会計士の履歴書
三上 光徳

三上&アソシエイツ株式会社

代表取締役

三上 光徳

みかみ みつのり

魅力ある働き方を選んだ独立士業の方を応援したい。独立士業のための集客コンサルティング事業を展開

1980年5月15日生まれ(46歳) 岩手県出身 東京都在住

東京工業大学 理学部物理学科 卒業

三上 光徳

01

キャリアサマリー

2004

東京工業大学理学部物理学科卒業

2005

監査法人トーマツ入所、国内監査部門へ配属

2010

金融部門へ異動

2011

マネジャー昇格

2013

監査法人トーマツ退所

2014

三上光徳公認会計士事務所開所 三上&アソシエイツ株式会社 代表取締役就任 設立当初は、業務システム開発、会計コンサルティングなどを行っていたが、現在は弁護士・税理士・会計士・司法書士・社労士などの士業の集客コンサルティング、WEBサイト制作をメインの事業として展開している

02

監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

会計士試験合格後は、監査法人トーマツに丸8年間勤めました。国内企業の会計監査を行う部門に5年間、金融事業を行う企業の会計監査を行う部門に3年間の計8年間です。合計8年間の内、最初の4年間はほとんどの時間を会計監査業務に携わり、後半の4年間は会計監査とコンサル業務の割合が半々くらいでした。

会計監査業務とコンサル業務を経験して良かったなと感じたのは、顧客の視点を明確に意識できるようになったことです。顧客目線でいうと、会計監査は法律で決まっているから頼まざるを得ない業務です。一方で、コンサル業務は、サービス提供側がニーズを喚起するように働きかけ、顧客がニーズを感じ、サービス提供者に対して価値を感じ、そこで初めて契約が成立します。会計監査だけをやっていたらこのように顧客目線を徹底的に意識する機会もなかっただろうし、価値を創造して渡すという、言ってしまえば当たり前のことを意識する機会もなかったかもしれません。そういう意味で、独立後に非常に役に立つ経験をすることができました。

自分のキャリアについては、監査法人入社後3年を経過したくらいから真剣に考えるようになりました。入社後3年間は、とにかく仕事についていくことでいっぱいいっぱいで、余計なことを考える余裕がなかったというのが正直なところです。ただ、3年もすると多少は考える余裕が出てきます。

会計監査という仕事はある種、立ち位置が非常に難しい商売だなと思っています。社会のインフラという面もありながら、クライアントからお金をもらってサービス提供する立場でもあります。クライアントを向いて仕事をすることは基本ですが、一定の独立性も保持する必要もあります。そのあたりの心の保ち方・バランスのとり方に迷いが生じはじめたのです。
また、監査法人という組織内での立ち回りも悩むようになります。組織なので、自分が正しいと思ったことをやれるとも限りませんし、何よりもそもそも責任をとるということ自体も若手の立場ではできません。
さらに、入社して6年が経過したころ、社内で大規模なリストラが行われました。ここではある意味、組織と従業員の関係性に関する事実を冷静に見ることになります。結局そこにあるのは雇用契約という名の契約関係のみで、力の強い立場が弱い立場を支配しているという構造です。組織で働くということに冷めてしまったという面も正直ありました。
監査法人に勤めた8年間では、非常に良い経験を多くさせてもらったと感謝しています。
結果的に、監査法人を退職し、独立という選択をしたわけですが、その選択の決め手となったのは、以下の点です。

①リスクがあっても構わないから、自分が思ったことを自分が思った通りにやりかったということ
②独立したほうがリスクが高いとも一概には思えなかったこと

それは、上述したリストラに遭遇したことも大きかったです。今の時代、組織に属する=リスクが低いとも一概には言えないなと。だったら、組織に縛られずに、やりたいと思ったことを思い切ってやろうと。そのほうが後悔のない人生になるだろうなと。

三上 光徳さん

03

今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

2013年12月末に8年間勤めた監査法人トーマツを退職し、2014年1月から独立しました。現在は、独立士業の集客コンサルティングをメインに事業展開を図っています。
独立後3年ほどは、自分が本当にやりたいこと、進むべき道を探っていた感じでした。独立直後は、会計とは全く関係のない新規ビジネスを立ち上げようと試行錯誤しました。税理士登録をして税務業務もしました。ベンチャー支援のようなこともやりました。会計士の知識をベースにした会計コンサルティングもやりました。

