深野竜矢(ふかのたつや) | 会計士の履歴書 | 活躍する会計士たちの仕事やキャリアを紹介

M&AとIPO支援を軸に活動。日々進化するテクノロジーの波に乗って新しい時代をつくる

深野 竜矢

ふかの たつや

生年月日
1980年10月7日(38歳)
所属企業
株式会社Stand by C
所属部署
役職
取締役
最終学歴
早稲田大学 文学部 卒業
出身地
神奈川県
現住所
東京都
1キャリアサマリー
2000年
大学在学中からWeb制作・Webスクール会社に勤務
2005年
あずさ監査法人(現 有限責任あずさ監査法人) 入所
2008年
株式会社 KPMG FAS 転籍
2014年
株式会社Stand by C 取締役就任
2014年
税理士法人Stand by C 代表社員就任

上記の他、ベンチャー企業・一般社団法人の社外役員・理事等を複数兼務。

キャリアのスタートは大学在学中、渋谷のWeb制作・Webスクールを営む会社にアルバイトで入ったのをきっかけに、当時のITベンチャーブームの風にあてられて、大学を2年間休学してのめり込むことになった。早稲田大学も卒業したのは文学部(当時は第二文学部と呼ばれた夜学)であったが、入学は理工学部の情報学科だったため、プログラミングへの興味も高く、Web制作の世界に魅せられていった。今でこそエンジニアとよばれて重宝されている職業だが、2000年当時はプログラマーと呼ばれる方が一般的で、洗練されたアプリやプロダクトとはほど遠い、どちらかというと「IT土方」のような表現があてはまるような扱いだったことをよく覚えている。

いま思い返せば、この後に本格的なITベンチャーブームが訪れ、きら星のように華やかなベンチャー経営者が多く登場するタイミングであったため、そのまま続けていたらと思わないこともない。ただ、当時の率直な心情としては、このままパソコンと向き合い続けてもつらい、もっと人間の心の機微にふれるような仕事をしたいという思いが強かった。そこからキャリアをピボットする場合、大学に戻ってもう2年間を過ごすことが前提となるため、せっかくならその間に国家資格をとって人生の自由度を高めようと、そんな安直なことを考えていた気がする。実際、科目合格が認められていた税理士試験の方がくみしやすいと考え、まずは税理士講座を受講したものの、どうやら公認会計士になると税理士も登録すればなれるらしいという安易な情報につられて会計士講座に振り替えた。

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この会計士のタイプは?

事務次官タイプ
内向的
臨機応変型
大局タイプ
個人主義
伝統型
外向的
計画管理型
こだわりタイプ
集団主義
革新型
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物事に勤勉に取り組み、計画性を持って着実に成果を積み上げる傾向にある。
関わる人に対し思いやりを持ち合わせているため、仲間と協力して仕事を進めることができる。
その反面、周囲の状況に過敏に反応してしまうところがあり、情緒面・感情面で不安定になりがちな傾向が。
感受性が強いため、想像力が豊かで物事に対して熟考したり、新しいものへの興味や他者の意見を柔軟に取り入れたりすることができる。
このタイプの会計士は回答者全体で、
2.9%います。
2監査法人における経験およびその後のキャリア選択のきっかけ

会計士試験の勉強中に、会計士が活躍できるフィールドとして監査法人というものがあることをはじめて知り、会計士業務としては監査以外にもM&Aというジャンルがあることを知った。元々、会計士になろうとする動機が明確ではなかったので、受験勉強をしながら、「M&Aや国際系の仕事がしたいな」と漠然と考えるようになり、「規模が小さい方がいろいろできるだろう。でもそれなりに大きい案件も担当したいので、その中でもなるべく大手の方がいい」という薄い根拠であずさ監査法人を選んだ。当時、あずさ監査法人はいわゆるBig4の中でもサイズ的には大きい方ではなかったためである。

監査業務というものは人によって合う・合わないが大きくわかれると思う。率直にいって、私には合わなかった。ただ、それは最初のキャリアであるITベンチャーの影響も大きく、毎日なにかが起こるような刺激的な日々であった前職に比べると、監査法人は良くも悪くも安定感抜群で、自分が主体的に仕事をしている実感を得られなかったことによる。いま振り返ってみれば、会計人としての基礎の大半はこの頃に築かれたものだとわかるので、監査法人という組織が会計士にとってどれだけ強力なインフラとして機能しているのかが理解できる。監査法人を外から見たり、監査を受ける側に回ったりすると、より立体的に土台の確かさを感じ取ることができる。当時はたぶん体育会系の部活でひたすらランニングをさせられる感覚に近く「こんなはずではなかった」という、無いものねだりのような心理状態に陥っていたのだと思う。

