会計士の履歴書
菅沼 匠

リンクパートナーズ法律事務所

法律 パートナー

菅沼 匠

すがぬま たくみ

道に石があった方がおもしろい。そしてそこで僕は何かを拾いたい。みんなが知らないすばらしいものを

1981年2月16日生まれ(45歳) 長野県出身 千葉県在住

成蹊大学法科大学院(社会人コース) 卒業 2002年合格

菅沼 匠

01

キャリアサマリー

1999

長野県県立飯田長姫高等学校商業科 卒業

2002

公認会計士二次試験合格(会計士補登録)

監査法人トーマツ トータルサービス部 入所

2003

日本大学商学部会計学科卒業(成績優等賞)

2004

株式会社ジャスダック証券取引所 上場審査部出向

2005

公認会計士登録

2006

クックパッド株式会社入社

2010

成蹊大学法科大学院卒業

2011

司法試験合格

2012

弁護士登録。企業法務系法律事務所入所

2015

リンクパートナーズ法律事務所 創業 パートナー就任

長野県出身。父は中卒の農家。父の影響もあり、「学校から与えられた勉強をすること」に疑問に感じ、また、進学にも興味を持たなかったことから、地元で就職したいと思い、商業高校に入学する。

商業高校に入学後、簿記に出会い、会計が分かる人は会社の行動が読み取れること、節税方法が分かること、多額の資金に関わる意思決定を支えられることを知り「会計は素晴らしい」と素直に感じる。そこで、税理士を目指し、高校三年の夏に急遽、大学への進学を決意し、日本大学商学部へ入学。

日本大学に入学後、大学1年で日商簿記1級を独学で合格、大学2年で税理士簿財を独学で合格、その後、公認会計士を目指し、大学4年にて公認会計士二次試験を合格。

公認会計士二次試験に合格後、監査法人トーマツのトータルサービス部に所属。上場企業の法定監査、上場準備企業の上場に向けた監査や内部統制の構築指導に携わる。2004年、ジャスダック証券取引所の上場審査部へ出向し、出向期間中に20社程度の上場審査や規程改定に携わる。

ジャスダック証券取引所への出向後、当時、正社員も10名程度しかいないクックパッド株式会社入社。同社へ入社後、マザーズ上場及び東証一部変更業務に従事し、IPOの事業会社側での経験を積む。

クックパッド株式会社へ入社した頃より、成蹊大学の法科大学院の社会人枠にて入学し、夜間に法科大学院と司法試験の勉強を始め、合格する。

司法試験合格後は、公認会計士登録と併せて弁護士登録を行い、企業法務中心の法律事務所に所属。その後、リンクパートナーズ法律事務所を開業し、企業法務を中心とした弁護士業務、上場準備企業を中心とした社外役員業務、スタートアップ企業への投資等を行っている。

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

監査法人はトーマツのトータルサービス部に所属。
トーマツのトータルサービスを選んだ理由は、当時、他の監査法人よりもスタッフ環境が「厳しい」と聞いていたこと、上場準備をしている中小企業が多いと聞いていたことにある。当時、公認会計士として早く一人前になることが重要と思っていた。多く稼働した分だけ多くの経験が積めると感じていたことから、厳しい環境を求めていたし、中小企業の監査に携わることは企業全体を見る経験を早めに積め、一人前になるための近道と考えた。

入所後、実際、他の補修所の同期と比較しても取得した休みは少なく、深夜作業も日常的であり、かつ上場準備中又は上場したばかりの企業の監査に従事することができ、思い描いていた通りの良い経験が積めた。なお、今の監査法人は労務管理の観点から残業があまりできない環境と聞くが、活躍できる人間を目指して公認会計士資格を取得した人にとっては、残業が制限されることは経験を積む機会が減ることを意味するため残念に思う。

監査法人に入所した際に感じたのは、公認会計士として監査の経験だけを積んでいたのでは、常に「公認会計士何年目か」という尺度で能力を評価されやすいということだった。そこで、外部への出向希望を早々に出していたところ、ジャスダック証券取引所の上場審査部への出向が決まる。