しかし、何かもやもやした感じというか、自分の中でうまくはまっていない感じがありました。思えばこの感覚は、監査法人に勤務していた時から引きずっていたものでした。
もやもやを抱えつつも、自分のビジネス拡大のための勉強、特にマーケティングを中心とした勉強及び実践を継続的に重ねていました。全然違う分野での学びであるため、そういう意味では面白かったのですが、それと同時に実践の難しさや、独立経営者としての考え方を整えていく必要性を強く感じていました。

しかし、結果としてこの時に苦労して身につけたマーケティングの知識と経験、自身の考え方や思考のクセを俯瞰してみることの重要性が、今の独立士業の集客コンサルティングという仕事の土台となりました。

04

あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

現在は、独立士業、具体的にいうと、税理士、会計士、弁護士、司法書士、社労士の集客コンサルティングが事業の中心です。
この現在の仕事は、以下に示す私の強みがそのベースとなっています。

私自身が士業として真剣に業務に取り組んでいた経験がある
士業とは、何かしらの専門分野に関する深い知識と経験があり、それをベースに顧客に対してサービス提供を行う専門家です。しかし、士業といっても単に登録だけしている状態の人もいれば、その資格を武器に真剣に仕事に取り組んでいる人もいます。
当然ながら、後者の士業のほうが出したい結果を出せる可能性は高くなるので、そのような士業を自分のお客様にしたいのですが、そのためには自分も真剣に専門家としての仕事を行っていた士業であればその心情も理解できますし、本当の意味でのその士業の強みを引き出すことができます。そういう意味では、私は監査法人に勤めていた8年間は真剣に仕事と向き合っていましたし、少し形は変わりましたが独立後も専門家としての業務も行っていましたので、大きな強みであると考えています。マーケティングの知識と実践経験
独立後に私が強く興味を抱いて、もっとも時間を割いてきたのが、マーケティングという分野です。また付随して、人間の思考のクセに関する観察と勉強もしていました。
独立後は、サラリーマン思考から経営者思考に変化させる必要があります。それは、思考のクセを変化させる必要があると言い換えることもできます。特に独立直後は、そこを意識できるかどうかが大きなポイントだと思います。
また、経営者となる以上、何らかの商品やサービスを顧客に届けることが必須の仕事となります。いくら専門性に自身があったとしても、これは顧客に届かなければ何の価値も生み出したことにはなりません。
この2つに関して、それを支えるフレームワークを他の士業に比較すると身につけられているのかなと思いますし、事実、そこに多くの時間とお金を投入してきました。客観的な観察力
中学生くらいから、理系科目が好きで、大学時代は理学部物理学科で学んでいました。そのため、客観的に物事をみるというのは比較的得意なのかなと思います。その能力が今の仕事にも大いに生きています。
というのも、士業に限りませんが、集客のためにはその人の強みを引き出すというのが非常に大切です。しかし、その強みというのは、自分自身では気づけないものです。特に士業には謙虚な方が多いのかもしれませんが、客観的にはすごい強みなのにそれをなかなか表現してくれない方が多くいます。
それを様々な手法を使って引っ張り出したり、客観的に観察して引き出すのが、私自身比較的得意かなと思いますし、それが非常に仕事に生きています。

三上 光徳さん

05

仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

大手監査法人に勤務していたときのことですが、入社4年目のときに大きな失敗をしたことがあります。簡単にいうと、私がインチャージ(現場のリーダー)をしていたクライアントと喧嘩をしてしまい、クライアントから私の上司へクレームが入ったのです。大きなクライアントだったこともあり、責任をとって退職をすべきなのかなと思うくらいの出来事でしたが、そのときに心が大きく動いたことが2つありました。

一つ目は、全体及び本質を見ることが出来ていなかった自分に気付いた時のショックです。喧嘩のきっかけとなった件は、その件のみを見れば問題ではあるのですが、大きな視点で見れば大した問題ではありませんでした。しかし、目の前のことに夢中になり過ぎて気づくことが出来ませんでした。上司と話しているうちに、そのことに気付いて呆然としてしまいました。

二つ目は、その件に対する上司の対応の大きさ(温かさ)です。明らかに私のミスなのですが、しっかりと私の話を聞いてくれて、その責任を私に負わせるようなことは一切ありませんでした。もちろん、指導はされましたが責任はすべて上司がとってくれました。クライアントへの謝罪などもしてくれたと思います。この時の上司の対応は、いまだに自分の理想像となっています。

06

公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

キャリア選択のきっかけの章でも軽く触れましたが、公認会計士の特に会計監査という仕事においては、立ち位置の取り方について非常に悩みました。自分の中の軸の置き方と言ってもいいかもしれません。シンプルにいうと、監査の品質面、社会のインフラとしての機能を追求するのか、クライアントのニーズを汲みクライアントの期待に応えることを追求するのか。
結論的には、私は後者のみに専念することを選択しました。その結果、大手監査法人に属する必要性もなくなったので独立しました。

