ベトナムにおける日系会計事務所のリーディングカンパニー。あらゆる経験、失敗、学びを継承することで100年継続する企業へ【第3回】 | 会計士の履歴書
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ベトナムにおける日系会計事務所のリーディングカンパニー。あらゆる経験、失敗、学びを継承することで100年継続する企業へ
【第3回】

I-GLOCALグループ(IGLグループ)

ベトナムにおける日系会計事務所のリーディングカンパニー。あらゆる経験、失敗、学びを継承することで100年継続する企業へ
【第3回】

I-GLOCALグループ(IGLグループ)

今回特集でご紹介するのは、ベトナムで圧倒的な実績を誇る日系会計事務所、I-GLOCALグループ(IGLグループ)です。会計士である蕪木優典(かぶらぎゆうすけ)さんが2003年に創業してから、ベトナムにおける日系会計事務所のパイオニアとして注目を浴びています。現在、ベトナムでリーディングカンパニーとして事業展開するIGLグループのこれまでの歩み、現在の強みや今後の展望について紹介します。

本特集は、3回に分けて掲載いたします。第3回は、IGLグループの現在と強み、今後の展望です。
※蕪木さんの該当履歴書はこちらを参照。
 国際会計事務所特集はこちらを参照。


キャリアサマリー

これまで述べてきたように、IGLグループはベトナムでリーディングカンパニーとして高い支持を得ています。様々な困難を乗り越え、活躍し続ける強みはどこにあるのでしょうか。日系の会計事務所がベトナムでこれだけの強さをほこる所以は何か、IGLグループ共同代表である實原享之さん、I-GLOCAL CO.,LTD.パートナーのTran Nguyen Trungさん、東京事務所マネージャーの實原和希さん(以下敬称略)にお伺いしてみました。

1日本とベトナムの相乗効果

率直にお伺いしますが、ベトナムでこれだけのシェアを誇るまでに成長できた理由はどこにあるとお考えでしょうか。

(實原享之)
まず何より、IGLグループが素晴らしい顧客に恵まれたことです。我々が成長することができたのは何よりも顧客あってのことです。
そして、ベトナムという素晴らしい国でビジネスをしているからこそだと思います。ベトナムはここ30年間、毎年GDPで6~7%の成長を安定して続けてきました。ベトナムそのものの成長を上手く取り込むことによってIGLグループも顧客と共に成長してきました。恵まれた環境でビジネスができていることに心から感謝しています。

(Tran Nguyen Trung)
ベトナムと日本の関係は政治的にも感情的にも良好で、人口構成も日本と真逆で労働人口も豊富なので、伸びしろが十分にあり、相性が良いです。日本にないものがベトナムにあり、ベトナムに足りない技術力や経験、ノウハウを日本が補うことで相乗効果が生まれています。
ただし、両国は文化や慣習も異なり、スピーディーに変化するベトナムの事業環境において日系企業がビジネスを展開していくには困難を伴うことも多いです。
IGLグループは「顧客と共に成長する」というコンセプトのもと、それらの困難に対し、専門家としての一時点のアドバイスに留まらず、顧客に寄り添い、真摯に対応し続けてきました。

Trung氏

(實原和希)
優秀な人財が豊富で、平均年齢も若く活発なマーケットがあるベトナムだったからこそ、顧客と共にここまで成長できたのは間違いないと思います。
IGLグループには、長期的にご愛顧いただいている顧客が数多くいます。顧客の商品・サービスを積極的に自ら購入し、PRや改善提案するなど、困難な状況も顧客と共に乗り越えるという我々の姿勢に共感いただいている部分も大きいと思います。

2ベトナムビジネスの発展に向けて

ベトナムという地で成功するポイントはどこにあると感じますか。

(實原享之)
トレンドを見極めることだと思います。ベトナムという国そのものが急成長を続けているので、ビジネス環境の変化も激しいです。自分たちの強みを活かせる分野を常に考え、見極めた上で継続的改善とチャレンジを続けていくことが重要だと感じています。
我々はベトナム進出日系企業を支援する会計事務所であると同時に、そのベトナム進出日系企業の中の1社でもあります。変化の激しいベトナムの事業環境において、常にベトナムで最適な経営モデルを模索し、実践し、その失敗と成功体験を顧客のベトナム法人経営の参考にしていただけるような経営を心掛けてきました。

(Tran Nguyen Trung)
我々自身も、既存の顧客からトレンドを捉え、また学ばせていただくことが非常に多いです。
例えば、不正防止への取組もそのひとつです。ベトナム現地法人で発生する多くの不正が発見されるたびに、不正の防止・早期発見について、コンプライアンス意識の高い顧客から関心が寄せられました。
その点、IGLグループには日本・ベトナム双方を理解しているコンサルタントが数多く所属しており、内部監査など不正防止への取組も長年行っていたので、その強みを活かした経営者向けのセミナーや、ベトナム人スタッフ向け研修など積極的に行い、その後依頼も急増しています。IGLグループでは全社員への公認不正検査士(CFE)資格の取得を奨励し、更なる継続的改善を続けていこうと考えています。