ジャスダック証券取引所に出向中、世の中を変えている新規企業が上場していく姿を日常的に目の当たりにし、上場支援という役割の重要性を感じる。また、上場する際のセレモニーで鐘を鳴らす人達の笑顔が忘れられないくらい良いものであったことから、自分の今後の道は、上場支援を中心とする公認会計士になることと決意し、出向期間満了後、当時、ベンチャー企業であったクックパッドへ入社するに至る。

菅沼 匠さん

03

今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

現在、リンクパートナーズ法律事務所を創業し、弁護士業務を中心に活動している。また、8社の社外役員に就任している。

法律事務所の専門分野は企業法務であり、企業法務は全般的に扱うが、公認会計士資格を持っていること、証券取引所に勤務していたこと、IPO経験もあることから、取引所規則等のいわゆるソフトローも意識したM&Aの対応、種類株を利用したファイナンス対応、金融機関等からの粉飾決算に関する訴訟対応といった分野は他の弁護士に比べ土地勘があるためか依頼を受けることが多い。また、上場支援したいという気持ちは今も強く持ち、取り組んでいるため、ベンチャー企業の顧問先も多く、その一環として、社外役員の話を受けることもある。

開業して3年しか経っていないが、日経新聞を見ていると、少なくとも週に2-3回は関与先の新規の取り組み等の記事を目にするようになり、自分が思い描いていた上場支援の役割という道の延長線上に今もいると実感している。

04

あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

強みは①「企業側目線で動ける」こと、②ダブルライセンスであること。

①については、過去、IPO準備会社の中で、企業側から業務をやってきた経験から得られたものである。企業側で複数の弁護士や公認会計士と接してきた中で、依頼をしやすい士業の良い点が把握できたこと、これにより理想とする士業を自分なり描けた点が大きい。企業側にいた時代において良いと感じた士業の行動は少しでも真似をし、企業の窓口担当者が社内に報告を行いやすく報告内容を工夫したり、交渉相手への交渉を行いやすいように契約書レビューを行うように意識し、業務の安心感や安定感、コミュニケーションの取りやすさを意識して提供していることが強みといえる。

②については、ダブルライセンスであることは、一定水準の会計知識や法律知識を持つことが客観的に証明できるため、知識の有無に関する説明が省略できるという意味で、独自の強みといえる。例えば、社外役員の声掛けを受けるにあたっても、弁護士として取締役会の運営や決議事項に関して理解し支援できるだけでなく、公認会計士として決算資料、予算資料、投資資料についても理解し支援できることが資格で証明されることから、企業側との間の期待値調整を行う手間が省ける。

菅沼 匠さん

05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

心が大きく動いた瞬間は、関与先が上場した瞬間、依頼者から感謝の言葉を頂ける結果が出せた瞬間の2つがいえる。
自分の中で士業とは結果を出すことは重要と考えている。中でも、自分の専門分野とする上場支援において、関与先が証券取引所に上場することは、社会的にも注目を浴びる結果を出せたものといえる。また、取引所の鐘を鳴らす人の笑顔が示すように、目の前の人の役にも立てたと実感できるものといえる。
さらに、弁護士業務において扱う訴訟は相手との戦いであり、最初はこちら側が有利と見通した案件であっても相手の動きによっては見通し通りにならないこともあり、常に安心はできない。最後の和解又は判決が依頼者の満足のいく結果となった瞬間は喜びと同時に安心を感じるものといえる。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

公認会計士の仕事として会計監査が重要な役割であるが、会計は好きであるものの、監査が好きになれなかったことに悩んだ。
私にとっては、会計は商業高校時代から馴染み深い好きな分野であり、会計があるから大学への進学も決め、今の自分があるといえる。他方、監査については結果というものが出しづらいこと、投資家という顔が見えない利害関係者のための業務が実感しづらかったことがいえる。

