
株式会社ジオコード
管理部 専務取締役CFO
吉田 知史
よしだ ともふみ
アライアンス交渉推進と上場準備を担当。上場達成と事業拡大を加速させることが責務
1968年8月13日生まれ(58歳) 埼玉県出身 東京都在住
京都大学 工学部工業化学科 卒業 1999年合格

01
キャリアサマリー
(1)会計士資格取得以前 大学(工学部)では量子化学を専攻していたが、高校時代の陸上部の1年先輩の会計士合格体験記をたまたま本屋で立ち読みして影響を受ける。大学院(工学研究科分子工学専攻)を休学して会計士試験にトライするも相性の悪さから一時撤退を決意。大学院を中退し会計事務所系のコンサルティング会社に入り社会人経験ならぬ社会人体験をした後、今度は無職となり再度試験にトライ。数年間の浪人生活を経て31歳の時ようやく2次試験に合格。 (2)会計士2次試験合格後 就職難でなかったのも幸いして運よく大手監査法人(当時の朝日監査法人)に就職。はじめは中小規模の企業ばかりを担当するも2年目には小さな会社の主査を経験するなど順調にステップアップ。4年目には金融庁特別検査対応時の大手メガバンクの監査チームの一員となり、以後監査法人を退所するまでの約3年間、質・量ともにハイレベルな監査環境で日々刺激的な経験を積む。受験時代の相性の悪さとは裏腹に、会計士補時代に2年間通った実務補修所では卒業時に銀賞を獲得。また、監査法人ではリクルーターとして駆り出され、採用パンフレットの表紙を飾ったことも。 (3)財務アドバイザリーファームへの転職 監査法人に6年弱在籍した後、別のBig4系の財務アドバイザリーファーム(EY TAS)に転職し、約6年間にわたりデューデリジェンスを中心としたM&A関連業務に従事。大小様々な案件に多数携わり、誰もが知っている金融再編の大型案件等でプロジェクトマネージャーを務める。 (4)上場準備会社への転職 監査法人時代の知人の紹介で、これから上場準備を始めようとしていたIT関連の事業会社にCFOとして転職。売上4億円、最終利益5百万円、管理部でなく管理人1人という限りなくゼロからのスタートとなるが、入社から3年7ヶ月後になんとか東証マザーズ上場を果たす。そして翌年、上場から1年2ヶ月で奇跡的に東証一部への市場変更を果たす。 (5)再び上場準備会社を選択 身内の大病などがトリガーとなり前職CFO職(取締役兼経営管理部長)を退任し、半年間の充電期間を経て、2018年1月から新たな会社で専務取締役CFOとして、上場準備の他、アライアンス等による会社の成長の種まきに従事している。
02
監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ
(1)監査法人における経験
私の場合、公認会計士2次試験合格直後の1999年10月からあずさ監査法人(旧朝日監査法人)に6年弱(5年11ヶ月)在籍し、初めの2年間は主に中小規模の企業の監査を担当していました。事業部再編のタイミングで金融事業部への配属を希望し、その後縁あって大手メガバンクグループの監査チームに入り、銀行本体と子会社、孫会社の監査を同時並行で担当することになりました。金融庁特別検査対応の時期でもあったので、以後監査法人を退所するまでの約3年間、大所帯の監査チームの一員として、質・量ともにハイレベルな監査環境の中で、毎日いろいろと刺激的な経験を積むことができました。ここでの経験(仕事の内容、仕事の進め方、人間関係等)は、その後の自分の仕事のベースになったと思っています。
(2)その後のキャリア選択のきっかけ
2000年を迎え、東証にマザーズ市場が新設され、ITベンチャーブームが到来した頃、会計士2次試験受験生時代に同じ教室でともに勉強していた人たちがベンチャー企業でCFOとして活躍している話を耳にするようになりました。また、高校時代の陸上部の1年先輩(会計士になるきっかけとなった先輩とは別の方)が、誰もが知っている大手ECサイトを運営する企業の役員として華々しく活躍する姿を目の当たりにするようになり、将来会社経営に携わるようになりたいという元々会計士を目指した動機を改めて思い起こすようになっていました。しかし、すぐにその道に行くチャンスも見当たらなかったので、監査法人での仕事もひと通り経験したタイミングで丁度募集のあった別のBig4系の財務アドバイザリーファーム(EY TAS)に転職しました。ここには6年弱在籍し、日本を代表する大企業のM&A案件にプロジェクトマネージャーとして参加するなど貴重な経験もしましたが、リーマンショック後の案件が縮小した時期に監査法人時代の同期から話があってIT関連の事業会社(前職)でベンチャーCFOとして上場準備に携わることになりました。