理想的には、上述した両面についてバランスを保ちつつ融合させていければよいのだと思いますが、私はそこまで器用ではないのでひとつひとつやっていこうというのが出した結論です。そのため、正確にいうと乗り越えようとしている最中ということになります。
この点に関して今思うのは、自分の中の集中すべきテーマを決めて、そこに一定期間集中的に力を注ぐのは非常に大切なことだなと思います。何かを同時並行で進めるイメージではなく、1個1個順番に集中していったほうが結果として自分の力になるような気がします。
これは私の勝手な独り言になりますが、会計監査だけではなく、経営者として4年超の経験を積んだ今の私は、良い会計監査人になるのではないかと密かに思っています(笑)。

07

人生の目的と公認会計士という資格

これを書いている今現在、私は37歳です。20代の頃にはなかった感覚なのですが、こんな私でも何かの役に立ちたいと思うようになりました。そして、この年になると少なからず自分なりの武器も持っているなと感じます。その武器の源泉は、私にとってはやはり公認会計士という資格です。

昨今、AIの登場で公認会計士に限らず税理士も弁護士もそうですが、士業の仕事がなくなるというようなことが盛んに言われるようになりました。このような話は、ネガティブな方向で語られることが多いですが、私は逆にすごいチャンスだと思っています。確かに、従来通りの仕事を続けようと思ったらそれは難しいのでしょう。しかし、AI技術に限らず環境が変化するのはいつの時代だってそうです。この環境変化をポジティブに捉えると、士業が今まで行っていた仕事のうち、作業的な仕事、付加価値を生み出していないような仕事はAIに置き換わってしまうので、より高度な、顧客にとって付加価値の高い業務に集中することができるということだと思います。

そして、士業が皆、より付加価値の高い仕事に集中することができるようになれば、それは間違いなく日本経済にとってもプラスの方向に左右するでしょう。
私は、公認会計士としての経験と、マーケティングの実践経験を武器に、そこに少しでも貢献できればと思っています。

三上 光徳さん

08

これから成し遂げたい事、将来の夢

独立起業をすることの一番のメリットは、自分の将来、自分の未来を自由に描けることではないかと思います。例えば、自社の売上も自分の収入も、その目標値にキャップをかける人は誰一人としていません。いるとすれば、自分自身くらいでしょう。

私は、上の「人生の目的と公認会計士の仕事」で書いたような目的をもって活動しています。そのため、成し遂げたい事、将来の夢といえば、士業の付加価値向上のためのインフラのひとつを自分が担えるようになれればと思っています。言い方を変えると、士業のマインドセットの変化を生じさせるきっかけに、自分がなれたらいいなと思っています。
その結果、士業が生み出す付加価値の枠が広がり、士業の存在価値が高まり、士業が子供たちの憧れの職業のひとつになれたらサイコーかなと。

実は以前、20歳前後の若者に「士業」に関するインタビュー調査をしたことがあります。そのときに、その知名度の低さ、仕事に対する理解の低さに愕然としたことがあります。ドラマの影響などもあり弁護士に対するイメージはあるようでしたが、会計士をはじめとする他士業は、ほぼ知られていないも同然でした。この状況を変えることはひとつの使命かなと感じています。

三上 光徳さん

09

キャリアを模索する会計士、会計士受験生へのアドバイス

とにかく、ひとつ具体的なアクションを外部に対して起こしてみることが超重要だと思います。外部と言うのは、とにかく自分が感じる外側でいいと思います。公認会計士であれば、公認会計士以外の人と関わってみる。大手監査法人に勤務しているのであれば、監査法人以外の人と関わってみる。どこかに勤務している立場の人であれば、独立している人と関わってみるなど。

また、関わるといっても大げさなことではなく、ちょっと食事に行ってみる、交流会に行ってみる、セミナーに行ってみるといった程度でも十分です。そうすると、異なる常識に触れることができます。当たり前だと思っていることが当たり前ではないと知ることができます。その経験がすごく生きると思います。その結果、独立しようと思うかもしれませんし、転職しようと思うかもしれませんし、現在の職場の価値に気付くのかもしれません。どのような道を選ぶのも決して間違いではありません。ですが、外部に対して目線を向けて、少しでもいいからアクションをして何かを感じた上で、その判断をすることをお勧めします。

余計な理屈は抜きにフットワーク軽く動いてみてはいかがでしょうか。