プライベート・エクイティ向けのクライアントサービスで急成長中のEYグローバルのメンバーファーム。その成長の要因と仕事のやりがいとは。
【第2回】
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 /
プライベート・エクイティ向けのクライアントサービスで急成長中のEYグローバルのメンバーファーム。その成長の要因と仕事のやりがいとは。
【第2回】
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 /
今回の特集は、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(以下、EYSC)です。主にM&A(買収や合併)における買収先・合併先の財務デュー・デリジェンス業務を提供しているトランザクション・デリジェンスチーム(以下、TDチーム)を取り上げます。現在、同分野の成長を支え、活躍されている2人の会計士の方に、業務の内容や会社の特徴、仕事のやりがいなどについて伺いました。
本特集は2回に分けて掲載いたします。第2回目はTDチームでご活躍中の公認会計士、Y.H.さんとE.I.さん(以下敬称略)に、実際の働き方ややりがい及び今後の展望などについてお話を伺いました。
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・Y.H.さん(Partner):EY新日本有限責任監査法人(以下、EY新日本)に入社後、投資/コンサルティング会社勤務を経て、EYSCのストラテジー・アンド・トランザクション部門(TDチーム)に入社。現在は、プライベート・エクイティリーダーとして、プライベート・エクイティファンドに対する財務デューデリジェンス業務をリード・統括する。
・E.I.さん(Senior Manager):大手監査法人等を経て、EYSCのストラテジー・アンド・トランザクション部門(TDチーム)に入社。現在は、プライベート・エクイティファンド及び幅広い事業会社をクライアントとして、財務デューデリジェンス業務等を提供している。
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お二方のキャリアについて教えてください。
(Y.H.)
私は、EY新日本でキャリアをスタートしました。会計監査を5年ほど経験したあとに、投資/コンサルティング会社に転職し、投資業務及び投資先へのコンサルティング業務を経験した後に、EYトランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社(現 EYSC)に入社しました。それからずっと財務デューデリジェンス部門である今のTDチームに所属しております。
その中で、10年ほど前に大手日系金融機関のロンドンオフィスに2年間出向し、日系企業による欧州におけるM&Aにおけるフィナンシャル・アドバイザリー業務に従事しました。帰国後は再びTDチームに戻り、財務デューデリジェンス業務に従事しています。直近3年程度は、プライベート・エクイティ向けのサービスをメインで担当し、今に至っております。
(E.I.)
私は大手監査法人等を経て、EYSCのストラテジー・アンド・トランザクション部門(TDチーム)に入社しました。現在は、プライベート・エクイティファンド及び幅広い事業会社をクライアントとして、財務デューデリジェンス業務等を提供しています。
EYSCに入社したのは子どもの誕生が大きなきっかけでした。長期的な視点で自身のキャリアを考えた際に、それまで以上に業務の専門性や成長できる環境が必要と考えたことから、EYSCへの入社を決断しました。
財務デューデリジェンスの分野で活躍するために、プロフェッショナルとしての条件を教えてください。
(Y.H.)
最も重要なのは、会計やコーポレートファイナンスに関する専門的知識やM&Aに関する豊富な経験です。また、クライアントにバリューを提供したいという強い想いを持っていることだと思います。それらに加えて私はエンゲージメントパートナーとしてチームをリード・統括する必要がありますので、パートナーに昇格してからは特にリーダーシップの発揮が必須となっており、チーム力をいかに最大化するかという点を常に意識しています。
前回の記事で、EYSCのTDチームには多様なバックグラウンドを持った人が活躍されていると伺いました。財務デューデリジェンス業務を未経験の人材が挑戦するにあたって求められることはありますか。
(E.I)
私もEYSCに入社する前は財務デューデリジェンス未経験でした。財務デューデリジェンス業務の経験はなくても、それまでの監査業務等の経験を財務デューデリジェンス業務に生かせる場面は多いと思います。
(Y.H.)