03
今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス
(1)今現在の仕事の内容
2018年1月から現在の会社に入り、専務取締役CFOというポジションで、管理部(経理財務課、総務人事課、情報システム課)を管掌するとともに、対外的にはアライアンス等の計画、交渉、実行等を担当しています。今後は、上場に向けた準備作業の比重も徐々に増加していくことになると思います。
(2)仕事の特徴
対外的には、個人的な人的ネットワークをフル活用して、自社の持続的成長の骨格づくりのために事業シナジーがありそうな企業にコンタクトを取り、社内の関連部署も巻き込んでアライアンスに向けた交渉を推進することが大きな仕事の柱となります。社内的には、管理管掌役員ということで、日常のルーティン業務はしていませんが、管理部全体を見回して非定型業務を中心に滞っているところをフォローするなどしています。取締役会議事録作成や契約書作成などでは、状況に応じて一から書類を作ることもあります。
(3)キャリアパス
ベンチャーCFOとしては2社目になりますが、前職(現 東証一部上場企業)の場合は、経営管理部長も兼任していたこともあり、どちらかというとバックオフィス系の仕事が中心でした。現職(上場準備会社)ではその比重が減って、将来の企業成長の種まき的な仕事を推進する立場にあるので、自分が志向する仕事へとステップアップしている実感があります。
04
あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性
(1)独自の強み
“独自の強み”というものは、あくまで自分の”経験や特徴”を周囲との比較において、いかに優位に位置づけるかという相対的なものであると思います。私の場合、まず工学部出身で量子化学を専攻していたこともあり、理論と実践のバランスを考えながら物事を進めるといった思考のベースが染みついているところは、強みになっていると思います。また、高校時代に陸上部のキャプテン、大学時代にサークルの会長を経験したことは、リーダーシップや組織運営という点で強みになっていると思います。実務経験の中では、監査という断片的な切り口ではありますが、中小規模の企業から日本を代表する大企業までひと通り見ることができたこと、中でも金融庁特別検査対応時のメガバンクの監査に携わることができた貴重な経験は、大きな強みになっていると思います。同様に日本を代表する大企業のM&A案件を含む数多くのディールにプロジェクトマネージャーとして参加して得た経験、及び前職の事業会社においてベンチャーCFOという立場で、売上4憶円、最終利益5百万円規模の会社を入社から3年7ヶ月で東証マザーズへ上場させ、そしてその後1年2ヶ月で東証一部への市場変更までもっていったプロセスを体験できたことも今の自分の強みになっていると思います。
(2)今現在の仕事との関連
特に前職での経験は事業会社でのCFOという点で直接的に現在の仕事に役に立っていると思いますが、学生時代の学問や課外活動から得られたベースとなる経験、監査法人やアドバイザリーファームでの実務経験は、総体として今の自分の仕事に役立っていると思います。さらに付け加えると、これまで経験した数々の仕事や組織の中で構築してきた人的ネットワークは仕事をするうえで何にも増して得難い貴重な財産であり、また強みであると思っています。

05
仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間
“心が動く”ということを“達成感”に近い感覚でとらえた場合、通常、監査の仕事をしている中で“心が大きく動く”という感覚になることは、個人的にはあまりないように思います。しかしそんな中でも金融庁の特別検査対応時のメガバンクの監査業務は、質・量ともに非常にタフだったので、1年間の監査が終わりクライアント向けの監査結果報告会が終了した後には、緊張感の開放とともに達成感のようなものは感じていました。その後転じた財務アドバイザリーファームにおいては、比較的長期にわたり関与した大型M&A案件がクローズして新聞報道された時、それなりに意義のある仕事をしたかなと一瞬嬉しくなることはありました。また、前職の事業会社では、売上4億円、最終利益5百万円の事業規模で管理部に1名しかいないところから3年7ヶ月で東証マザーズ上場、さらに上場から1年2ヶ月で東証一部へ市場変更することができた時には、東京証券取引所のセレモニーで鐘を叩きながら一つの仕事をやりきった達成感を覚えることができました。しかし、これまでの仕事の中で、心が“大きく動く”までの体験はしていないと思っているので、そういった瞬間が訪れるようにこれからも仕事に邁進していきたいと思っています。
06
公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか
(1)監査法人、アドバイザリーファーム時代
資格取得で苦労したためか、公認会計士という仕事自体で深く悩んだことはないですが、監査法人に入りたての頃や、転職した時には、仕事に慣れるまで多少は大変だったかなと思います。今では働き方改革や情報管理の観点から難しいと思いますが、日本経済が眠っている時間に必死でキャッチアップ(=持ち帰って寝ずに働く)して乗り越えてきました。ただし、眠れるときにはしっかり睡眠をとって心身の回復に努めていました。私の場合は、メンターとなるような人もいなかったですし、人に仕事のことを相談することも、結果的にあまりなかったです。
(2)前職の上場準備会社時代
前職の上場準備会社は、社歴10年超のオーナー系の小規模会社だったのですが、社歴が長い分、部分最適の集合体的な要素が強く、上層部含め上場に向けたベクトル合わせが難しい場面も多々ありました。仕事に悩むというのとは少し違うかもしれませんが、ある種の困難にぶつかることは度々ありました。そんな時は、外部の専門家(証券会社や監査法人・弁護士の先生等)に協力してもらい、会社の主要メンバーが全員揃う場で事前に調整していたストーリーに沿って少し強めに指導して頂き物事をあるべき方向に運んでいました。また、抽象度を高め〇や△が動いているかの如く、目の前の事象を客観視するよう努めて感情のコントロールを図っていました。
07
人生の目的と公認会計士という資格
私の場合、2次試験合格までかなり苦労しましたが、試験合格から19年目を迎える今、最後までしがみついてこの資格を取ってよかったなと心から思えます。人生の目的というと何か哲学的に感じてしまうので、人生の目標、それでもまだちょっと壮大すぎるので、後述する『これから成し遂げたい事、将来の夢』との関連性でとらえると、自分のやりたいことを達成するために公認会計士という資格は優位なポジショニングを与えてくれるものであることは確かだと思います。ただし、資格の使い道による結果のボラティリティは、おそらく以前よりは大きくなっているのではないかとは思います。そんな中で、日本公認会計士協会や監査法人のOB会組織を中心とする会計士ネットワークは非常に大きなアドバンテイジを与えてくれているように思います。