私としては、このような悩みを乗り越えるため、視野を広げ外部から見た監査法人を知る必要があると感じ、監査法人に勤める中で、出向希望を出した。その結果、ジャスダック証券取引所においてIPOに深く携わり興味を持ち、公認会計士として、会計等の知識は活かして上場支援の役割に携わる道を選択し、転職という道を選び、職業領域を変えることにより乗り越えた。

07

人生の目的と公認会計士という資格

人生の目的は「楽して儲けたい」と思ったが、これを記載するのも不適切と思い、題材を探したところ、中学の卒業寸言を見つけた。そこには、『道に石があった方がおもしろい。そしてそこで僕は何かを拾いたい。みんなが知らないすばらしいものを。』と、恥ずかしいが昔の自分がポエマーのように記載している。
明確な人生の目的は未だに決めていないが、この価値観は今も存続しており、やはり、IPOのように新たなものに対する支援は一つの人生の目的であり、その手段として公認会計士という資格を活かしていきたいと考えている。会計の知識は広く役立つものといえる。会計は単なる記録手段に留まらず、税金等の申告に用いられたり、利害関係の調整を果たしたり、意思決定において費用対効果の測定に用いたり、多様な分野に応用が利く知識といえる。法律事務所の運営においても会計知識は欠かせない。
今後も、公認会計士による資格が自分の人生において支えてくれるのは間違えないといえる。

菅沼 匠さん

08

これから成し遂げたい事、将来の夢

公認会計士や弁護士という資格は道具であると感じている。資格を取ったら公認会計士として、弁護士として活動しなければならないわけではない。上場支援という役割のために公認会計士と弁護士という資格が道具として活きていると考えている。

士業においてぶつかる壁の一つとして、ルールが無かったり、ルールに幾つも解釈される可能性が存在していたり、矛盾や不整合が存在している場合、その事案をどのように扱ってよいか不明な場面がある。そのような場面において、他の人が新しいルールを創設したり、判例、文献等により解釈が示され、回答に導かれるなどした瞬間、そのルール設計者や著者等は士業の新たな世界を開拓しているように感じ、尊敬する。

私もこれを踏まえ、昨今、経産省付けの投資契約ガイドラインを作成したり、金融庁の活動支援の一環としてミャンマー国の証券取引委員の研修講師を行うなど、新たな枠組み作りや新たな地域制度発展に向けた活動は始めたが、このような取り組みは増やしていきたいと考えている。また、せっかくであれば、このような取り組みの中で、自分でしか成し遂げられなかったと思える成果を残せることが理想である。

菅沼 匠さん

09

キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

まず、会計士受験生へ。私は公認会計士を目指していた当時、最も充実した時間を過ごしていた時期と感じている。公認会計士受験は、不安を抱えた辛い日々を過ごす人も多い。自分を振り返ると、ライバルが先に合格したり、ゴキブリが多いアパートに住み、1か月の食費を1万円に制限したりと辛い日々ではあった。
他方、一つの目標に向かい本気で取り組めるという経験は大事であり、社会人になってからは容易にできることではなく、自分で決めたことに夢中になって取り組める日々は充実していた。
公認会計士試験も弁護士試験も、余裕を見せながら合格する人もいるが、そのような合格者は一握りといえる。私の見てきた難関国家試験の合格祝賀会では、出席者をみると、いつも朝から晩まで自習室で見かけた人達が結果として合格しているというのが率直な感想ではある。辛い日々かもしれないが、辛いのは他の受験生も同じなので、気にせず勉強に励むことが重要と考える。

次に、キャリアを模索する会計士へ。私が振り返ると、転職の時や独立時に助けてくれる人の多くが昔からお世話になっているような人である。キャリアに悩んだ際は最終的な判断は自分で行うが、打ち手となる知人の意見を求めることはよくある。理想のキャリアにいきなり辿り着けるというケースはわずかであり、他の人も回り道しながら進むのが通常といえる。まずは自分の考えをしっかりとつくり、その上で、身近な人との相談を繰り返し、客観的に見える自分も育てながら理想のキャリアに近づければと思う。

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