先ほど申し上げた通り、監査法人出身の方または事業会社において経理業務を担当されていた方が財務デューデリジェンス業務で通用しないということは全くありません。ただ、同じ会計・財務を扱ってはいるものの、それをどう使うかが大きく異なります。
例えば、監査は財務諸表が会計基準に従って適切に作成されているかどうかをチェックする業務ですが、財務デューデリジェンスは調査対象会社から開示される様々な財務・会計データ等を用いて、調査対象会社の収益力や資産性、資金繰りの状況等の実態を分析していく業務です。監査法人出身の方や事業会社の経理出身の方は、どうしても最初は監査業務や経理業務とのギャップに戸惑ってしまうものと思いますが、私もそうであったように、多くの案件を経験する中で必然的に切り替えができるようになってくると思います。ただ、財務デューデリジェンス業務はまさに自分の分析結果をクライアントに報告し、クライアントが検討を行う上で有益な情報を提供しないと意味がないので、財務・会計、ひいてはコーポレートファイナンスに関する絶対的な知識と、数多くの案件に関与するという「場数(経験の豊富さ)」がクライアントから信頼されるプロフェッショナルとして必須の要件になると思います。
弊社では多様なバックグラウンドを持つプロフェッショナルが多数所属しているので、そのあたりのキャッチアップもスムーズにできる体制が整っています。
この業界に興味があれば、年齢や経験に関係なく、挑戦して頂きたいと考えております。ただ、会計に関する基礎的なスキルセットは必須ですので、監査法人にせよ事業会社にせよ、3年程度は少なくとも経験を積まれてから入られたほうが、その後の活躍のスピードが速いとは思います。
TDチームでの働き方について教えてください。
(Y.H.)
案件ベースでのアサインになるので、チーム全体としても各個人としても繁閑の波があるというのが正直なところです。例えば、監査とは違い、一年のうちで繁忙期は決まっていませんし、案件によっても忙しさは変わります。比較的長期間で取り組める案件もあれば、短期集中で仕上げる必要のある案件もあります。
ただ、私が気を付けていることは、色々な案件に様々な人がバランスよく入ってもらえるようにしています。各自のワークライフバランスや特定の人に負担が集中しないように気を付けており、また、リモートワークも積極的に取り入れておりますので、働きやすさも以前と比較すると随分改善していると思います。
(E.I.)
プロジェクト期間中は比較的忙しくなりがちですが、その中でもオンとオフはありますので、メリハリを持って、オンとオフを意識的に使い分けていくことが大切だと思います。
TDチームでの業務のやりがいについて教えてください。
(H.Y.)
非常にタフな案件も多いですが、クライアントの期待に応え、クライアントの期待を超えるバリューを提供することにより、クライアントと私たちの間には非常に強い信頼関係が構築されます。強い信頼で結ばれたという実感が持てた時は、辛い期間があった分、嬉しさもひとしおです。
また、私はこのようなクライアントとの強い信頼関係の構築という経験をスタッフにも共有してもらいたいと思っています。例えば、クライアントミーティングにはできるだけスタッフ全員に参加してもらう、スタッフにも自分の担当箇所に関しては積極的に意見発信をしてもらう等、できるだけスタッフを巻き込んでチーム一体としてプロジェクトを進められるように意識しています。また、コロナ禍前は、案件の打ち上げを必ず実施したり、クライアントとの慰労会が開催される場合にはなるべく多くのスタッフに参加してもらうようにしていました。それによって、自分もチームの一員なんだということを感じてもらえる環境を作ることもパートナーとしての自分の役目だと思っています。自分の経験・自分が築いたクライアントとの信頼関係を、積極的に次の世代にも伝えていきたいと考えています。
TDチームの成長の要因や今後の展望を教えてください。
(E.I.)
TDチームが成長している要因は、人材が定着し、チームとしての組織力が上がっているからだと思います。ここ数年は以前に比べて離職率が下がっています。マネジメント層も働きやすい会社にしていこうと意識的に職場環境づくりに取り組んでくれています。
人材が定着すれば、組織に知見や経験が蓄積されていきます。それらを集約してクライアントに最善のサービスを提供できていることが、TDチームの成長の原動力だと思います。
これからも各自にとって働きやすい環境やパフォーマンスを発揮しやすい環境を整えつつ、各自が自らのレベルアップに意識的に取り組むことにより、TDチームの更なる成長が可能になるものと考えています。
(Y.H.)
手前味噌になりますが、このチームには良い人が多いと感じています。人間関係が原因で退職するというケースはほとんどないのではないでしょうか。多様なバックグラウンドを持ったプロフェッショナルが多いということを申し上げましたが、TDチームにはどんな人でも支障なくやっていけるカルチャーや懐の深さがあると思います。
ここ数年でTDチームは大きな成長を遂げていることは申し上げたとおりです。この勢いを維持し、「財務デューデリジェンスといえばEYSC」と日本のマーケットの中で言われるようなサービスを提供できるチームを築き上げていきたい、そして今の我々の知識や経験、クライアントとの信頼関係を次の世代に承継していきたいというのが私の目標です。
(了)
本特集の第1回はこちらから
インタビュアー:桑本慎一郎