森大輔(もりだいすけ) | ページ 2 | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

株式会社SMASH HD 他

代表取締役(SMASHグループ代表)

森 大輔 もり だいすけ

“人生のレギュラー”として挑戦を続ける
革命家タイプ
革命家タイプ

1983年9月13日生まれ(41歳)
愛知県出身 ・ 東京都在住

4あなた独自の強みと今現在の仕事との関係性

私の強みは、グローバルな経験を持った日本人であることです。私は日本生まれ日本育ちの日本人で、英語が得意なわけでもありません。でも、実はそれこそが私の強みなのだと感じています。海外に全く抵抗のない、帰国子女でバイリンガルの公認会計士の方もいると思いますが、私は幼少期から日本で過ごし、海外経験がほとんどない状態で海外に赴任しました。英語が全く分からずコミュニケーションに苦労したり、異文化に戸惑ったりした経験があるからこそ、「その気持ち、すごくよくわかるよ!!」と、「全くわからない状態から始めた人」の気持ちに寄り添えるのだと思っています。私自身がまさに「全然英語ができない」「異文化に不安がある」という立場だったので、そういう人たちの気持ちがよく理解できます。それが、グローバルな環境で働く上で大きな強みになっていると感じます。実は、アメリカに行く前、私はコミュニケーションがすごく苦手でした。アメリカでは特に男女間のコミュニケーションの違いに驚きました。パーティーや研修のようなイベントで、女性は立っているだけで人が次々と話しかけてくるのに、男性は自分から話しかけにいかないと誰も来てくれないんですね。下手な英語で話しかける勇気も出ず、最初はそれがすごく苦痛でした。でも、何も話さずにいるわけにもいかなくて、英語の勉強だと思って最初はとにかく見えるものに話を振るようにしていました。たとえば、「このスーツどこで買ったんですか?」とか、「この人は誰ですか?」とか、周りのものを見て思いつくままに話してみたんです。最初はぎこちない会話でしたが、それがだんだん慣れてきて、次第に誰とでも自然に会話ができるようになりました。向こうが少し話しにくそうでも、1時間くらいは会話を続けられるようになったんですよ。これも、努力して身につけたコミュニケーション力のおかげだと思っています。
また、バックパッカーとして世界を旅した経験で培った、柔軟な思考力も、私の大きな財産です。治安の悪い場所を一人で歩かなくてはならないこともありましたし、野犬がウロウロしているような場所でタクシーを途中下車させられるような危険な目に遭うこともありました。今振り返ると、そういった危機的な状況で何をどうすれば自分の身を守ることができるか、本能で瞬時に考える力が養われたように思います。バックパックを背負って旅をしていると、いろんな人と出会い、異なる価値観に触れることができます。そこで出会ったタイ人の一人が、EY(アーンスト・アンド・ヤング)を辞めて、パソコンだけで仕事をしながら世界中を旅していると聞いたときはすごく驚きました。彼は、どこに住んでいるわけでもなく、仕事はパソコンだけでできるというライフスタイルを送っていました。今でこそリモートワークは一般的になりましたが、15年前にその働き方を目の当たりにして、「自分もこんな自由な生き方ができるんだ」と感じ、人生や仕事に対する考え方が大きく変わる経験をしました。それまでは、仕事と言えば「会社に入って、定年まで働く」という道しか考えられなかったのですが、「人生を自分の力で切り開く」という考え方を学び、「どんな働き方も可能だ」というように視野が広がり、柔軟に考えるようになりました。
現在私が関わるプロジェクトは、異なる国や文化を持つ人々と協力しながら進めるものが多いのですが、バックパックで得た経験や、アメリカでのコミュニケーションの学びが本当に役立っています。異文化や価値観の違いを理解し、柔軟に対応する力が仕事にも活きていると感じています。そもそも私がグローバルな業務に携わるようになったのも、このような経験があったからこそです。自分の視野を広げて、さまざまな価値観に触れることで、今の仕事でも大きなモチベーションを持ち続けています。これからも、どんどん成長していきたいと感じています。