(實原和希)
IGLグループでは、新たに2020年12月、人事労務のSaaS型サービスを行う子会社VINA PAYROLL OUTSOURCING CO.,LTD.(以下VPO)を設立しました。これも、顧客の声にお応えする形で取り組んだチャレンジです。
給与周りでは特に不正事例も多く、またベトナムでは従業員の個人情報に対する意識も低いため、顧客が自社でフルコンプライアンスすることは容易ではありませんでした。
このようなコンプライアンスニーズにお応えし、煩雑な社会保険手続なども一括クラウド管理を可能にするシステムを開発しました。

(Tran Nguyen Trung)
スタートアップから非常に多くの相談を受けており、顧客からの声も好評です。
今後は勤怠管理や電子契約等の企業とも連携し、対日系企業に留まらず、ベトナムで最先端のHRモデルを構築したいと考えています。
SaaS型サービスの普及やDXへの動きは、ベトナムでも今後急速に進んでいくことが見込まれます。このVPOの展開を機に、ベトナムに進出している非日系外資の企業へも顧客層を広げていこうと思います。

(實原享之)
ベトナムも変化を続けますし、我々自身も常にアップデートしていかねばなりません。
もはや30年後には日本とベトナムの経済格差はゼロになっていると考えています。未来を予測することは容易ではありませんが、日本とベトナムが共に発展できるよう、「高い所から遠くを見る」ということを経営者として強く意識しています。
現在、アジアで活躍する専門家とエコシステム体系を構築し、ベトナムに関連する事業を起業するスタートアップに対し、エンジェル投資や、ベトナム拠点の低コストによる経営管理全般支援を積極的に実施しています。
長期に顧客に寄り添うというIGLグループの変わらないコンセプトのもと、会計事務所という枠にとらわれず、ベトナムビジネスの発展に貢献していきたいと思っています。

3最後に

最後に、創業者であり、代表を務められている蕪木さんに経営者として大切なことをお伺いしてみました。

様々なことをベトナムという地で経験されていますが、そこから思う経営者として大切なこととは何でしょうか。

まず、1つ目は先にも言いましたが、自社の強みを見極めて、創造し強化できる分野以外はチャレンジしないことです。
2つ目は時代の変化とともに、組織の在り方や仕事のやり方を変化させることです。ゼロベースで考えて柔軟に改善していくことが重要だと思います。
3つ目は既存顧客のニーズの深掘りと、既存サービスの深掘りを常に考えることです。これも先に述べた通りですが、危機的状況に陥った時にむやみに新規開拓をするよりも、既存顧客に寄り添って考えていくことが、良い結果につながると実感しています。放置劣化させてはもったいないですし、新たな気づきを得るのも既存顧客と既存サービスの深掘りだと思います。

おまけですが、日々のリアルな共感軸を的確に捉えることも重要です。実際、会社のビジョンやミッションは言葉ではなく実際の行動と成果、そして共感の積み重ねによって成り立っているはずです。
I-GLOCALは創業当時から、ご愛顧頂けた顧客のために日々奔走してきました。
ベトナムで起業するということが大変だった時期を、一緒に乗り越えてきたという共感軸、そして積み重ねてきた長年の真摯な行動姿勢が現在につながっているのです。
現在の弊社は「成長」という言葉が共感軸で成立します。なぜならば、実際に「成長」し、顧客数、売上、利益等が着実に伸びているからです。弊社へ新人で入社したスタッフも、すばらしいキャリアで転職できています。
いずれ「成長」ではなく「成熟」になった時は、「成長」にこだわらない共感軸に変化しなければなりません。現に仕事はタフなので、いずれかの年齢でほとんどの個人の成長には限界がきます。組織としても同様で、従業員の平均年齢が高くなり、ベトナムも成熟してきたら、現在のような経営環境ではなくなるでしょう。ですが、その時にも身の丈に合ったスタイルで、社会に期待され続けるようにすることが重要だと思うのです。

最後に、今後どういったことを目指されているのか教えていただけますか。

I-GLOCALが100年企業になることを願っています。もちろん、私は弊社が100年目を迎える2103年には131歳であり、今いるメンバーも概ねこの世にはいません。しかし、これまでに経営者として経験してきた多くの失敗と学びを組織として継承していければ、100年続く企業になるのではないかと考えています。これからも失敗や危機的状況に直面してもそこから学び、継承していきたいですね。

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