【インタビュー】若手会計士が語る、“伴走”でしか得られない本物の成長 【第2回】 | 会計士の履歴書
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若手会計士が語る、“伴走”でしか得られない本物の成長 【第2回】

株式会社エスネットワークス /

若手会計士が語る、“伴走”でしか得られない本物の成長 【第2回】

株式会社エスネットワークス

今や大学生の就職先人気ランキングトップにして百花繚乱状態のコンサル業界。各社が個性を競う中で、クライアント企業の現場に深く入り込み、常駐支援で結果にコミットするエスネットワークスは異色の存在と言っていい。
独立も出戻りも歓迎する同社から巣立った二人の公認会計士が語るエスネットワークスとは――。

本特集は2回に分けて掲載いたします。第2回目はエスネットワークスを卒業後、独立開業をしている伊藤さんとベンチャー企業CFOとして転職をされた関根さんのお二人から、卒業後だからこそ見えてきたエスネットワークスの特徴についてお話を伺いました。

株式会社エスネットワークス

沿革
設立:1999年10月7日
所在地:東京都千代田区丸の内2丁目7-2 JPタワー23階
⇒公式サイトはこちら

キャリアサマリー
伊藤拓也(いとう たくや)
2011年11月 公認会計士試験合格
2012年2月 新日本有限責任監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)入所
2019年9月  株式会社エスネットワークス入社
2022年7月 浜松町みなと会計事務所開設

関根輝彦(せきね てるよし)
2018年11月 公認会計士試験合格
2020年4月 株式会社エスネットワークス入社
2025年1月 株式会社ユアルート入社 取締役就任

1離れてみて再認識したエスネットワークスの強み

エスネットワークスでの在籍期間は伊藤さんが3年、関根さんは4年8か月とけっして長くはないと思います。退職のきっかけは何だったのでしょうか。

(伊藤)
 自分は最初から3年で独立すると決めていた。監査法人に入ったときから、30歳を一つの節目と位置付け、30歳でエスネットワークスに転職した。最終目標は独立だったため、エスネットワークス入社時に3年と決めた。「いつかは独立」では結局その 「いつか」は来ない。
 ちょうど入社から3年になろうという時期に、それ以前から手掛けていた長期案件のプロジェクトマネージャーを務めることになった。そのあたりから、なかなか意思の疎通が図れないでいた常駐先の経理担当者が、私の言うことに理解を示してくれるようになった。何とかプロジェクトマネージャーとして案件を回し、無事任務を終えることができた。
 これで自分もコンサルタントとして一人前になったとまでは思えなかったが、人のマインドを変えられたことでコンサルとして必要な一つのスキルが身についたように感じ、独立してやっていけるかもしれないという自信にはなった。

(関根)
 エスネットワークスを卒業した理由は、シンプルに心が動くオファーがあったから。オファーがなければ今も辞めていないと思う。ただ、入社当時に比べれば視座が上がった実感はあった。
 見えているものをスケジュールに落とし込むだけでなく、見えていないものも想像し、その先の展開、そして課題解決のための全体像がイメージできるようにはなっていた。それがあったから、成果を上げられるかもしれないと思えた。
 あともう1点付け加えると、エスネットワークスは独立も出戻りもウェルカムなので、失敗したら戻ればいいと考えることで、一歩踏み出す勇気が出た。

心が動いたオファーとは、どんなものだったのでしょうか。

(関根)
 現在在籍しているユアルートという会社の社長から、共通の知人を通じて声がかかった。IPOするのでその準備を、と。その少し前、エスネットワークスでIPOを経験させていただいたこともあり、その経験がまるまる活きると思った。実際に社長に話を聞きに行ってみたところ、まずはIPOできる事業体質にしたいという話だった。社長自身は新規事業の開拓をやりたいので、私には既存事業をグロースさせてほしいと。

