察知能力」は、社外監査役としての強みになっています。

監査法人勤務の頃

5仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

上場準備会社の常勤監査役を務めていた際に、「この仕事は“ママの会計士”に向いている!」と感じました。法定事項を守れば、勤務形態や業務内容を自身の裁量でフレキシブルに決められるので、子育てと無理なく両立することができました。クライアントにとっても、短い時間で成果を出してくれる女性の会計士は、ありがたいと思ってもらえたはずです。双方がWin-Winになるので、「これだ!」と思いました。出産や子育てが理由で、監査法人を退職した方のセカンドキャリアとしては、非常に適していると感じましたね。

また、「常勤監査役」の仕事は、自らの視野を広げることにもつながりました。特に「会社は人でできている」ということに気づいたのは大きかったですね。それまでは数字を見ることが仕事でしたが、事業を回して、その数字を作っているのはあくまで「人」。たとえば、役員の中でも自分の意見を曲げない人がいたり、稟議書1枚をとっても、そこには人の意思が反映されている。経営は、数字で全てが語れる合理的な世界ではない。だからこそ、面白いですし、会計士の仕事は飽きない。「人」が介在する意味のある役割だと思いますし、今後はより多くの人たちに、会計士の仕事の魅力を伝えていきたいですね。

6公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

トーマツで監査をしていたときのことです。新任のパートナーに、あるクライアントの「ロケーション別 科目別 在庫金額」を訊ねられたときに、答えることができませんでした。在庫残高は把握していたのですが、全国の工場や倉庫の設置場所ごとにある在庫が、製品なのか、仕掛品なのか、原材料なのか、物量と在庫金額のイメージが全く掴めていませんでした。パートナーからは、「そのような浅い理解で、経営のアドバイスなんかできるわけないやろ」と叱責され、目の前の数字しか見ていなかった自分に幻滅。全力で仕事に向き合ってきたつもりだったのですが、本質を捉えようとしなかった現実を目の当たりにして、心が折れかけましたね。

そこからは数字を単に見るだけではなく、その向こう側にある事業活動や社員の日々の努力に、想いを巡らせるようになりました。経営者との打ち合わせに臨むスタンスも変わっていったと思います。そして、出産・育児を挟み、自分のキャリアについて深く内省しました。上場準備会社の常勤監査役として実践の場に復帰してからは、「数字を見る」のではなく、「数字を見せる」立場になって、あのときのパートナーの叱責の意味を、心の底から理解ができるようになりました。

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