08
これから成し遂げたい事、将来の夢
(1)これから成し遂げたい事
まずは、現在CFOとして職務遂行している会社をしっかり上場まで導くことです。ただし、今回再び上場準備の段階から再トライしているのは、上場前の会社に入って、事業シナジーのあるアライアンス等上場後の事業拡大の仕組みをしっかり作りたかったからです。それを踏まえて、晴れて上場できたならば、その後は複数軸での事業拡大を加速していきたいと思っています。そして端的に言うと、誰もが知っていて、多くの人が何らかの形で当社サービスを利用したことがあるというところまで会社を成長させるのがミドルタームでの『これから成し遂げたいこと』になると思います。
(2)将来の夢
しばらくは今の会社を成長させて、また持続的な成長を見守っていきたいと思っていますが、その後は、自分でも何かビジネスを立ち上げてみたいという思いはあります。実家は、戦後祖父が教師を辞め見習いから始めて興した鋳物工場で、父が2代目として経営していましたし、他にも会社経営をしている親戚が複数いる環境でもありました。また、最近は起業している同じ中学・高校出身の歳の離れた後輩たちとの交流もあって、非常に刺激を受けています。ただ、人生というスパンでいうと、最終的には、経済的自由と時間的自由を獲得して、好きなとき好きなものを食べて好きなことをする自由人になりたいです。世界、日本を問わずもっと旅をしてみたいですし、自宅の書斎に積んである自然科学系の本と歴史の本を中心にじっくり線を引きながら読めるようなゆっくり流れる時間というのも欲しいです。

09
キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス
(1)会計士へのアドバイス
これまで紆余曲折を経てベンチャーCFOとして企業を上場、そして東証一部へと市場変更させた今の私の立場で“CFOを目指すならば”ということでアドバイスをさせて頂くと…
まずは、今目の前にある仕事(監査等)をしっかりやりきるということではないかと思います。ベンチャーの管理部門といえば十中八九がカオス(混沌)な世界で、なんでもやらなければ先に進めない状況だと思います。なので、今食わず嫌いをせずに雑用も含めていろいろとやっておくことはきっと将来役に立つと思います。また、どんな仕事も最後まで逃げないできちんとこなすことで信用が生まれるものだと思います。そういったことの積み重ねが将来の人的ネットワークの礎になると思います。(世の中狭いですし!)もちろん、これはあくまでベーススキルであって、積極的に外に出て、いろんな人とコミュニケーションをとることも重要なことだと思います。それから、リーダーシップを発揮するには人間の器の部分が大切な要素であり、自分の器を大きくするには失敗も含め経験から学習することが大きいと思うので、とにかく積極的に行動することが重要ではないかと思います。
(2)会計士受験生へのアドバイス
最近の試験制度と私が2次試験に落ちまくっていた時とでは資格取得のための環境も違うと思いますが、自身の環境が許せば試験に合格するまでトライし続ける価値のある資格だと個人的には今でも思っています。確かに試験との個人的相性というのもありますし、他により良い選択肢があるかもしれないので一概には言えませんが、資格取得後の仕事の広がりや、またそれに伴って蓄積されるアクセス・フリーな人的ネットワークはかけがえのない財産だと思っています。ちなみに2次試験に関して、私の場合は試験との相性ばかりか専門学校のシステムとの相性も良くなかったので、最後は模試も一切受けずに、溜まっていた答練を体系化することに時間を費やすなどしてマイペースに勉強して、運よく何とか試験を突破できたという感じでした。