エスネットワークスを離れてみて思うことはありますか。

(伊藤)
 エスネットワークスのコンサルには、一番難しい「人を動かす」ことができる人が多かったと思う。いくら常駐して伴走するとはいっても、プランニングを実行に移していくのはクライアント企業のひとたちだ。この人たちに心の底から問題意識を共有してもらえて初めて、「人を動かす」ことに成功する。
 そもそもヒアリングの時点で何をクライアントが求めているのか、クライアント自身が発言していることだけを聞いていたら把握できない、ということもエスネットワークスで学んだ。
 ミーティングの場では、立場上、真意ではないことを発言するケースは普通にある。言葉に出さない問題意識を引き出さないと、プランニングは意味をなさなくなる。
 もう1点は、「伴走」の意味だ。私はエスネットワークス在職中、文字通り真横を伴走する役割を担っていたが、独立して自分1人の事務所でコンサルを請け負ってみて、位置取りすべき場所はケースバイケースで、真横が最適な場合もあれば、前を走って引っ張る、或いは後ろを走って背中を押すことが最適な場合もあるということに気付いた。エスネットワークス時代の自分は真横だったが、他のメンバーが前だったり後ろだったりの役割を担っていたんだなということに気付いた。

(関根)
 できる領域を定めない、なんでもやります、やれます、と言い切れる実力を、エスネットワークスは身に付けさせてくれたと思う。自分の領域はここ、と決めてしまったらそれ以上の成長はない。やったことがない領域、知らない業界でもいきなりプランニングを命じられているうちに、どんな業界のどんな課題でも、整理して課題を見極めてプランニングしていく訓練を積み重ねているうちに身に付いたと思う。
 現在のユアルートでの私の役割は社長をラクにすることと、会社を従業員といっしょに成長させること。入社して3か月だが、社長には羽が生えたようだ、思う存分新規事業に集中できると言ってもらえた。
 とりあえず社長のオーダーには応えることができたので、次の目標は組織的な成長を持続するための体制作り。ベンチャー企業はベンチャー企業しか経験していない人がほとんどで、大きい会社にいれば自然にわかる、「戦略が組織とつながるためには、組織がどういう姿をしているべきか」そして「その姿の中で、だれがどういう役割を担うとうまくいくか」がわからない。ここからはそこに手を付けたいと思う。

2転職するなら明確な目的意識を持て

ワークライフバランスに対する考え方はいかがですか。

(伊藤)
 私は独身なので自分の時間は全て自分のことに使える。独立したばかりの頃は、来た仕事を全部受けていた。結果、土日が平日の遅れを取り戻す日になってしまった。しかし、これをやると自己研鑽の時間が確保できなくなる。
 自己研鑽の時間をとれていたら、目の前のクライアントにもう少し違う提案ができたのではないかという思いは日に日に強まっている。全部自分で抱え込むのではなく、一部は外注に頼ることも考え、自己研鑽の時間を確保しようと思う。

(関根)
 最近、子供が生まれてライフステージが変化したと感じている。土日はほぼ一日子供の世話で終わる。会社が物流を行っており、土日も稼働しているから全く仕事はノータッチとはいかないが、うまく折り合いはついている。その分、平日はとにかく必死の思いで業務効率を上げている。

最後に後輩の公認会計士たちにエールをお願いできますか。

(伊藤)
 試験に合格し、公認会計士資格取得のための実務経験を積む目的で監査法人に就職するというのがスタンダードなコースだと思うし、資格が取れたところで転職を考える人も多いだろう。ただ、自分はどうしたいのか、何に向かっていこうとするのか、目的意識をしっかり持つことが大切だと思う。
 そして何よりも、「いつかは独立」と言っている限り、そのいつかは永遠に来ない。自分で独立の時期を決めて、そこに向けて準備することをお薦めする。

(関根)
 私は目的が経営者だったから、新卒で監査法人にも入らなかったし、コンサルに就職したことで、通常よりも若い年齢で経営に到達できたと思う。今、自分はいわゆる会計領域だけではなく、実際の物流の事業領域についても検討をすることがあり、どちらも異なる領域における経営者の視点を必要とする役職だと思う。
 誤解を恐れずに言うならば、経営者を目指すのであれば複数の領域の視点から物事をとらえる必要があるので、領域を絞って経営者を目指すのではなく、視野を広げるためにも、一度コンサルの業務に就くことをお薦めしたい。

(了)
本特集の第1回はこちらから

インタビュアー:桑本 慎一郎