5仕事をしている中で、心が大きく動いた瞬間

どんな仕事にも一生懸命尽くすタイプなので、正直、仕事をしていると毎回心が動きっぱなしです。その中でも、特に心に残っているエピソードがあります。
アメリカに赴任した時のことですが、アメリカの会計事務所は、入所してからUSCPAの勉強を始める人が多いこともあり、会計やビジネスの基本を知らずに入所してくる人が多くいます。私の下で一緒に仕事をしていた新卒入所の職員もその例に漏れず、しかも全く仕事を覚えようとしませんでした。パソコンを前にしていても、ある時は「今日は病院に行かなくちゃいけないから」とか、またある時は「お母さんの体調が悪いから」とか、何かと理由をつけては指示を避け、仕事をしないのです。私自身赴任したばかりで、英語でのコミュニケーションにストレスを感じていたこともあり、ある時限界がきて、つい大声で怒鳴ってしまったのです。その部下は、厳しいアメリカでは最終的にクビになってしまいました。
時を経てロンドンに赴任した際、同僚から「イギリスでのビジネス文化では、感情を表に出さずに、怒らず、冷静に対応することが大切だ」と教えられ、それを実際に体験して学びました。確かに、人間として許せないことがあれば、時には怒ることも必要だと思います。一方、ビジネスの現場では、怒っても何も解決しないし、逆に関係がギクシャクしてしまうので、冷静に指導することが一番なのです。「立場」の違いを理解してコミュニケーションをとることも大切なポイントだと思います。私はアメリカ赴任当時シニアアソシエイトという中間管理職の立場でした。上司として部下を指導する立場にありながら、その部下が新卒であったことを忘れて、強い言葉で怒ってしまったのは大きな反省点です。
私が経験した出来事は小さなものかもしれませんが、その後の自分の仕事に対する考え方を大きく変えるきっかけとなりました。アメリカ時代の私は感情的に反応してしまったことがありましたが、イギリスで冷静かつ理論的に対応する大切さを学んだおかげで、感情をコントロールできるようになった気がします。アメリカで怒鳴ってしまった部下に対しても、「もっと違う方法があったんじゃないか」と思うようになりました。特に最近はアメリカでも怒らない文化が根付いてきているようですが、「怒って教育する」文化が根強くある日本においても、欧米の文化を理解し、考え方を変えていかなければならないと感じています。

6公認会計士という仕事に関連して深く悩んだこと、それをどのように乗り越えたか

公認会計士としてのキャリアの中で、最も深く悩んだ瞬間は、やはり独立を決意した時です。監査法人でシニアマネジャーというポジションにまで登り詰め、海外での経験も積んでいた私にとって、さらに上のパートナーまで登り詰める道を選ぶこともできたはずでした。でも、どうしても心の中で引っ掛かっていたのは、独立して自分の力で挑戦してみたいという気持ちでした。
私は、PwCを自分の居場所だと感じていましたし、何より社内の雰囲気が大好きでした。一方で、損益管理や組織全体の調整といったシニアマネジャーとしての仕事がどんどん増え、心の中で本当にやりたいと思っていたこととの乖離が生じてきました。目の前の業務に追われあっという間に時間が流れていき、いつしかその時間がもったいないと感じてしまうようになりました。その理由をたどると、根底にあったのは、自分がやりたいことを実現したいという、会計士を目指したときの純粋な気持ちでした。今まで自分が組織の中で築いてきたキャリアや、パートナーに昇進できるというチャンスを手放すことに対する不安もありましたが、もしパートナーになったら、その後は会社に残り続けることになるだろうし、何か新しい挑戦をするには遅すぎるかもしれない、そんな思いが頭をよぎりました。そうしてイギリスから帰国し、家業の状況が耳に入るようになり、半年ほど悩み続けていたある日、子どもの頃に父が言っていた「日本一の会計事務所を作りたい」という言葉をふと思い出しました。当時私はまだ幼稚園児かせいぜい小学1、2年生でしたし、父にとっては何気ない会話の中の一文だったかもしれませんが、今思うとその一言が私の人生に大きな影響を与えたのだと思います。どうせやるなら日本一の会計事務所を作りたいと私自身も思っていましたので、まさにこのことが私の背中を押すきっかけになり、ついに独立を決意しました。
独立してからの日々は、もちろん簡単なものではありませんでした。自分の事業を持ち、さらにグループマネジメントという二つの役割をこなす目まぐるしい毎日の中で、何度も「本当にこれで良かったのだろうか」と悩む瞬間がありました。それでも、今は「乗り越えられない壁は来ない」と信じて日々前進しています。独立してまだまだ試行錯誤の最中ですが、5年後には今の決断がどうだったのか、しっかりとわかる時が来ると思っています。それまでの間、何があってもぶれずに進んでいきたいと思います。

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