そんな心持ちで3年程を監査法人で過ごした後、そういえばM&Aは仕事としてどうなのだろうかと気になり、当時の上司にM&A関連の仕事へアサインしてほしいと直訴した結果、私の陳情を聞き遂げてくれた器の広い上司のはからいでKPMG FASのデューデリジェンス業務へジョインすることができた。デューデリジェンス業務は監査アプローチに加えてビジネスアプローチの視点を求められる。また、一期一会となることが多いため、プロフェッショナルとしては一発勝負でクライアントに満足してもらわないと挽回の機会はほとんどない。そんな緊張感が自分には合っていたようで、これは自分に向いているのではと思い、そのままKPMG FASへ転籍させてもらうこととなった。それから今に至るまでM&Aの専門家であることを会計士としての軸足としているため、監査法人とFASで学んだことがその後のキャリアのすべてを支えてくれていると言っても過言ではない。

3今現在の仕事の内容、特徴、キャリアパス

今現在は株式会社Stand by Cの取締役として、M&AとIPO支援を軸に活動している。M&Aアドバイザリーは、スモールサイズ案件やベンチャーの資金調達案件も含めると、会社全体では年間100件程度の投資案件に関与させて頂いている。また、税理士法人Stand by Cの代表社員としてIPO準備企業の支援やクラウド会計をつかった税務顧問も行っている。IPO支援の過程において、非常勤監査役を拝命するようなご縁をいただくこともある。

一般的に、会計士業界でM&Aで独立しようとすると、ブティック系の仲介会社をつくるのが一番収益性もあるし華やかであるように思われるかもしれない。実際、「M&Aをやってます」と簡単な自己紹介をすると仲介会社であると認識されることもままある。しかし、この領域で生きていて感じるのは、仲介についてはある程度の勢力図が固まっており、大手にソーシング力で対抗することはほぼ無理筋、かつ、情報量が生命線となるため会計士としてのバリューを出す余地は少ないということだ。

一方、いわゆるDDや株価算定などのM&Aアドバイザリー業務で独立することも難しいという風潮があるように感じている。たしかに、いくら大手出身で、属人的なノウハウは大手と変わらないとアピールしても、M&Aのクライアントと巡り合うのは簡単ではない。前職のご縁でたまたま数件続くということはよくあると思うが、新規顧客の開拓については既存人脈をすこしずつたぐり寄せていくことくらいしか出来ず、特に案件が途切れたときなどは底知れない不安におそわれる。最初に営業や会食で接点をもった会社から依頼がくるのが2年後などということもざらにある。これらの状況がM&Aプロフェッショナルの独立を押しとどめ、よしんば勢いで独立したとしても税務顧問を組み合わせてなんとか安定収入を確保するという旧来型のビジネスモデルに帰着することも多いだろう。それもまったく悪いとは言わないし、安定収入を得てからハイエンド業務にチャレンジするというプロセスも至極真っ当だと思うが、税務顧問についてはこれからマーケットが好転することは資産税分野を除いては無いだろうし、クラウド会計などのツールは短期的には先行者利益を生むものの、長い目でみれば税務顧問の存在そのものをスイッチしていく流れが不可逆であると感じる。

会計士としてのキャリアパスを考えたとき、いわゆる競合企業のような存在というのはあまり気にならない。会計士という職能や知見・ネットワークをベースにできる業務範囲というのは率直にいうと誰が考えてもそんなに変わらないので、あまり業界内で競っても実りある結果につながらないだろう。会計士としてのキャリアパスで一番考えなければいけないのは、日々進化するテクノロジーとのつき合い方ではないかと思っている。個人的な感覚として、いま50代の会計士はAIの脅威を感じつつもなんとかキャリアの最後までまっとうできる気がしている。40代後半から危うくなり、40代前半はたぶんAIとの真っ向勝負に直面するだろう。30代以下はむしろ自分たちが新しい時代をつくるくらいの気概を持たないと、時間の流れとともに残酷なほどにバリューが下がってしまうかもしれない。会計の汎用AIというものができるともあまり思っていないが、ソフトスキルや存在感という抽象的な概念も含めて、会計士としてAIに代替されにくい(代替コストが高い)存在を目指していかなくてはと思っている。

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